虹色の先には、あの星があって、あの人がいる。 ユニオン上空のスペースワープゲートは、オーロラみたいな光をゆらゆらと放ちながら大きく口を開けていた。 衛星軌道上にある宇宙港から、私はそれを見上げていた。空間と次元の歪みが、ここまで伝わってくるようだ。 窓の左手に見える射出カタパルトには、発進を待っている宇宙船がある。白く巨大な鳥に似た、私達の船だ。 白い船、シルヴァーナ二世号は、虹色の揺らめきを受けてその色に染まっていた。とても、綺麗な色だった。 「ねぇ、兄さん」 私は、隣に立っている二番目の兄さんを見上げた。マリンブルーのボディの、すらりとしたマシンソルジャーだ。 インパルサー兄さんは、ゴーグルに覆われた目元を向けてきた。そこに映る私は、ちょっと不安そうだった。 「だいじょーぶだよね? 涼、私のこと、忘れてないよね?」 「大丈夫ですよ。涼平さんのことですから、きっと忘れたりはしていません」 ゴーグルの下で、インパルサー兄さんは穏やかに笑っていた。私は少し安心して、頷いた。 「うん、そうだね」 宇宙空間にぽっかりと口を開けた異次元、スペースワープゲート。それは、あの人のいる地球に繋がっている。 ずっとずっと待ち遠しくて、行きたくてたまらなかったけど、いざ行くとなるとちょっとだけ緊張していたりもする。 涼平に会ったら、言いたいこととか話したいことが一杯あるけど、どれから始めたらいいのか解らなくなりそう。 地球に着いたら、真っ先に会いに行くね。ターボブーストを使って、センサーを巡らせて、すぐに見つけるから。 だからさ、涼。 虹の向こうで、待っていてね。 05 12/2 Metallic Guy ブラックヘビークラッシャー |