鬼蜘蛛姫
Demon Spider Princess





登場人物紹介


鬼蜘蛛の八重姫 「わらわを誰と心得るか」
年齢不詳。土蜘蛛と女郎蜘蛛が互いを喰い合い、落人の姫君を喰った末に生まれた妖怪。
若い女性の上半身に巨大なクモの下半身を持ち、糸を自在に操る。嫉妬深いが愛情深い。


鴉天狗の九郎丸 「まあ待て、待て。面白うなるのはこれからよ、鬼蜘蛛の姫や」
年齢不詳。常に暇を持て余しているため、頻繁に下界に下りているのでかなり俗っぽい。
退屈凌ぎに飛び回っているので下界の世情に詳しいが、人間自体はあまり好きではない。


水神の叢雲 「神であるが故、人の心に敏感にならざるを得ぬ」
年齢不詳。本名は大山叢雲神オオヤマムラクモノカミ。八重姫が統べる八重山に隣接した叢雲山に流れる川の神 であり、川そのもの。山を取り巻くほど巨大な龍で老練な翁だが、チヨに振り回されている。

妖狐の白玉 「お前様が死ぬ時が、白玉も死ぬ時でごぜぇやす」
年齢不詳。二股の尾を持つ女狐妖怪。貞元に惚れているため、貞元を殺した八重姫に対して並々 ならぬ憎悪を抱く。色白でうりざねの遊女に化けている。狐火を操ることも出来る。

一つ目入道の丹厳 「拙僧も、そなたらの企みに一枚噛ませてはくれまいか」
年齢不詳。僧侶の格好をした大柄な一つ目妖怪。人間に紛れ込み、下界で暮らしている。
六尺の巨躯に法衣を纏い、僧侶の真似事をしている。遠い昔にチヨに岡惚れしている。


糸丸 
本条藩の藩主、荒井家の嫡男。生まれて間もなく実母を殺され、八重姫に連れ去られる。
だが、本人はそんなことは知らず、八重姫や妖怪達を家族として慕っている。利発で素直。


チヨ 「当ったり前だいや! そったらことも知らんで攫ってきたんけ!」
数え年で十四歳。百年程前に人柱にされたが叢雲に救い出され、糸丸の子守役にされる。
妖怪を怖がるどころか、すっかり開き直って馴れ合っている。働き者で気が強い農家の娘。


荒井久勝 「それもこれも、全ては儂の心の弱さから始まったことよ」
二十代後半。本条藩七代目藩主であり、糸丸の父親。若い頃、人間に化けて人里に下りた 八重姫と通じていたことがある。藩主として藩を守るために尽力しているが、心根は弱い。

蜂狩貞元 「我が身を震わすこの怒り、この恨み、この憎しみ、どうしてくれようぞ!」
三十代前半。黒須藩五代目藩主。敗戦し、落ち武者となった。荒井家を頼りに本条藩に落ち延びるが、 八重姫に殺され、怨霊と化す。五尺の体躯と怪力を持つ。白玉とは恋仲にある。

早川政充 「良かれと思って成したことほど、悪い結果を招いてしまうものだ」
二十代半ば。荒井久勝の家臣。剣術だけでなく勉学にも通じた秀才で、冷静かつ穏やかな 性格の持ち主の美丈夫。世継ぎを失ってしまった荒井家と、本条藩の行く末を案じている。

赤城鷹之進 「御家の一大事に落ち着いてなど!」
三十代手前。荒井久勝の家臣。剣術と武術に長けた勇猛な武士で、荒井家に忠義を誓って いる。血の気が多く先走りがち。政充と幼馴染みで、頻繁に早川の武家屋敷を訪れている。




用語解説


八重山
本条藩内の外れにある、険しく高い山。街道への近道になるため、時折旅路を急いだ旅人が 通るが、地の人間は滅多に通らない。鬼蜘蛛姫が至るところに糸を張り、餌が来ないかと今か今かと 待ち構えているからである。

叢雲山
八重山と連なる山で、こちらは緩やかで道幅も広いが街道へは遠回りになるが、身の安全には 変えられぬと人々は叢雲山を通っていく。また、山頂付近を水源とする川は水量が多く、 本条藩の主要産業である農業を支えている。

本条藩
信越地方に存在する藩。山間に囲まれた狭い土地ではあるが農業が盛んで、 土地柄、戦乱からも逃れられている。代々荒井家が治めている。

黒須藩
関東地方に存在する藩。兵站には打って付けの位置にあるため、 戦のたびに東北地方の戦国大名に利用されている。代々蜂狩家が治めている。









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