機動駐在コジロウ




三人寄ればネゴシエーション



 やかましいBGMにエキセントリックな効果音、コントローラーのボタンを無心に叩く音。
 古びた寺には似付かわしくない音を発しているのは、五十インチの大型テレビだった。その前に並んで座っている 二人の男は、やや身を乗り出して画面を凝視している。テレビに映し出されているのは、実写と相違のない緻密な グラフィックと抜群の操作性が好評なレースゲームだ。時折体を傾けるほどゲームに熱中しているのは、寺の住職 である寺坂善太郎と、バイクを返しに来たついでに上がり込んできた一乗寺昇だった。

「で?」

 寺坂は急カーブを擦り抜け、一乗寺が操るランボルギーニ・カウンタックを追い越した。

「で、ってなんだよう」

 一乗寺も負けじとスピードを上げ、次のカーブで内角から攻め入り、寺坂の操るNSXを追い越し返した。

「お前があの娘をわざわざ敵の懐に突っ込ませたのには、理由があんだろ?」

 寺坂は車体の曲がり具合に合わせて上体を曲げながら言うと、一乗寺は再加速しつつ返した。

「まぁねー。俺ってさ、ほら、諜報員じゃん? だから、その辺の仕事もしないとお給料が出ないわけ。必要最低限の 生活資金とその他諸々の経費は支給されるけど、給料が出ないと色々と困っちゃうんだよねーっ、と」

 その拍子に、ランボルギーニはNSXの横っ腹に豪快に突っ込み、NSXをコースアウトさせた。

「あっ、てめぇっぶつけやがったな!?」

 NSXをコースに戻しながら寺坂が毒突くが、一乗寺はそれに構わずに話し続ける。

「でも、吉岡グループのガードがガチガチガッチンでなかなかもって調査が進まなくってさぁー。遺産が何なのかって こと、長光さんは死んでも教えてくれなかったしぃ、つばめちゃんはまるで知らないしぃ、コジロウはソフトもハードも プロテクトが固すぎてどんなことをしても記憶回路に侵入出来ないしぃー? だから、実力行使に出てみないと埒が 開かないって思って、現場の判断でつばめちゃんを敵陣に突っ込ませてみましたぁー」

「せめて上の指示を仰げよ」

 そう言いつつ寺坂はドリフトさせて加速し、一乗寺のランボルギーニを押し出してコース脇の池に突っ込ませた。

「あひゃあんっ!?」

 奇声を発した一乗寺が目を剥くと、寺坂は一乗寺の車がすぐに出てこないのをいいことにストレートを突っ切る。

「で、お前の読みだとどういう結果になるんだよ。てか、俺にそんなことをべらべら喋っていいのかよ」

 アバウト諜報員めが、と嘲笑ってから、寺坂のNSXが一位でゴールした。

「いいのいいの。よっちゃんだって無関係じゃないし、むしろこっち側の人間だし?」

 一乗寺は悔しさを滲ませながらもコントローラーを置き、クソ坊主、と毒突いた後に話を続けた。

「つばめちゃんの命と遺産を狙う連中には、共通点があったりしちゃったりするんだよねん。五十年前から、どいつも こいつも急に栄えるようになったんだ。吉岡グループは元々は一介の町工場だったけど、ある日を境に生産能力も 製品の精度も群を抜くようになった。ハルノネットは細々と電話線を張っている下請け業者だったのに、これまた ある日突然電気信号通信の高圧縮技術を開発した。新免工業も悲しいぐらいショボい輸入販売業者だったのに、 海外の業者を抱き込んで土木工事用製品という名目で兵器を開発して販売し始めた。フジワラ製薬にしても至って 真っ当な製薬会社だったのに、馬鹿みたいな路線変更をしやがった。弐天逸流はどうってことない剣術の流派 だったのに、いきなり新興宗教をおっ始めやがった。で、その少し前に、あれがあった」

 と、一乗寺が指し示した先にあったのは、五十年前の新聞の切り抜きを入れた額縁だった。紐を張って板壁から 吊してある額縁の中には、今となっては珍しい、紙の新聞が挟まれていた。日に焼けて黄ばんではいるがインクは 色褪せておらず、太く濃い見出しの文字ははっきりと読み取れた。謎の流星、襲来。
 切り抜きの中身はこうである。今から五十年前の夏の夜、船島集落上空に突如流星が降ってきた。中部地方を 南東部から横断してきた流星は、彗星のような光の帯を残していき、船島集落にまで及んだ。それが墜落してくると 思われた瞬間、光も流星本体も何もかも消失してしまった。隕石の一種だった、との結論が出されているが、それを 真実だと認識するためには必要なものが欠けていた。落下物だ。

「あの隕石がUFOだとか思ってんのか? で、そのUFOが人類にどうこうした結果であの遺産が出来上がったとか 言うんじゃないだろうな? もしかして、政府の連中は宇宙人とか信じちゃってたりすんのか?」

 うわダッセェ、と寺坂が嫌みったらしく笑うと、一乗寺は寺坂の触手で出来た右腕を睨んだ。

「そんな猥褻アームを持っているくせに、宇宙人の存在を信じちゃいないの? その方がダサくね?」

「信じなきゃいいんだよ、そんなもん」

 寺坂はスタートボタンを押し、コンティニュー画面のままになっていたゲーム画面を切り替えた。

「変なものを馬鹿みてぇに信じるから、妙なことになるんだよ。俺はもう、そういうのはうんざりなんだ」

「だろうねぇ」

 一乗寺はちょっと肩を竦めてから、胡座を解いて立ち上がった。広い畳敷きの本堂には、ゲームソフトや娯楽物の ディスクが至るところで山積みになっていて、ホログラフィーペーパーの車雑誌が祭壇の周囲に散らばっていて、 本尊の前には無造作に脱ぎ捨てられた法衣が転がっていた。掃除もろくにしていないので埃が分厚く溜まり、足の 踏み場があるのはテレビの周辺だけだった。これが寺の本堂でなければ、いかにも若い男らしい部屋だというだけ で済むのだろうが。寺坂が信心深くないのは今に始まったことではないし、下手に口出ししては片付けをさせられる 羽目になりかねないので、一乗寺は一言言いたい気持ちをぐっと我慢した。
 寺坂が別のゲームを始めた気配を察知してから、一乗寺はライダースジャケットの下からコードレスのイヤホンを 取り出して耳に差し込んだ。軍用GPSの機能を持つPDAも取り出してホログラフィーを展開し、コジロウの現在位置 を割り出した。先程と変わらず吉岡グループの別荘から動いていないので、異変は起きていないようだった。音声を 拾えればいいのだが、吉岡りんねが先手を打って電波妨害を仕掛けていればアウトだ。コジロウにも音声記録装置 もあるにはあるのだが、その情報を開示出来るのは管理者権限を保有するつばめだけだ。しかし、つばめのあの 性格では会話の音声データを開示してくれないだろう。生まれ育った環境がそうさせるのだろう、つばめは自己保身 が強すぎる。それは悪いことではないのだが、と思いつつ、一乗寺は耳を澄ませた。
 コジロウの聴覚センサーを経由して、話し声が聞こえてきた。




 ひとしきり咳き込んでも、まだあの味が残っている。
 一体なんなんだ、あの味は。見た目は至って普通で香りもまともだが、何かがおかしい。つばめは咳き込みすぎて 涙の滲んだ目元を拭ってから、今一度紅茶の入ったティーカップを見下ろした。美野里は心配げにつばめの背中を さすってきてくれたが、なんとか落ち着いてきたのでそれを制した。盛大に噴き出した紅茶がテーブルを大いに汚して しまったが、事も無げに道子がそれを拭き取っている。

「な……何これ?」

 つばめは恐る恐るティーカップを取るが、二口目を飲む勇気はなかった。

「うーん、ちょっと不思議なお味かもしれませんねー」

 美野里は紅茶に口を付け、眉を下げた。りんねは黙って紅茶を傾け、白い喉に飲み下していく。つばめは二人の 反応が今一つ信じられず、紅茶に舌先を少しだけ付けたが、やはりひどい味だった。これが何なのだろう、と真剣に 考え込んでみるが、すぐには思い当たらなかった。生臭みと共に粉っぽさがあり、喉越しは非常に悪い。その匂い に心当たりがあるようで、ないようで、しかし記憶の奥底にこびり付いている。よくもまあ、美野里もりんねもこんな ものを飲めるものだ。もう一度口にしたら胃の中身も戻ってきそうだったので、つばめはティーカップを押しやった。

「もしかして、これ、米のとぎ汁で作ったんじゃ……?」

 あの粉っぽさと匂いで思い当たるのはそれだけだ。だが、なぜそんなもので紅茶を淹れてくるのだ。

「ま、まあ、それはそれとして」

 つばめは気を取り直してから、再度話を切り出した。

「何度も言うけど、平日に来るのだけは止めてほしいんだけど」

「平日に業務を行うのが社会人の決まりです」

「でも、あなたは未成年でしょ?」

「午後八時以降でさえなければ、労働が許可されています」

「まあ……夜襲はなかったけど、その言い方だとこれからは仕掛けるつもりなんだね?」

「事と次第に寄りけりです」

 抑揚も表情も変えないりんねに辟易し、つばめは変な味の紅茶を飲んでいる美野里の肩を叩いた。

「お姉ちゃん、よろしく!」

「頼るのが遅いわよ、もう」

 美野里はティーカップを置いてから、佇まいを直してりんねと向き合った。

「どうぞ、お納め下さい」

 そう言ってりんねが差し出してきたのは、シンプルなデザインの名刺だった。美野里もまた、ジャケットの内ポケット から自分の名刺を取り出して交換してから、美野里は改めて話を切り出した。

「では、吉岡さん。そちらの主張を整理いたします。労働契約書の内容により、業務は平日の日中に行うべき ものであり、つばめさんの要求する期日には執り行えない、ということですね」

「ええ、そうですわ」

 りんねが返すと、美野里はつばめを示す。

「ですが、つばめさんは平日は通学しておりますし、学業があります。学生の本分は学業ですので、それを妨げる のはいかがなものかと思います」

「妨げるのが私共の業務です。備前さんもそれをお解りではありませんか?」

 りんねの体温のない眼差しが、音もなく上がる。

「二日前、備前さんは道子さんが遠隔操作なさった女性サイボーグによって襲撃されましたが、その原因は考える までもないのではありませんでしょうか。それが一度で終わるとお思いですか? 私達は手段を選ばないという手段 を選んでおりますので、次は備前さんの身柄を拘束するかもしれません。そうでなければ、備前さんのお命を盾にして つばめさんを恐喝するかもしれません。場合によっては、備前さんの御家族に危険が及ぶかもしれません。つばめ さんお一人が引き受けるべき出来事を、部外者であるあなた方が引き受けなければならなくなるかもしれません」

「何を仰りたいのですか?」

 テーブルの下でつばめの手を握りながら美野里が言い返すが、りんねは穏やかに述べた。

「生きて帰れるとお思いなのですか、備前さん。私達が重要視しているのは、あくまでもつばめさんのお命と遺産で あり、それ以外の御方には価値もなければ興味もないのです」

「つばめ。有効射程内だ」

 コジロウが反応した。つばめがその視線の先を辿ると、吹き抜けに面した二階の廊下に立つ大柄な男が、重厚な アサルトライフルを構えていた。キッチンから戻ってきた道子も笑顔を保ってはいたが、女の細腕には不釣り合いな 大きさの拳銃が握られている。りんねは涼しげな面持ちで、妙な味の紅茶をまた一口含む。

「コジロウさんもまた遺産の一つですので、遺産を行使する能力を有しているつばめさんを守るのが最優先事項で あり、それ以外の方は二の次であるとこれまでの戦闘で判明しております。言ってしまえば、コジロウさんはつばめ さんさえ無事なら、それ以外の人間がどうなろうとも関与しないということです。ですから、ここで巌雄さんと道子さん がつばめさんと備前さんを同時に狙撃した場合、コジロウさんがお守りになるのはつばめさんお一人だけです」

 悠長な仕草でティーカップをソーサーに置いたりんねは、口角をほんの少し和らげる。

「つばめさん。あなたは私達の労働条件の変更を申し出に参りましたが、そのお話を続けましょう」

 道子の大振りな拳銃の照準が、つばめの頭に向く。

「この世の中、要求だけを通すことは不可能です。要求を受諾して頂くためには、それ相応の対価を支払う必要が あります。それは賃金であり、労働であり、商品なのです。その対価として、あなたの身柄を私達に差し出して下さる のであれば即座に銃口を下げさせますが、それが嫌だと仰るのなら」

 武蔵野のアサルトライフルの照準が、美野里の頭に据えられる。

「実の姉のように慕っておられる方の脳髄を吹き飛ばしてご覧に入れましょう」

「正気……だよ、なぁ」

 背中に冷たいものが流れ落ちる感触に身震いしながら、つばめが呟くと、りんねは答える。

「合理的な判断に基づいて、交渉の内容に値する対価を提示しているだけです」

 血も涙もなければ、情けを掛けようともしない。自分達の利益のためになら、人殺しさえ厭わない。つばめの心身 を追い詰め、遺産も何もかも放り出してあなた様に差し上げます、と這い蹲って命乞いするまでは、手を緩めること すらもしないだろう。やはり、敵陣に乗り込むのはいくらなんでも浅はかすぎた。吉岡りんねだって人間なのだから、 ちゃんと話せば解ってくれるに違いない、と甘っちょろいことを考えていた自分に吐き気すら覚える。そんな腑抜けた 考えが通用していたら、戦争なんて起きたりしないし、犯罪も発生しないだろう。人間同士だからこそ解り合えないこと なんて、いくらでもある。その中の最たる例が、これだ。
 コジロウをどう使えばいい。それさえ上手く考えられれば、この状況を切り抜けられるはずだ。つばめは美野里の 手を握り返しながら、懸命に頭を働かせた。コジロウに美野里を守らせる。ダメだ、つばめの方が撃たれてしまう。 コジロウにつばめを守らせる。ダメだ、それでは美野里が殺される。コジロウにりんねを襲わせる。ダメだ、りんねも つばめと同じ条件であるというのなら、もしかするとコジロウの管理者権限を上書きされるかもしれない。コジロウに りんねを人質にさせて退路を開く。ダメだ、敵はどちらもプロなのだ、りんねに当たることすら厭わずに狙撃してくる 可能性が高い。コジロウの無線で一乗寺に助けを呼ぶ。ダメだ、到底間に合わない。
 どう考えても上手くいかない。何をさせたとしても、事態は悪化するだけだ。しかし、このまま手をこまねいていても どうにもならない。美野里が殺されてしまうかもしれないし、つばめも無傷では済まない。コジロウはとてつもなく強い が、武装は一切なく、一体しかいないのだから出来ることは限られている。どうする、どうする、どうする。

「ぎゃあぎゃあうっせーんだよ、さっきから」

 吹き抜けに面した三階の廊下に、不機嫌極まる態度で青年が現れた。藤原伊織だ。

「ダリィんだよ、やり方が。さっさとブチ抜けよ」

「伊織さん、それではつばめさんの貴重な体液が無駄になってしまいます。負傷させるのは構いませんが、無用な 出血だけはご勘弁願います。それでは、大いに利益損失が出てしまいます」

 りんねは伊織を仰ぎ見、やや眼差しを強めた。

「大金持ちのくせしてしみったれてんなぁ、お嬢!」

 そう叫ぶや否や、伊織は三階の手すりから身を躍らせた。筋肉の薄べったい体をしならせてリビングに飛び降り、 両足が床板を踏み締めた瞬間に激しく鳴った。どう見積もっても七メートル近い高さがあったが、伊織は平然と両足 を伸ばして立ち上がった。着地の痛みどころか、衝撃による過負荷も感じていないようだった。気怠げに首を曲げた 伊織は、爬虫類を思わせる三白眼でつばめと美野里を捉えた。

「おい、射線に入るんじゃねぇ」

 二階の廊下から照準を合わせていた武蔵野が舌打ち混じりに吐き捨てるが、伊織は無視した。

「まどろっこしいことしやがって。目当てのモノがそこにあるんだ、奪い取らなくてどうするんだよ」

 応接セットに大股に歩み寄ってきた伊織は、ソファーに腰掛けているりんねの肩を強引に掴んだ。

「いい加減に俺を戦わせろよ、そのために俺を買ったんだろうが、クソお嬢」

 伊織の指の長い骨張った手がりんねの顎を掴み、頬をいびつに押し上げる。それでも尚、りんねは表情を崩しは しなかった。少し位置のずれたメガネを整えてから、りんねは横目に伊織を見返す。

「その表現には語弊があります。フジワラ製薬に対し、伊織さんの価値に相当する対価を支払った末に雇用契約を 結んで頂いたのです。伊織さん御自身を購入したわけではありません」

「御丁寧にどうも」

 伊織は好戦的に頬を歪ませると、りんねの首が折れかねない角度に捻り上げて少女の薄い唇に食らい付いた。 貪るように唇を吸われ、乱暴に舌をねじ込まれた瞬間、初めてりんねは動揺を露わにした。弱々しい手付きで伊織 を押し返そうとするが、男の力には勝てずに上体が逸れた。愛撫でもなければ親愛でもない、捕食行動だ。りんねの 下顎から仰け反った喉に掛けて、唾液の糸が滑り落ちていく。
 命の危機に瀕している恐怖とは全く別の意味で硬直してしまい、つばめは気まずくなって目を逸らしそうになった。 美野里は信じられないと言わんばかりの顔で二人を凝視している。しかし、武蔵野と道子の反応はそのどちらでも なく、じりじりと後退り始めていた。それでも、つばめと美野里に据えられた銃口の照準は外れなかった。

「ちったぁ色気のある反応しやがれ。ダッセェ」

 りんねを突き飛ばしてから体を起こした伊織は、肩を揺する。

「……困った方ですね、伊織さんは」

 悩ましげに瞼を伏せながら起き上がったりんねは、手の甲で口元の汚れを拭った。伊織はよろけながら後退り、 唸り、呻き、咆えた。安物で色褪せたシャツとジーンズが内側から引き裂かれ、千切られ、伊織の肉体が膨張して いく。ベルトのバックルが弾け飛んで弾丸のように空を切り、つばめの背後の窓ガラスを砕いた。コジロウはつばめと 美野里の傍に歩み出すと、身構えた。人間から軍隊アリに似た異形と変貌した伊織は、喘ぎながらあぎとを開く。 床に傷が付くのも構わずに六本足で這い蹲るその姿は、ドライブインで目にしたものよりも一回りも二回りも大きく、 車両にも匹敵する大きさと化していた。つばめは呆気に取られ、言葉すら出なかった。

「交渉を続けましょう、つばめさん。伊織さんがコジロウさんを倒すか、つばめさんを奪取すれば、私達の勝ちです。 コジロウさんが伊織さんを倒し、つばめさんを守り切れたなら、私達はあなたの提示した条件を受諾いたします」

 怪物を従えた少女は、呼吸を整えた後につばめと向き直った。

「それでは、本日の業務を行いましょう」





 


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