登場人物、登場怪獣紹介


狭間真人 「俺は、何をすればいいんだ」
主人公。二十一歳。孵化しそこねていた怪獣の卵を救うために故郷から旅立ち、横浜市に 至った。怪獣の声を聞き取り、会話出来る能力を生まれ持っている。古代喫茶・ヲルドビスで アルバイトをしている。良くも悪くも普通の青年。スカジャンの柄はかぐや姫。

ツブラ 「イノチ、スコシ、タベサセテ?」
年齢不詳。シャンブロウの幼生体。体長一メートル未満で人間に似た外見で、髪の毛に似た 赤い触手を備え、主食は人間の体力。光の巨人に対抗出来る、唯一の生命体。好奇心旺盛で、 産まれてすぐに目にした狭間に懐いている。黄色のレインコートと赤い靴を履いている。

光永愛歌 「君がその気でいるなら、説得する手間が省けたわ!」
二十九歳。怪獣監督署に務める公務員で、いわゆる怪獣Gメン。希少種であるツブラを観察 するため、狭間とツブラをアパートの自室に居候させている。ピンク色の髪とオレンジ色の瞳が 特徴。古代喫茶・ヲルドビスの常連で、ナポリタンが好物。明るく元気だが強かな女性。

狭間真琴 「兄貴のくせに、コーヒーの味なんか解るの?」
十七歳。狭間真人の実弟。一ヶ谷市の船島集落が光の巨人の出現で壊滅したため、横浜市 へと居を移し、古代喫茶・ヲルドビスで下宿しながら高校に通っている。愛歌に片思いして いるが、行動には移せないでいる。利発だが理屈っぽく、年相応に生意気。ド近眼。


海老塚甲治 「私は、その妙な気持ちを感じるのが好きなのですよ」
六十二歳。店内に展示しているカンブリア紀の化石と自家焙煎のコーヒーが売りの喫茶店、 古代喫茶・ヲルドビスの経営者。温厚な老紳士だが肝が据わっており、何事にも動じない。

野々村不二三 「さあ立ち上がれ、立ち上がらぬのであればもっと行くぞぉおおおっ!」
四十二歳。またの名を鳳凰仮面。桜木町近辺で営業している紙芝居屋。ヒーローに憧れる あまりにコスチュームを自作し、活動している。常人だが異様に強い。子供好きで愛妻家。

佐々本忍孝 
三十九歳。佐々本モータースの経営者であり、かつてはレーシングチームのメカニックと して働いていた経験がある。寡黙で仕事熱心な職人。造船所で光の巨人と接触し、消失した。

佐々本うらら 「人生って、 どうなるか解らないものよね」
二十八歳。佐々本モータースの副社長であり、つぐみの母親。夫が不在でも工場を潰すまい と尽力している。つぐみと小次郎の関係の行く末を見守っている。前向きで快活な女性。

佐々本つぐみ 「どうしてもバイクを降りたいっていうのなら、私と勝負しろ!」
十二歳。佐々本モータースの一人娘であり、元町小学校に通う小学六年生。幼い頃からポケ バイに乗っているが、腕前は発展途上。小次郎とは幼馴染の間柄。気が強く意地っ張り。

小暮小次郎 「解った。但し、手加減はなしだ。お互いに」
十九歳。佐々本モータースの整備工。アマチュアのバイクレーサーでもあるが、佐々本忍孝 の不在により、現在は休止している。真面目で意固地な青年。つぐみに思いを寄せている。


鮫淵仁平 「あ、うん、そう。そう、それ。それです」
二十八歳。怪獣監督省の国立怪獣生態研究所に勤める研究員。横浜に現れたシャンブロウ を研究するため、狭間に接触する。大柄だが挙動不審。考え事をしながら喋る癖がある。

羽生鏡護 「この僕を待たせるとはいい度胸をしているじゃないか」
三十歳。怪獣監督省の国立怪獣生態研究所に勤める研究員。シャンブロウよりも光の巨人 に興味を抱いている。ヘビのような印象の男。有能だが、悪辣な性分で服の趣味が悪い。


九頭竜麻里子 「お気になさらず。父の具合はいかがでしたか」
十七歳。横浜の裏社会を牛耳るヤクザ、九頭竜会組長の一人娘。負傷した父親に代わり、 九頭竜会組長代理の座に就いている。聖ジャクリーン学院に通う高校生。品行方正。

寺崎善行 「よぉし、埠頭でレースすっぞ。無論、俺が勝つんだけどな」
三十六歳。九頭竜会の舎弟頭であり、組長代理である麻里子の運転手役も務めている。スキンヘッド にサングラス、スカジャンの柄は千手観音。レーサーを目指していた過去がある。

一条御名斗 「親交を深めるために一杯ひっかけに行こーか」
二十四歳。須藤の愛人。拳銃の扱いに長け、射撃の腕は一流。体形は女だが身体能力は 男であり、両性具有。快楽主義者で、欲望のままに生きている。スカジャンの柄は人魚姫。

須藤邦彦 「ぎゃあぎゃあ喚くなよ、みっともないからな」
三十五歳。九頭竜会の舎弟であり、御名斗の飼い主。元警察官。九頭竜会の企業舎弟である、 貿易会社の経営者。欠損した左腕を怪獣義肢で補っている。御名斗を溺愛している。

辰沼京滋 「僕達の仕事がなんであれ、下請けであることに代わりはないんだから」
三十歳。闇医者。怪獣義肢と人間の結合手術を法外な値段で請け負っていて、九頭竜会とは 付き合いが長い。冷酷だが悪意はない。青緑の髪と赤い瞳が特徴。羽生と面識がある。

藪木丈治 「あの可愛い子はオイラの嫁っすから、手ぇ出しちゃダメっすからね?」
二十七歳。怪獣人間。九頭竜会の末端にいたチンピラだったが、死にかけていたところを 辰沼に改造される。ケンカは下手くそだが、腕力があるので重宝されている。秋奈と恋仲。

田室秋奈 「大丈夫、問題はない」
十六歳。怪獣人間。家出して路頭に迷っていたところを辰沼に拾われ、改造され、透視能力 を得たために辰沼の助手になる。真っ赤な長い髪が特徴。口数は少なく大人しいが、過激。

氏家武 「いいよ、その名前でなくとも。僕はウジムシだ」
三十代前半。通称ウジムシ。旭橋の下に住み着いているホームレス。大卒のインテリだが、 身を持ち崩して今に至る。九頭竜会と辰沼から怪しい仕事を請け負い、日銭を稼いでいる。


綾繁枢 「それもまた、怪獣使いの務めですもの」
十歳。大型怪獣を操る能力を生まれ持つ怪獣使いの一族、綾繁家の娘。南関東を担当して おり、横浜の発電怪獣も枢の支配下にある。派手な振袖を着ている。世間知らず。

従属怪獣ヒツギ 〈私は枢様をお守りし、来たるべき時を待たねばならないからだ〉
枢に付き従う怪獣行列の一員である人間大の怪獣。背中には棺桶に似た箱を担いでいて、 中には枢の私物が詰まっている。枢の命令に従うのが最優先で、他は二の次。穏健派。



怪獣貨客船氷川丸 〈今日もお客様が大勢いらっしゃるから、私、寂しくないわ〉
山下公園に保存されている一二〇〇〇トン級の貨客船の動力源である中型怪獣。穏やかな 女性的な人格を持ち、聞き上手。穏健派。

毛髪怪獣カムロ 〈どうもこうもない。人の子と天の子を使い切ってやろうってことだよ〉
九頭竜麻里子と結合している怪獣義肢。毒を充填した髪を他者に刺して、遠隔操作出来る。九頭竜会の実質的な支配者で人間を見下しているが、麻里子には執着がある。強硬派。

四輪駆動用動力怪獣サバンナ 〈よっちゃん! 俺、この馬鹿バイクとレースしてぇ!〉
寺崎善行の愛車であるマツダ・RX−7サバンナの動力源の小型怪獣。過激なレースを行う 寺崎とは好意を寄せ合っているが、意思の疎通は出来ない。強硬派。

辣腕怪獣シニスター 〈ここで素直に認めておいた方がまだ楽……でもねぇなあ〉
須藤邦彦と結合している怪獣義肢。石のような皮膚を備え、手の甲に当たる位置にある 赤い瞳から光線を放つ。神経を結合しているため、須藤と意思の疎通が出来る。強硬派。

怪獣拳銃 ボニー&クライド 〈早く私の引き金を引いて!〉〈いや、俺が先だ!〉
一条御名斗の所有物である怪獣内蔵型拳銃。ボニーは女性的な人格を持つコルトM1911で、 クライドは男性的な人格を持つソードオフショットガン。二つで一つの怪銃。強硬派。

斬撃怪獣ヴィチローク 〈どうにかしてくれなかったら、ナマス切りにしてやる!〉
九頭竜総司郎の所有物である日本刀型の怪獣。神話時代の大怪獣、ストームブリンガーの 卵の欠片から生み出された怪獣で、抜群の切れ味を持ち、衝撃波を放てる。強硬派。

毒ガス怪獣ゴウモン 〈俺は動かん。ここから動けん。故に、俺の心も動かん〉
九頭竜会が所有する御門岳の内部に埋もれている超大型怪獣。山のそこかしこにある気門 から硫黄を含んだガスを発し、人間を昏倒させることが出来る。穏健派。

二輪駆動用動力怪獣ドリーム 〈丁度いい、前回のレースの決着を付けてやる!〉
狭間真人の所有物であるホンダ・DREAM・CB750FOUR・K2の動力源の小型怪獣。 血気盛んで、勢いが付いたら止まらない性分。穏健派。

二輪駆動用動力怪獣ザッパー 〈俺のシートは社長と小次郎のものだ!〉
小暮小次郎の所有物であるカワサキ・Z650B1の動力源の小型怪獣。元は佐々本忍孝の 愛車だったが、小暮小次郎が譲り受けた。レースも好きだが小次郎はもっと好き。穏健派。

発電怪獣ガニガニ 〈発電怪獣の先輩として、怪獣のお兄ちゃんとしても!〉
横須賀沖に配置されている大型発電怪獣。外見はヤシガニに酷似していて、発電量は安定して いる上に出力が高い。ローティーンの少年のような性格。穏健派。

発電怪獣バンリュウ 〈がんばれっていわれてがんばれたら、だれもくろうはしないよ〉
横浜港に配置されている大型発電怪獣。外見はとぐろを巻いた龍に似ていて、体を伸ばすと 全長三〇メートルにもなる。幼い子供のような性格で、それ故に電力は不安定。穏健派。

水脈怪獣ムラクモ 〈赤き卵を遠き地へと誘え!〉
狭間の故郷である一ヶ谷市の温泉街に程近い山中にいる超大型怪獣。源泉が湧き出す水脈に 沿って寝そべっていて、外見は東洋龍に酷似している。老翁のような性格。穏健派。





用語解説


怪獣
地球上に存在する生物。地中、或いはマグマの中から現れる卵から孵化し、成長する。繁殖 能力はない。外見と大きさと生まれ持つ能力は様々だが、石と僅かな水を捕食し、砂を排泄 する。人間は怪獣の能力を生かし、生活の基盤となる文明を発展させてきた。怪獣側も人間 に使役されることで地球全体のエネルギーを循環させるため、共存関係が成り立っている。 怪獣は国際法で個人所有は出来ないため、個人は政府から借用されたものを使用する。

光の巨人
人類と怪獣と文明を脅かす自然災害。空から差し込む光の柱の中から出現することも あれば、唐突に出現する場合もあり、小型で有翼の個体を伴う場合もある。その光に触れた ものを全て消滅させる性質を持ち、物理攻撃は一切通用しない。

シャンブロウ
一九六〇年代に行われた火星移民計画で、火星の地上で発見された人間型怪獣。外見は 人間の女性に酷似していて、幻覚効果のある甘い匂いを放って生物を誘き寄せ、髪の毛 のような触手を用いて生物の体液を吸収し、捕食する。

怪獣監督省
日本政府が怪獣を国民に平等に分け与え、管理するために設立した政府組織。エネルギー を発生させられなくなった怪獣を回収し、再びマグマの中へと還す仕事も行っている。怪獣を 違法に所有する個人や組織を取り締まる実動課が存在し、実動課の職員は警察と同等の 権限を持っている。

怪獣使い
怪獣に意識を憑依させて遠隔操作出来る能力を持つ人間の通称であり、国家資格。その 能力を生まれ持つのは綾繁一族だけである。

九頭竜会
横浜に本拠地を構えているヤクザ。構成員は百人足らずだが、麻痺怪獣ゴウモンを所有 していることもあり、幅を利かせている。資金源となる企業舎弟も多数存在し、寺崎らは表向きはそう いった企業の社員となっている。現在、九頭竜会会長である九頭竜総司郎が負傷して入院して いるため、一人娘である九頭竜麻里子が組長代理を務めている。

聖ジャクリーン学院
横浜市中区にある、小中高一貫のカトリック系の学校。守護聖獣である聖ジャクリーンは、 全身から刃が生える能力を備えた女性型怪獣である。

古代喫茶・ヲルドビス
横浜市中区にある喫茶店。店主である海老塚甲治の趣味である古代生物の化石が、店内 の至るところに展示されている。自家焙煎の薫り高いコーヒーとドイツ菓子が売りで、軽食の ナポリタンも評判がいい。モーニングセットは午前七時から九時まで。営業時間は午前七時 から午後八時、定休日は毎週月曜日、年末年始とお盆休みは店主不在につき休業。事前 予約で貸切も可。化石の買い取りは店主と要相談。現在、アルバイト募集中。










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