ドラゴンは滅びない




悩ましき午後



 フィリオラは、紅茶を淹れていた。


 陶器製の白いティーポットに蓋をして蒸らし、茶葉を開かせる。立ち上る湯気には、優しい香りが混じっている。
同じく白のティーセットを戸棚から取り出し、カップに湯を注いで暖める。その湯を捨ててから、食卓に並べた。
 食堂から顔を出し、廊下を見渡す。細い廊下の先にある部屋は静まっていて、ちゃんと娘は寝付いたようだ。
ついでに、娘を寝かしつけていた夫まで寝付いてしまったようだ。フィリオラは笑みを零してから、食堂に戻った。
 テーブルクロスの端を直してからパンケーキの皿と野イチゴのジャムの瓶を並べていると、硬い音が聞こえた。
それは、玄関の扉を叩く音だった。フィリオラは小走りに廊下を進み、玄関の扉を開けて訪問者に笑顔を向けた。

「いらっしゃい、ブラッドさん」

「リリ、寝ちゃったん?」

 フィリオラの小さめな声と静まりかえった室内の様子で、ブラッドは察した。フィリオラは頷く。

「レオさんが寝かし付けてくれたんですけど、レオさんまで眠っちゃったみたいですね」

「そうなん?」

 ブラッドは半笑いになりながら玄関に入ると、手に提げていたバスケットをフィリオラに渡した。

「これ。この間の薬のお礼と、母ちゃんからのお土産」

「わざわざありがとうございます」

 フィリオラはバスケットを受け取ると、ブラッドを食堂に促した。

「こっちの方がリリの部屋からは遠いですから、話しやすいでしょう」

「なんか悪ぃな、フィオさん」

「いえいえ。私も、ブラッドさんとゆっくりお話ししたいなぁって思っていたところですし」

 フィリオラは食堂に入ると、彼のバスケットを戸棚に置いた。ブラッドは礼装姿ではあったが、大分着崩している。
黒の上着を肩に引っかけ、赤いタイは緩め、襟元は開き、シャツの裾に至ってはだらしなく出してしまっている。
 フィリオラは、その姿に苦笑した。ブラッドなりに礼装に馴染もうとしているのだろうが、おかしなことになっている。
大方、ラミアンの目の届かない屋敷の外で崩したのだろう。ラミアンとブラッドの仲は良いが、価値観はかなり違う。
吸血鬼としての礼儀を重んじるラミアンと違い、ブラッドは自分のやりたいようにやり、魔法さえも自己流に変えた。
 十歳の頃にフィリオラの弟子となったブラッドは、少々飽きっぽいが魔法の扱いは上手く、物覚えも悪くなかった。
共和国語も算段も魔法言語も覚え、一通りの魔法を自由自在に操れるようになったのだが、呪文を略してしまう。
元々魔力が高いので、中級程度の魔法であれば魔法陣を使わずとも操れるため、魔法陣を描かないことも多い。
ブラッドにはブラッドのやり方がある。ただ、それが、フィリオラらのやり方とは違うので変に感じてしまうのだろう。
 若いなぁ、とフィリオラは感じた。二十代も後半を過ぎて子供を設けてしまうと、以前のような勢いは失せてしまう。
それを少しばかり羨ましく思いながら、フィリオラは椅子を引いて腰掛けた。ブラッドは、向かい側の席に腰掛けた。
 弟のような青年の表情は、あまり明るくなかった。


 午後の穏やかな日差しが、室内を緩めている。
 フィリオラは三杯目の紅茶を飲みながら、ブラッドから聞かされた長いようで短い話を頭の中で反芻していた。
ブラッドは六杯目の紅茶を睨み付けていたが、すぐに呷った。入れた傍から飲み干してしまうので、切りがない。
 今朝、フィオさんに話があるから、とブラッドに言われたフィリオラは、それを断る理由もなかったので了承した。
フィリオラに話し掛けてきた時のブラッドはいやに真剣な顔をしていて、どこか思い詰めたような眼差しをしていた。
 ここ最近のブラッドの行動には、妙なものがあった。ずっと上の空だったり、夜中に出掛けて風邪を引いたり。
一言で言えば、落ち着きがなくなっている。農作業にもあまり力が入っていないらしく、レオナルドがぼやいていた。
何かがあったのは、傍目に見ていても解る。だが、それが一体何なのかはブラッドは決して答えてくれなかった。
そんな折に、ブラッドはフィリオラに話があると声を掛けてきたので、フィリオラはその中身をそれなりに予想した。
年若い青年が挙動不審になったり悩んだりする原因は、大抵の場合、女性絡みであると相場は決まっている。
 案の定ブラッドの話は、出会った女性に関するものだった。ルージュ・ヴァンピロッソという、魔導兵器だそうだ。
魔導兵器、と言われた時はさすがに驚いたが、そういうのもありかもしれない、とフィリオラは割と簡単に納得した。
自分自身も竜族の末裔であり、連れ合いであるレオナルドも念力発火能力者であり、普通の人間とは違っている。
ブラドール夫妻やかつての友人達の様子も知っているので、人と人ではない者が添うのに違和感は感じないのだ。
 むしろ、それはそれで素敵だとすら思う。魔導兵器となったラミアンを愛するジョセフィーヌの姿は、幸せそうだ。
だから、ブラッドの話を変だとは思わなかった。世間一般からすれば変なのだろうが、こちらの世界では普通だ。

「ええと」

 フィリオラはティーカップを置いてから、ブラッドを見やった。

「要するに、ブラッドさんはそのルージュさんのことが好きなんですね?」

「…やっぱり?」

 ブラッドは途端に情けなく眉を下げると、崩れ落ちるように突っ伏した。

「でも、そうだとしたら、オレの女の趣味ってマジ最低じゃね? だって、生身じゃないんだぜ?」

「ブラッドさんのお話を聞く限り、どこからどう考えてもそうにしか思えないのですが」

 フィリオラは冷めて少し硬くなったパンケーキをフォークで切り、口に運んだ。

「最初に会った時のことがずっと忘れられない、とか、気付いたら思い出してしまう、とか、綺麗だけどちょっと可愛いところもある、とか。ルージュさんと顔を合わせた二回とも戦闘になったというのは、ちょっと引っ掛かりますけど」

「だろ、そうだろ?」

 がばっと顔を上げたブラッドは、テーブルに両手を付いて身を乗り出した。

「そうなんだよ、オレもあいつも攻撃し合ったんだよ! 最初の時は攻撃し損ねたけど、この間の二度目の時は雷竜を三発当ててやったんだ! それも、出力を目一杯引き上げたきっついやつを!」

「ああ、雷竜ってあれですね、ブラッドさんが勝手に妙な名前を付けた力だけの魔法のことですね。私としては、ああいう魔法は好きではありませんね。雷撃を生成すること自体は簡単ですけど、ちゃんとした手順を踏んで生成しなければ出力が不安定になってしまいますから、しっかりと魔法陣を描いてから発動させないと、うっかり逆流したり拡散したり爆裂したりして大変なことになるんですからね。そもそもですね、雷撃の魔法というのは本来精霊魔法の系統であって、ブラッドさんが使ったものは精霊魔法の術式を強引に黒魔法に変換しただけのものなのですから、それでなくても安定性に欠ける魔法なんですよ。ですから、もっと丁寧に扱わないといけないんですからね。魔法を扱うということは、それ自体がまず危険を伴う行為であるという自覚を」

 フィリオラが眉根をひそめながら語り出したので、ブラッドは顔をしかめてフィリオラに手を翳した。

「それ、今話さなきゃダメ?」

「調子に乗ってきたので、小一時間ほどお説教でもしてやりたいところですが」

「ちったあ勘弁してくれよ…。うん、まあ、オレも無茶苦茶だったとは思うけどさあ」

 ブラッドがげんなりしたので、フィリオラは仕方なく思いながら話題を戻した。

「では、お説教はまた次回にでも。今日のお話は、それではないですからね。それで、ブラッドさんはルージュさんに攻撃して湖に沈めたにも関わらず、ルージュさんを助けてしまった、と」

「そうなんだよ…」

 ブラッドは再びテーブルに突っ伏すと、あー、と呻いた。

「オレ、なにやってんだー」

「ブラッドさん、なんだか可愛いですね」

「そうかなぁ…。格好悪ぃだけだと思うけど」

「あのさ、フィオさん」

「はい、なんでしょう」

 フィリオラがちょっと首をかしげると、ブラッドは体を起こした。

「意地っ張りの攻略って、どうやるん?」

「…はい?」

 思いも寄らない言葉に、フィリオラは目を丸くした。だが、ブラッドは至極真面目だった。

「いや、だからさ、フィオさんってレオさんをやり込めたじゃん? 意地の固まりで怒りっぽくて乱暴で口が悪い人を、あんなにでれんでれんにさせたじゃん? なんか、やり方とかあんの?」

「あっ、ありませんよおそんなあ!」

 フィリオラはがたっと椅子を揺らし、仰け反った。ブラッドは訝しむ。

「マジで?」

「マジですってば。大体、そんな方法があったらとっくの昔にやってます!」

 フィリオラは前のめりになり、ブラッドに迫る。

「私だって、何がどうなってレオさんがああなってくれたのかなんて今でも解らないんですから! 理由を聞こうとしてもそっぽを向いちゃうし、その手の話をするとすぐに黙っちゃうし、その延長で意地悪なことも言ってくるし! リリが産まれてからはちょっとは治りましたけど、まだまだダメですよあの人は!」

 フィリオラの愚痴のような惚気が始まりそうになったので、ブラッドは口を挟んだ。

「じゃ、意地っ張りは一生治らないってことか」

「たぶんそうでしょうね。少しぐらい治ってくれてもいいと思うんですけど」

 全くもうレオさんは、とフィリオラはむくれながらも座り直した。

「ということは、ルージュさんも意地っ張りな方なんですか?」

「はっきりとは解らないけど、たぶん、そうじゃないかなって思うんだよ。態度も言葉もきっついし、ほとんど表情変えないし、凄ぇ出力の砲撃をばかすか撃つし、そのくせ照れたり困ったりすると、なんかもうすっげぇ可愛いし…」

 ブラッドは、ああくそ、と髪を掻き乱しながら吐き捨てた。

「なんでオレ、あんなのが好きなんだ」

 好きになる理由が解らない。同じ吸血鬼族だからか、彼女が美しいからか、それとも全く別の理由があるのか。
だが、忘れられない。再び会ってしまったから、余計に彼女に関する記憶は強くなり、思い出さない日はなくなった。
好きになったところで、報われるわけがない。相手は一度死んだ者で、機械の体を持つ、生き物ではない者だ。
つまりは、死体に焦がれているも同然なのだ。ブラッドは半吸血鬼だが、特殊な性癖は一切持ち合わせていない。
 最初から、終わりしか見えていない恋だ。先へ進んだとしても、待ち受けている未来が明るいとは思えなかった。
好きにならないべきだった。いや、出会わないべきだった。だが、どれだけ後悔しても、時間だけは巻き戻せない。

「ブラッドさん」

 フィリオラはティーポットを傾け、ブラッドのカップに七杯目の紅茶を注いだ。

「もう一度、ルージュさんに会いたいですか?」

「会いたい。すっげぇ会いたい」

 ブラッドは即答したが、表情を曇らせた。

「でも、なんか会いたくねぇ。また会ったら、たぶん、オレ、本気で好きになっちまうと思うから」

「そうですか」

 フィリオラは自分の紅茶の中に野イチゴのジャムを落とし、スプーンで掻き混ぜた。ブラッドは、小さく頷く。

「よく解らねぇけど、そうなっちまう気がするんだ」

「そういうのって、一目惚れって言うんじゃないでしょうか」

 フィリオラは甘酸っぱい味の付いた紅茶を飲み下してから、微笑んだ。ブラッドは、急に赤面する。

「そんなんじゃねぇよ!」

「私には、そうとしか思えないんですけどね」

 フィリオラの茶化した言葉に、ブラッドは頬を赤らめたまま顔を背けた。

「一目、って…そうなのかなぁ…」

「当たって砕けてみるのも手だと思いますよ。それもまた人生経験です」

 フィリオラはブラッドのティーカップの中にも、ジャムを落として混ぜてやった。

「砕けちゃ意味ない気がすんだけど」

 甘ったるい味にされた紅茶を飲み、ブラッドは目を伏せた。フィリオラは、にんまりする。

「ダメならダメで、それでいいじゃありませんか。恋は甘くて苦いんです」

「なんか、薄情じゃね?」

「だって、これはブラッドさんの恋ですから。私はお話は聞けますけど、直接手出しは出来ませんから」

「そりゃ、そうだけどさ」

「それで、ブラッドさんはルージュさんと仲良くなりたいんですか?」

 フィリオラがブラッドを覗き込むと、ブラッドはまた赤くなった。

「うん、まあ、そりゃ、出来れば。でも、仲良くったって、相手はアレだから、どういう仲良くなのかもよく解らねぇけど、うん。そうなれたら、そりゃ、なりたいっつーか、なんつーか」

「じゃ、告白するしかないですよ。当たって砕けてきて下さい、そりゃあもう粉々になるくらいに!」

「だから、砕けちゃ意味ねぇよ。でも、そう、だよな」

 尖り気味の耳元まで赤く染めたブラッドは、しきりに照れている。その様がまた、可愛らしくてたまらなかった。
ブラッドが小生意気だった少年時代から付き合いがあるフィリオラにとっては、ブラッドは弟と言える存在なのだ。
少年から青年へと成長する姿をすぐ近くで見守ってきたので、彼が日に日に成長していくことが微笑ましく思える。
ついこの間までフィリオラよりも背丈の小さい子供だったのに、今ではレオナルドに追いついてしまいそうだった。
ブラッドが大人へ成長してしまうのは少しばかり寂しい気もするが、姉代わりとしては応援してやるしかないだろう。
 ブラッドは、まだ一人で照れていた。




 ブラッドが帰宅してしばらくした後、レオナルドが食堂に来た。
 本当に眠っていたらしく、ぼんやりしている。娘に釣られて眠った自分が情けないのか、顔をしかめている。
フィリオラはその様子に笑み、夫の目覚ましのために新しい紅茶を淹れた。窓の外では、日が陰り始めている。
 レオナルドは椅子に座ると、フィリオラの淹れた紅茶を啜った。フィリオラもその前に座ると、頬杖を付いた。

「ブラッドさん、好きな人がいるんですって」

「随分と長話だと思っていたが、そういうことだったか」

「その間、ずっと眠ってたんですか?」

「まさか。ブラッドが帰る前には目が覚めた。だが、まさかオレまで寝るとはなぁ…」

 自己嫌悪に陥っているのか、レオナルドは口元を歪めた。フィリオラは、娘の部屋の方向を見やる。

「リリはどうしてます?」

「一応、起きてはいる。この分だと、今夜は寝付きが悪そうだ」

 寝かしつけるのが大変だな、とレオナルドが苦笑したので、フィリオラは笑う。

「ですね」

 紅茶を飲み干そうとカップを傾けているレオナルドに、フィリオラは尋ねた。

「レオさんは私のどこが好きなんですか?」

 不意に、レオナルドがむせた。レオナルドはカップを下ろして激しく咳き込んでいたが、フィリオラに目を向けた。

「なんだ、唐突に」

「無性に気になりまして。結婚して大分経つのに、話してくれたことはないなぁーって思って」

「今、話せと?」

「別に無理にとは言いませんよ、無理にとは。ですけど、一緒になって十年も過ぎたんですから、少しぐらいは話してくれるべきだと思うんです。私の方はレオさんに言わされたことが何度かありますから、そちらも言って下さらないと平等じゃないと思うんですよ。あ、言えるかー、とか、うるさい、とか、また次に、とか、言わなくてもいいだろう、とか、お前に言うほどのことじゃない、とかは却下ですよ。レオさんが照れる時の文句は大体把握しましたから」

「…お前なあ。そんな下らないことを、いちいち覚えなくてもいいじゃないか」

 レオナルドが呆れると、フィリオラはにっこりと笑って詰め寄ってきた。

「覚えちゃったものは仕方ないですよ。それで、どこがどう好きなんですか? 教えて下さい、レオさん」

 レオナルドが身を引いても、フィリオラは動じない。それどころか、不気味に思えるほど明るい笑顔を向けてくる。
フィリオラはテーブルを乗り越えそうな勢いで、レオナルドとの間を詰めてくる。レオナルドは、慌てて後退した。
だが、椅子の背が食堂の壁に当たった。フィリオラが、さあ、と言ったところで、ぐずった泣き声が聞こえてきた。
 その泣き声に、フィリオラはすぐに顔を上げた。どうやら、寝て起きたばかりのリリが機嫌を損ねたようだった。
フィリオラはレオナルドと子供部屋をちらりと見比べたが、物足りなさそうな顔をしながらも椅子から立ち上がった。
レオナルドは助かったと安堵したが、フィリオラは食堂から出る前にレオナルドに近付き、きっと眉を吊り上げた。

「今はリリが優先ですけど、次はちゃんと話してもらいますからね!」

 レオナルドは妻の勢いに押され、反射的に首を縦に振った。約束ですよ、と強調し、フィリオラは食堂から出た。
昔とは、立場が逆転してしまっているそれにやりづらさを感じつつも、それはそれでいいかもしれない、と思った。
フィリオラに惚れた理由などいくらでもあるが、改めて口にするとなると、恥ずかしさで悶え苦しんでしまうだろう。
それに、いちいち言うほどのことでもないように思う。面倒な奴だな、とレオナルドは思いながらもにやけていた。
 テーブルに載っていたジャムの瓶を開け、ジャムを掬い取って紅茶に入れた。妻の手製なので、味は良い。
野イチゴの風味と甘さが、少し冷めた紅茶に混ざり込んだ。レオナルドは一気に飲み干してから、肩を落とした。
 ブラッドに思い人が出来た。それはとてもいいことだ。彼は今頃、下らないことを必死に考えてるに違いない。
恋愛の真っ直中にいると、どんなに小さなことでも大きく見える。同じようなことを、何度も何度も悩んでしまう。
昔は、よくそんなことに陥ったものだ。フィリオラに恋をした当初は、レオナルドも馬鹿みたいに悩んでしまった。
今思えば情けない限りだが、その頃は非常に真剣だった。若いっていいよな、とレオナルドは内心で呟いた。
 恋の味は甘い。だがそれ以上に、ほろ苦く、酸い。それが初めての恋であれば、尚更そうなってしまうだろう。
初めての恋に戸惑っているブラッドの胸中は野イチゴのジャムの如く、甘ったるくも酸味に満ちているに違いない。
 それが、なんと素晴らしいことか。




 若き半吸血鬼の青年は、初めての恋に悩み、苦しむ。
 かつて恋をしていた彼女は、その様を穏やかに見つめる。
 日に日に募る思いが愛しい相手に届くのは、いつになることか。

 淡き恋は、始まったばかりなのである。






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