ドラゴンは笑わない
not laugh Dragon





登場人物紹介



フィフィリアンヌ・ドラグーン 「私は善意で貴様を蘇らせたわけではない」
主人公。ハーフドラゴンの魔法薬学者。見た目は十二歳ほどだが、実年齢は七十四歳。
無表情で理屈っぽい。好きなものはワインと研究、嫌いなものは冒険者と笑うこと。
母親が緑竜族の魔導師で、父親は聖職者の家系の騎士。どちらかといえば母親似。

ギルディオス・ヴァトラス 「誰が好き好んで自分の墓を直しに行くんだよ!」
生前は傭兵の重剣士。現在は、自分の鎧に内蔵した魔導鉱石に魂を宿して動いている。
思考が短絡的だが、剣士としては一流。好きなものは刀剣と妻子、嫌いなものは爬虫類。
生きていれば三十四歳。重剣士の妻・メアリーと、精霊魔導師の息子・ランスがいる。

伯爵 「我が輩が伯爵でなければ、なんだと言うんだ?」
フィフィリアンヌが作ったスライムに、魂が宿った物体。常にワイングラスに入っている。
ワインレッドのゲル状で、本名はゲルシュタイン・スライマス。害はないが毒はある。
掴み所のない、自称貴族。好きなものはワインと喋ること、嫌いなものは乾燥と夏場。


カイン・ストレイン 「あなたが、ドラゴンだからです!」
貴族の三男で、十七歳。召喚術師。フィフィリアンヌへ一方的に好意を持っている。
契約獣はワイバーンのカトリーヌ。強烈なドラゴンマニアで、夢は竜族の都に行くこと。

カトリーヌ 
メスのワイバーンで、カインの契約獣。生後七ヶ月程で、人間に換算すれば三歳。
尾の赤いリボンが何よりの自慢であり、宝物。カインが大好きで、兄のように慕っている。

メアリー・ヴァトラス 「死んでたって生きてたって、ギルはギルじゃないか」
ギルディオスの妻で、三十二歳。重剣士。男勝りで気が強いが、ギルディオスにだけは弱い。
勘は鋭いが、妙なところが鈍い。家族が何よりも大事で、守るためなら命を張れる。

ランス・ヴァトラス 「通りで、精霊も動物も静かなわけだよ」
ギルディオスの息子で、十三歳。精霊魔導師。何事にも潔癖で、正義感が強い。
やたらと絡んでくるパトリシアにはうんざりしているが、実はまんざらでもなかったりする。

パトリシア・ガロルド 「わっかんないかなぁ、この乙女心」
鍛冶屋の次女で、十六歳。修道士。感情の起伏が激しく、表情がころころ変わる。
回復魔法よりも格闘戦が得意な、メイス使い。ランスと幼馴染みで、ランスが大好き。

グレイス・ルー 「一言、言ってやっただけさ」
呪術師。外見は二十代後半の好青年だが、実年齢は不明。本人も忘れかけている。
謀略と暗躍が好きで、趣味は悪事。自分で手を下すよりも、他者を陥れて操る方が得意。

レベッカ・ルー 「中身はえげつないんだけどねぇ、御主人様に似て」
グレイスに生み出された、人造魂で動くストーンゴーレムの一種。外見は八歳程の少女。
見かけとは裏腹に、強烈な魔力と腕力を持つ。グレイスに従うことが好きで、生き甲斐。

セイラ・サリズヴァイゴン 「セイラ。ソノ音、好キ。綺麗」
複数の魔物で形成された、単眼三本ツノの人造魔物。出身地、年齢、本名、全てが不明。
外見に似合わず、澄んだ歌声と優しい心を持つ。歌と水遊び、フィフィリアンヌが好き。

デイビット・バレット 「無念はないですが、未練があるせいだと思うんですよねぇ」
フィフィリアンヌの買った城に居着いていた、百年ほど前の幽霊。生前は売れない小説家。
妄想癖がひどく、放っておけばいくらでも喋り続ける。暗所恐怖症気味。伯爵と仲が良い。






用語解説



魔導鉱石
魔力を帯びた鉱石。宝石のようなものから、金属まで様々な種類がある。
中でも希少な宝石系は魔力が高いため、純度と大きさによってはかなりの値段になる。

魔力測定器
魔導鉱石の特性を利用した、魔導機械。大振りの懐中時計のような外見をしている。
測定方法は至って簡単で、検査対象の相手に持たせるだけで測定が出来る。
内蔵された魔導鉱石に持った者の魔力が吸収・測定されると、その量に従って文字盤の
針が動く仕組みになっている。魔力のない者が持つと、当然ながら微動だにしない。

魔導拳銃
魔法陣と魔力を込めた魔導鉱石・鉱石弾を弾薬とした、回転弾倉式拳銃型の魔法発動機。
通常の魔導砲は一種の魔法しか放つことが出来ないが、弾倉を回転させることにより、
数種の魔法を放つことが可能。だが、構造が厄介であるため、一つ作るのにも時間と金が
掛かってしまう。鉱石弾に大きさがないせいで、充填魔力が足りないと威力が出ないという、多大なる欠点もある。実戦向きではなく、どちらかといえば趣味の武器。

ドラゴン・スレイヤー
竜を狩ることを職業とする者の総称。一般の冒険者との、区別に使用されることが多い。
王国では竜族の存在を受け入れているため、正式な職業としての認定はされていないが、
隣接する帝国は皇族が竜族を嫌っているということもあり、正式なものとなっている。
よって半ば必然的に、ドラゴン・スレイヤーの大半は、帝国出身者である。

竜族
高い知能と魔力を持った、巨体の種族。二本のツノと翼、飛行能力があることが特徴。
寿命は人間より遥かに長いが、その弊害なのか繁殖能力は低く、絶対数は限られている。
高位の者は人間に擬態することが可能だが、その姿を維持するにはかなりの魔力が必要。
竜族を納める竜王は人間には好意的だが、一部の竜族が人間と争った過去があるため、
人間からは恐れられている。なので、ここ数十年は両種族の交流が途絶えてしまっている。

契約獣
召喚術師が操れる、召喚契約を交わした魔物の名称。普段は魔物個人としての生活をして
いるが、ひとたび召喚されてしまえば、召喚術師に命ぜられるまま動かなければならない。
よって魔物の間では、召喚術師と契約を果たした魔物は、堕落した者と見なされている。










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