機動駐在コジロウ




オーガニックの心、子知らず



 銀色の砲丸が、一直線に突っ込んでくる。
 馬鹿正直に受け止めるものではないので、伊織はステップを踏んで弾道から回避する。目標を失ったが方向転換 出来なかったのか、藤原はそのまま突き進んでロータリーを囲んでいる草むらに頭から突っ込んだ。湿った土と草 の切れ端が飛び散り、杉に激突する。距離感と出力が今一つ掴めていない様子からして、サイボーグボディを持て 余しているようだった。スラスターを何度か空吹かししてから、藤原は起き上がって振り返る。

「ちょ、ちょっと失敗してしまったようだな……。だぁがっ、まだまだこれからだぁっ!」

 と、叫ぶや否や、藤原は泥まみれのまま駆け出してきた。伊織はまたも回避すると、藤原はバランスを崩して派手に 転倒した。アスファルトに体の前面を擦り付けながら火花を散らし、車庫の外壁に激突して止まった。これでは、 戦闘にすらなりはしない。父親が肉体を失ったのは奥只見湖での戦闘の際で間違いないだろうが、時系列を逆算 するとサイボーグ化してからは二ヶ月も過ぎていない。通常のサイボーグボディでもリハビリを重ねなければ操縦が 難しい、と道子が以前言っていたような気がする。だとすれば、サイボーグ化すると同時に武装サイボーグとなった 父親は、己の体に振り回されるのは当たり前だ。もう少し考えてから行動してくれ、と伊織は呆れた。
 摺り下ろされたように塗料が剥げた胸部装甲を張りながら、藤原は起き上がった。パワーに応じて機械熱もそれ 相応の高さなのか、早々に泥が乾いて落ちていく。関節から蒸気を噴出した後、藤原は身構える。

「さあ、どうする、伊織? ふははははは!」

「ウッゼェんだよ、クソ親父!」

 さっさと片付けてしまうに限る。伊織は日差しで熱したアスファルトを蹴り、一直線に藤原に迫っていった。外装は いずれも分厚く、頑丈そうだが、関節だけは防御し切れていない。そこを狙って攻撃を仕掛ければ、数分で決着が 付けられるだろう。一息に藤原の懐に滑り込んだ伊織は、長い下両足を生かして連続した蹴りを放ち、藤原の巨体 が仰け反った瞬間に右肩のジョイントに右上足の爪を食い込ませた。が、しかし。

「ふんっ!」

 藤原は伊織の爪が差し込まれた右肩を締め、ジョイントに伊織の爪を挟んできた。

「くそっ、何しやがる!」

 伊織は慌てて爪を抜こうとするが、ジョイントに充填されている緩衝材に爪先が入り込んでしまったのか、粘着質 な感触だけが返ってくる。伊織が暴れるも、藤原は脇を緩めようとしない。それどころか、伊織を抱きかかえた。

「伊織、お前の最大にして最強の武器はその爪と敏捷力だ。その程度のことが解らないほど、無能な父親だとでも 思っていたのかね? うん? 攻撃方法も場所も予想通りすぎて、用意してきた緩衝材が早々に役立ったぞ!」

「ウッゼェっつってんだろうがぁあああっ!」

 伊織は藤原の胸部装甲を蹴り付け、引っ掻き、左上足の爪も使って右上足の爪を引き抜こうとするが、抜けそうな 気配すらなかった。めり込んだ爪先が肩のジョイントやシリンダーに触れている手応えはあれど、爪を動かせない のであれば無意味だ。そうこうしているうちにも、藤原は両腕を大きく曲げて伊織を抱き締めてくる。

「更に言えば、お前の外骨格はキチン質だ。カニやエビの殻と同じく、軽くて頑丈だが、熱にはそれほど強くない。と いうわけでだ、私は裏金を湯水のように注ぎ込んで、これを造り上げたというわけだ!」

 藤原の両腕の外装からレンズの填った銃身が現れ、それが伊織の側頭部と胴体に据えられる。

「喰らうがいいっ、秘密兵器その一であるレーザーガンを!」

 全ての足を押さえ込まれている伊織には、その攻撃を逃れる術はなかった。側頭部と胴体に押し付けられた銃口 が発する超高温の光線は黒い外骨格を熱し、青白い光を零す。外骨格では防ぎようのない熱が体液を直接熱して 濁らせ、蛋白質を過熱して凝固させ、火傷よりも遙かに激しい苦しみが襲い掛かる。何本か神経が焼き切れ、内臓 が固まっていくのが解る。悲鳴を上げようとするも、あまりの高熱に胸郭が割れてしまい、声が上手く出なくなる。
 熱線が止まるまでの僅かな時間が、永遠のように感じられた。側頭部と胸部装甲が焼け焦げて無惨に割れ、体液 を垂れ流している伊織を、藤原は無造作に放り投げた。複眼が己の体液の海に没し、触角が折れ曲がる。

「どうだ、それでもまだ喋れるかね?」

「……ぐぅえぁ」

 割れた胸郭を押さえて伊織は濁った声を発したが、言葉にはならなかった。この世には、生きたままのエビやカニ を火炙りにして食べる人間が多くいるそうだが、人間とは残酷すぎる、と伊織は身を持って痛感した。過熱する なら、せめて止めを刺してからにして欲しいものだ。生きながらにして体液が煮える音を聞かされるのは、精神 までもを痛め付ける拷問だった。神経が切れたために上両足の制御が出来ず、がくがくと痙攣している。
 上右足の爪は未だに藤原の右肩関節に埋まっていて、伊織はぶら下がるような格好になっていた。藤原は伊織 の爪を再びレーザーガンで過熱して呆気なくへし折ると、更には伊織の爪を根本から一気に引っこ抜いた。当然、 神経と筋繊維が繋がっていたため、伊織は壮絶な痛みに仰け反った。が、悲鳴は上げられなかった。

「どうだ、痛いか? 痛いだろう、痛いだろう、痛いだろう?」

 藤原は伊織の爪の根本から零れ落ちた太い神経糸を抓むと、捩った。途端に新たな痛みの奔流が伊織の全身を 貫き、痙攣が激しくなる。その度に割れた外骨格から体液が漏れる量が増し、空っぽになるのは時間の問題だ。

「いいか、伊織。強さの本質は、即物的な攻撃力でもなければ凶暴性でもないのだ。インテリジェンスだ!」

 抗うことすら出来ずに伊織が突っ伏していると、藤原は両足の外装を開き、白く濁った液体が詰まったシリンダー を取り出した。それを右腕に装着し、畳針のような極太の注射針と右手の人差し指を連動させたのか、人差し指を 曲げるたびに白い液体が数滴飛び出した。それは伊織の体液に滴ると、体液が溶けて色を失った。

「これこそが真の秘密兵器であり、お前のD型アミノ酸を分解する酵素だ。私とて科学者の端くれだ、D型アミノ酸の 分解酵素の化学式ぐらいは頭に入れてある。だから、新免工業に身柄を引き取られた後でも、こうしてお前のため に秘密兵器を用意出来たのだ。さて本題に戻ろうか、お前の体液は七割がアソウギで出来ている、それを分解する 酵素を体内に流し込んだら……どうなると思う?」

 藤原は伊織の目の前に注射針をちらつかせ、単眼を瞬かせる。どうなる、と尋ねられても、伊織の肉体が酵素に よって分解されるとしか思えないのだが。そんなことになれば、伊織は今度こそ死ぬだろう。触手を仕込んで伊織の 肉体を元に戻してくれた寺坂からも、伊織の体はガタが来ていると言われた。自分でも、あまり無理が利かなくなって きたとは実感しつつあった。だからこそ、学校に行きたいと願い、りんねを守ろうと思い、行動したのだ。
 それなのに、こんなところで死んでたまるものか。伊織は最後の気力を振り絞ってアソウギを操り、外骨格の穴を 塞ぎ、神経を強引に繋ぎ合わせ、ふらつきながらも立ち上がった。藤原の右腕を払おうとするも、腕力が著しく低下 していたせいか逆に上右足を掴まれた。が、今度は勝機はある。伊織は下半身を曲げ、藤原の右肩のジョイントに 埋まっている己の爪を全力で蹴り付けた。割れ目の入っていた緩衝材が破れ、金属の軸と歯車が露わになる。

「うっ!?」

 藤原は反射的に伊織を離して後退ったが、伊織の爪先はジョイントの歯車を割ったのか、少しの間を置いてから 藤原の右腕が落下した。伊織は肩を上下させ、汚れた複眼に父親を映し込む。

「てめぇの勝手なことばっかりしてんじゃねぇよ、クソが、屑が、ゴミがぁっ!」

「何を怒っている、伊織。私は今、最高に楽しいっ! 楽しすぎてブッ飛んでしまいそうなぐらいに! この世を楽しむ ためにはドラッグなんぞ不要なのだ! 必要なのは妄想と行動力と信念だ!」

 落ちた右腕からシリンダーを外して左手に握った藤原は、本当に楽しそうだった。

「勝手に俺を作って、散々遊んで、殺して、それで終わりなのかよ!? クソッ垂れが!」

 何を言っても通じない相手だと解ってはいたが、言わずにはいられない。伊織が喚くが、藤原は笑い続ける。

「そうか、私の相手をするのはつまらないのだな? そうだろうなぁ、私は生身ではないから喰うべき部分はほとんど 残っていないし、怪人の中では最強と言っても差し支えのないお前をこうもあっさりとやり込めてしまったのだから、 腹も立つだろうなぁ。だが、安心しろ。私はバッテリーがそれほど長持ちしないから、戦闘を長引かせはせん」

「だから黙れよ、黙ってくれよ、俺の話を聞けよクソが!」

 伊織は藤原を睨み、叫ぶ。そうでもしなければ、心臓が潰れてしまうような気がした。

「聞くべき話など、あるものか」

 藤原は口調を改めることすらなく、笑みも押さえようとしなかった。シリンダーを構えながら、伊織に迫る。

「いいか良く聞け、伊織。お前は私の崇高にして偉大な実験の産物であって、世にも哀れで稀少な人喰いの化け物 であって、私の最大の娯楽にして快楽の坩堝には欠かせない人材なのだ」

 ごり、と注射針が伊織の複眼の間に押し当てられ、針の先端に溜まっていた分解酵素が外骨格を溶かした。

「私はお前を愛しているんだ、伊織! 愛しているからこそ、お前で遊び尽くしたいのだ!」

「それが本音かよ」

 怒りも苛立ちも通り越した伊織は、声を上擦らせた。剥き出しになってはいたが直視しないようにしていた父親の本性 を目の当たりにして、絶望して泣くべきなのか、呆れ返って笑うべきなのか、迷ってしまった結果だった。

「まあ、真子はそれなりに愛してはいたが、あの女はダメなんだ。真子はな、秘書の三木君と通じ合っているのだ。 真子が私と結婚してくれた理由も、三木君に近付くためだったのだよ。私を伊織と怪人増産計画に熱中させ、結果 として会社から追い出したのも、真子と三木君が連れ添っていても不自然ではない環境を作るためだったのだよ。 社長秘書と元社長夫人であり現大株主であれば、親しく接していても平気だと踏んだのだろうさ」

「知らねぇよ、んなもん」

 連れ添った妻が同性愛者で自分の秘書を愛していた、となれば、藤原の受けるストレスは並大抵ではなかったかも しれない。だからといって、真子とアソウギを交わらせて伊織を産ませていいわけがない。その伊織を子供染みた 願望に付き合わせたばかりか、弄んだ挙げ句に殺していいはずがない。人間ではないからといって、法律では認知 されていない存在だとしても、許されるわけがない。伊織自身が、父親を許していないからだ。

「というわけでだ、伊織! お前はもっと私を楽しませてから死んでくれ!」

 藤原は左腕を上げ、レーザーガンの銃口を掲げた。伊織の頭上を通り過ぎたレーザーポインターが捉えたのは、 岩龍の手中で横たわっているりんねだった。伊織はすかさず駆け出し、飛び上がって射線上に入る。直後、背中の 外骨格が焼けて嫌な煙が立ち上った。その一撃で辛うじて再生させた傷口が再び開き、体液を幾筋も流しながら、 岩龍の足元に転げ落ちた。何度か回転した後、岩龍のキャタピラに激突する。
 兄貴、と岩龍の不安げな声が掛けられたが、その岩龍もまたレーザーガンで狙撃された。単眼のスコープアイを 的確な射撃で砕かれてしまい、視界を奪われてよろめいた。その拍子に右腕が傾き、未だに体の自由が効かない りんねが滑り落ちてきた。少女の体がアスファルトに叩き付けられる直前に、伊織は余力を振り絞ってアスファルトと 少女の間に割って入った。四十五キロ少々の肉体が胸部装甲にめり込むと、その重量で更に体液が溢れ出すが、 最早気にならなかった。そんなことを気にしていられる余裕など、なかった。

「ふむ。黒幕かと思いきや操り人形にすぎなかった悲劇の美少女と、それを身を挺して守ろうとするダークヒーロー もどきのヴィランか。そう、これだ、これを求めていたのだよ! たまらんなぁ! ゾックゾクする!」

 藤原は悠長な足取りで近付いてくると、レーザーガンの銃口を伊織とりんねの頭の上でふらつかせる。

「さあて、どっちから殺してくれようか! 先に御嬢様の頭を吹っ飛ばして、その脳を伊織が喰って一発逆転狙いの 展開も捨てがたいのだが、伊織を分解酵素で完全に殺して御嬢様に骨の髄まで絶望を味わわせてしまうというのも 燃えてくる! ふはははははははははっ!」

 笑いながら、藤原は伊織を踏み付けてくる。伊織はりんねが踏まれてはたまらないと上下を反転させ、りんねの体 を下にして全ての足を突っ張らせた。すかさず、藤原は伊織の背中を体重を掛けて踏んできた。僅かばかりの空間 に守られたりんねは、伊織が踏まれるたびに飛び散る体液の雫を浴びると、蝋人形も同然の顔が青ざめていった。 次第に前のめりになってりんねの肩に顔を埋める格好になった伊織は、爪が一本折れた上右足で出来る限り優しく りんねを抱き寄せた。それ以外に、出来ることがないからだ。

「だが、抵抗しないのであれば、面白くもなんともないな。ならば、時間の無駄だ」

 興醒めだな、と呟き、藤原の攻勢が止まった。汚れて割れた複眼の隅でシリンダーが上がり、白い液体が注射針 から零れて伊織の割れた背中を濡らし、溶かした。冷たく硬い異物が割れた外骨格を乱暴に破壊し、体液と内臓に 侵入してくると、生温い液体が注入された。それは体液に馴染むことなく、広がり、中和し、溶解し始めた。
 涙すら流せないりんねの頬に触れようとするも、上右足が内側から溶けてしまい、ずるりと外れた。外骨格が一つ 一つ外れ、離れていくと、よく煮込んだ具材のように溶けた内臓がアスファルトに叩き付けられた。複眼に映る少女の 顔を見つめながら、伊織は意識を離すまいと踏ん張っていた。そのおかげか、その後の出来事が解った。
 伊織に分解酵素を流し込んだ後、藤原は思い違いだったと愚痴を零しながら別荘に背を向けた。が、振り返って 左腕で何かを弾き飛ばした。高々と宙を舞った後にアスファルトに突き刺さったのは、一振りの日本刀だった。それ を投げた張本人は、別荘の地下一階である駐車場から現れた。作業着姿の矮躯の男、高守信和だった。
 貴様は何者だっ、とテンションを戻した藤原は高守に襲い掛かるが、長さの違う日本刀を左右の手に携えている 高守は藤原の荒々しい打撃を鮮やかに受け流し、軽妙な足捌きで藤原の懐に入り込むと、丸太のように太い足を 切り付けた。ただの日本刀では効き目はあるまい、と伊織は思ったが、積層装甲が一太刀で断ち切られて内側の 配線や配管までもが切断された。火花を散らしながら藤原が転倒すると、高守は身軽に飛び跳ねて藤原の胸部に 乗り、太刀を一振りして藤原の頭部を切断した。最後に小太刀で止めを刺され、藤原は動きを止めた。
 人工体液の飛沫を全身に浴びた高守は、伏せがちだった目を上げて伊織とりんねを見据えてきた。伊織はその 力強い眼差しに一瞬臆しかけたが、お嬢を頼む、との意志を送るために触角を曲げた。
 そして、伊織は事切れた。




 状況を理解するまでに、少々の間を要した。
 銃声に驚いて立ち竦んだつばめの前に、駆け出してきたコジロウが立ち塞がる。叢雲神社を囲んでいる茂みの 中から足音と呻き声が聞こえてくると、二人の人影が日差しの下に出てきた。片方は重武装した武蔵野で、もう片方 は迷彩服を着ていて顔もペイントを塗っていたが、見知らぬ若い男だった。スナイパーライフルと思しき銃身の長い 銃を肩に提げている。武蔵野はその男の襟首を掴んでいたが、ゴミを捨てるかのように地面に投げた。その拍子に 首の後ろから夥しく出血し、絶命していることが解った。つばめが青ざめてコジロウの影に隠れると、武蔵野は硝煙 の昇る大型の拳銃を軽く振って煙を払った。
 底抜けに明るい真昼の景色には似合わない、陰惨極まる光景だった。引っ込んだばかりの涙がまた出てきそう になったが、つばめは意地で堪えた。いちいち弱気になっていたら切りがないし、コジロウを困らせてしまう。けれど、 人間の死体を目の当たりにしたショックは予想以上に大きかった。

「勘違いするなよ、佐々木の小娘。俺はお前を助けたわけじゃない」

 武蔵野は絶命している男をつま先で蹴ると、ブレン・テンの照準をつばめに合わせた。

「この馬鹿野郎は作戦の趣旨を理解していなかったみたいでな、お前を殺そうとしていたんだよ。だから、俺は現場 の判断で奴を処分した。いくら人件費が安いからって、半島の軍人崩れなんか雇うもんじゃねぇな。抵抗するなよ、 抵抗しただけ時間と手間を喰う羽目になるからな。佐々木の小娘、コジロウを機能停止させて連行されろ」

「そんなの、絶対に嫌って言うよ?」

 コジロウの腕を握り締めて震えを誤魔化しながら、つばめが言い返すと、武蔵野は引き金を軽く絞った。

「すぐに言えなくしてやるよ」

 どうすればいい、何をすればいい、コジロウをどう動かせばいい。つばめは頭を巡らせようとするが、迷彩服姿の 男の傷口から広がった生温い血の臭気が鼻を掠め、胃袋を締め上げてきた。喉の奥に嫌な酸味が迫り上がるが、 必死に歯を食い縛る。武蔵野が左手を挙げると、雑草の中を駆けてきた数人の男達がつばめの前後左右を固め、 自動小銃でつばめとコジロウを威嚇してきた。吐き気と緊張感と恐怖で、つばめは唇をきつく噛んだ。
 写生の宿題は、まだ手付かずだというのに。





 


12 9/24