銃声が途絶えた。 膝を抱えていたつばめは、頬に付いた涙の筋を拭いながら顔を上げた。そのせいで、せっかくの化粧が台無しに なってしまったが、もうそんなことはどうでもよかった。頑丈な扉の向こうで、たった一人で戦い続けていた武蔵野が やられたのだろうか。彼が持っていた武器は、あの対サイボーグ用のショットガンとマガジンが一つ。もちろん、それ 以外の拳銃も装備しているだろうが、弾丸には限りがある。嫌だ、嫌だ、もう嫌だ。 誰かが死ぬのは嫌だ。辛い目に遭うのも嫌だ。自分がこの世に存在しているせいで、誰かが苦しむ羽目になる。 つばめを妊娠していたせいで、母親のひばりは新免工業に誘拐された。産まれて間もないつばめを怪人に奪われ、 武蔵野は右目を奪われた。更には、つばめがいなかったから、ひばりはつばめの身代わりになってナユタを止め、 消滅してしまった。頭の芯がぐずぐずに腐っていくような、自分への嫌悪感が膨れ上がっていく。 「お母さん」 出来ることなら、母親に会いたい。直接会って、謝りたい。産まれてきてごめんなさい、自分がいるせいで沢山の 人達が無用な争いを繰り返している、お母さんのことも死なせてしまった。償う方法なんて、あるわけがない。 「お母さん……」 ほんの少しでいいから、母親のことを覚えていたかった。だが、生後一ヶ月ではろくに目も開いていないだろうし、 母親の顔どころか声すら覚えていられるはずがない。生きるために無我夢中で、それ以外の余力を割けないのが 新生児だからだ。ずっと考えないようにしていたのに、寂しいと思わないようにしていたのに、最初から親なんて存在 していないと思うようにしていたのに、母親の存在が証明されると虚勢が壊れてしまった。 「お母さぁん……」 そして、その母親はナユタが分子レベルで分解してしまった。そもそも、なぜナユタは暴走したのだろう。新免工業 がナユタに無茶をさせていたのは明白だが、管理者権限を持たない人間や機械などが働きかけたところで、ナユタ は本来の機能の一部分しか発揮出来ないはずだ。その頃、管理者権限を所有していたのは祖父だが、時系列を 整理して考えてみると齟齬が生じてくる。祖父は遺産を手放す必要があったのだろうか。莫大な利益を得る意味は どこにあったのだろうか。ありとあらゆる争い事は、祖父がその能力を使って遺産を管理しようとはせずに大企業に 売り渡したのが原因ではないのか。 だったら、ナユタを暴走させて母親を死に至らしめたのは、祖父である佐々木長光ではないのだろうか。その考え に至った瞬間、つばめは悲鳴を漏らしかけた。馬鹿なことを考えるな。そんなこと、あるわけが。 「でも、でも……」 つばめは先程とは違う意味で涙ぐみながら、乱れた髪を掻き上げる。 「どうして?」 もう、何が何だか解らない。嫌なことしかない、辛いことしか起きない、苦しいことしか訪れない。頭を抱えたつばめ が息を殺して泣いていると、扉の蝶番が軋んだ。武蔵野を倒した戦闘員が来たのだろうか。けれど、つばめは抵抗する 意志を完全に失っていた。自分自身で至った答えが誤りであってくれ、と思うだけで精一杯だったからだ。 細く入り込んできた光が幅を増すに連れ、吐き気を催させる匂いも流れ込んできた。扉が全開になると、蛍光灯の 逆光を受けた男が立っていた。その手には硝煙を昇らせるショットガンが一挺と、大型の拳銃が一挺あった。 「片付いた」 武蔵野だった。スーツは盛大に返り血を浴びていて、元の生地の色が思い出しづらくなるほどの有様だった。彼も 無傷とは言い難く、スーツの両袖は幾筋も切り裂かれ、スラックスも同様だった。武蔵野は緊張と疲労を緩めるため にため息を吐くと、弾切れになったショットガンを雑に投げ捨てた。火傷するほど熱した鉄の筒から、ゆらりと陽炎が 漂った。武蔵野は手近な自動小銃を拾って担ぎ、ホルスターを身に付けてマガジンを差した。 「立て。行くぞ」 「どこへ?」 「外だ。この船はかなり改造してあるからな、格納庫に行けばモーターボートがごろごろしているし、ともすりゃ屋上の ヘリも奪える。生かしてやるよ、お前だけは」 「嫌。どこへも行きたくない。コジロウの傍にいる」 「馬鹿言うな、あの木偶の坊はナユタと一緒に消し飛んじまったぞ。傍にいようがない」 「……ぇ」 絶句した。つばめは涙も止まり、声も出せなくなった。武蔵野は再度ため息を吐く。 「今し方、ナユタが暴走したんだよ。おかげで船の前半分は滅茶苦茶だ、ナユタを中心に半径十メートルに存在して いた物質が綺麗さっぱり消え去った。コジロウも無事じゃねぇだろうし、あの馬鹿共も解らん。だから、諦めろ。俺は お前の母親は守ってやれなかったが、お前のことだけは守ってやる。そうでもしねぇと、筋が通らねぇんだよ」 武蔵野の言葉が聞こえなくなる。損傷した大型客船の軋みも聞こえなくなる。蛍光灯の光も、ねっとりとした鉄錆の 臭気も、硝煙の鋭い匂いも、何もかもがつばめの世界から遠のいていった。おい、どうした、と武蔵野が声を掛けて きたが、つばめは反応出来なかった。倒れそうになったところを支えられ、天井を仰ぎ見る格好になった。ぐるりと 世界が捻れている。ナユタは悪い子だ。自分自身のように、産まれながらにして悪い子だ。だから。 そんな思いが、つばめの心中に凝った。 死ぬかと思った。 それは、三人に共通する感想だった。ナユタが発光して本来の機能とは異なる破壊を行った瞬間、寺坂は咄嗟に 道子の電脳体が入ったMP3プレイヤーを、三人が入っている箱を抱えている人型重機に投げ付けた。外装に接触 させただけでは電脳体を転送出来ないのでは、と危惧したが、そこは無限情報処理装置のアマラの能力を操れる 道子である。鬼無が盗撮に用いた短波無線の電波を絡め取っていたらしく、それを通じて人型重機に電脳体を転送 させたのだ。そのおかげで、ナユタが周囲の物質を消滅させた瞬間に発生した衝撃波で、寺坂と一乗寺は箱ごと 海に吹っ飛ばされそうになったが寸でのところで道子の操る人型重機にキャッチされた、というわけである。 「心臓止まるかと思った……」 穴開いているけど、と上下逆さまになっている寺坂が呟くと、その隣で斜めになっている一乗寺がはしゃいだ。 「ひゃっほう、エキサイティングぅー! ナユタってば過激なんだからー!」 「お二人とも、随分と余裕ですねぇ」 間に合わせの濁った電子合成音声を発しながら、道子の電脳体が入った人型重機は姿勢を戻した。キャタピラを 回転させて甲板の先頭付近にまで後退すると、ナユタの被害を受けていない場所に箱を下ろした。そして、重機の パワーで箱を呆気なく解体すると、ああやれやれ、と寺坂と一乗寺が外に出てきた。 「で、どうする」 首をごきりと鳴らした寺坂は、ジーンズを引き裂くと、だらしなく伸びる触手に巻き付けていい加減にまとめた。 「ナユタをどうにかするにしても、俺達じゃどうにも出来ないじゃーん」 一乗寺は笑顔のままで、光を弱める気配すらないナユタを指した。 「だからって、無視出来るかよ。このままじゃ、俺達も豪華客船と一緒にオシャカで御陀仏、三途の川クルージングの 後に閻魔大王と御対面だぜ。みっちゃん、なんとかしてナユタにアクセス出来ねぇのか?」 寺坂が人型重機を仰ぎ見ると、道子は小首を傾げた。 「んー。それはこの船に連れてこられた時から試しているんですけど、ナユタって強情なんですよねー。アマラの方 からダウンロードしたアクセスコードを使ってみたんですけど、弾かれちゃうんです。で、船島集落のつばめちゃんの おうちで良い子にしているタイスウとアソウギにも手助けを頼んだんですけど、無駄でした」 「なんだよ、その人間的な表現は」 寺坂が訝ると、道子は笑った。 「どうしてもそうなっちゃいますって、あの子達と付き合っていると。皆、個性の固まりなんですよ? コジロウ君の核 であるムリョウにしても、なかなかの曲者ですし。タイスウは四角四面の真面目な性格で、融通が効かないんです。 アソウギは求められればいくらでも自分を差し出すけど、その使い方を他人に教えようとはしません。なんていうか、 諦めているんですよ、アソウギは。で、私の人生をひっくり返してくれたアマラは夢見がちなんです。女の子らしいと でも言いますか、常に大量の情報に曝されているからか、ふわふわしているんです」 「で、ナユタはどうなの? そこんそこが知りたいなぁ」 一乗寺に尋ねられ、道子は少し考えてから答えた。 「ナユタは幼いんです。エネルギーの凝固物ではありますが、普段は分子活動を抑制されていますから、眠っている のと同じ状態なんです。その能力を活用された経験も少なければ覚醒している時間も短いので、おのずと外界から の刺激に敏感になってしまって、他の遺産だとくすぐられた程度の刺激に反応しちゃうんです。だから、本来ならば 割れるはずのない表面が割れて、破片がいくつも出来てしまうんです。それと、不純物が混ざったせいで不安定な 状態が続いているので、苦しんでいます」 佐々木ひばりさんの御遺体です、と道子が沈痛に付け加えると、寺坂と一乗寺は表情を一変させた。道子もまた やるせないのか、瞬きをするようにしきりに単眼に似たアイセンサーのシャッターを開閉させた。 「元に戻してやることは出来ないのか」 「出来ません。アマラの情報処理能力でも、アソウギの生体改造能力でも、分子レベルで分解された人間の肉体を 回復させるのは不可能です。出来ることがあるとすれば、ナユタが完全に覚醒して、ひばりさんの御遺体の分子を 消滅させることです。もっとも、今のナユタは、ムリョウと同調しているので難しいですが」 寺坂の言葉に道子が返すと、一乗寺は腕を組んだ。 「で、ムリョウっつーか、コジロウはどうなったの?」 「えーと、それがですね、ちょっとヤバめな感じに……」 道子が答えようとした時、一発の銃声が聞こえた。大型客船の前半分が大きく抉られたことで、甲板やブリッジ上に 配備されていた戦闘員達も混乱の極みに陥っていた。バランスを失った船体は徐々に傾き始めていて、船底に穴は 空いていなかったものの、竜骨にあたる鉄骨が覗くほどの損傷を受けているので、強度がかなり落ちている。だから、 浸水してくるのは時間の問題であった。だが、社長はレストランで撃たれ、武蔵野はつばめを連れて逃亡したことで 現場は大混乱していて、統制もかなり乱れているようだった。 それでも、三人は努めて冷静さを保っていた。なので、銃声の主には即座に対応した。手始めに道子が人型重機 の腕力で殴り付けて甲板に転がし、次に寺坂が触手で拘束しながら関節を逆に曲げて壊し、最後に一乗寺が手近な 破片を的確に投げ付けて視界を奪った。落下の衝撃で両手足が外れた鬼無は、芋虫状態で情けなく喚いた。 「なんだよもう! クソが! てか、何だよあれ! 俺も死ぬところだったじゃないですかーやだー!」 「それもこれも、お前が悪いんだよ。逆鱗ってぇのはロボットにもあるんだなぁ」 寺坂が汚れた靴底で鬼無の頭部を踏み躙ると、鬼無は無様に藻掻いた。 「んだよ! 俺に触るな、クトゥルフの親戚! 煽り耐性ぐらい付けておけっての、マジクソゲーすぎだしー!」 「海に捨てちまおうか、これ」 寺坂は鬼無の胴体を持ち上げて上下逆さまにすると、道子が苦笑した。 「海が汚れちゃいますよ。それに、漂流中に誘導ビーコンでも出されたら、誰かが回収しちゃいますって」 「そうそう。こういう時は確実に仕留めておかないと、後が面倒なんだよねー、っと」 一乗寺はにこにこしながら、鬼無の破損した腕が握っていた自動小銃を引っこ抜き、担いだ。 「クソガキのくせに、なかなかいい銃を使ってんじゃないのよ。生意気だぁー。うふふふふ」 「ちょっ、待て、俺ってネトウヨじゃないですから! ちょっと煽っただけで叩かれるの!? あんなもんは煽りの 内に入らないっつーか、そもそも俺に煽る気はなかったっていうかでー!」 鬼無は懸命に胴体をよじらせるが、手足がないので寺坂の触手から逃れる術はなかった。無邪気な笑顔を顔に 貼り付けた一乗寺の銃口が鬼無の頭部に据えられると、ひぃ、と鬼無は引きつった悲鳴を上げた。だが、寺坂も、 道子ですらも、一乗寺を止めようとはしなかった。サイボーグの積層装甲であれば、至近距離で発砲されても弾丸 は貫通しないだろう。だが、衝撃を分散することも緩和することも出来ない。つまり、鬼無の頭部に自動小銃を連発 してやれば、鬼無のブレインケースに収まっている脳は見事にシェイクされるという寸法だ。 一乗寺の指が引き金に押し込まれる寸前、再びナユタが発光した。先程の無差別攻撃ではなく、青白い光が収束 して夜空を駆け抜けていった。辺りが眩しく照らされ、束の間、大型客船は昼を迎えた。光が弱まり、球体を成すと、 その中心には見覚えのあるシルエットが浮かんでいた。 赤いパトライト、白と黒の外装、胸部装甲には片翼のステッカー。地上最強の警官ロボット、コジロウだった。彼は 新免工業によって解体されたはずの両手足を取り戻しており、発光していた。ナユタの分子構造を変換させて己の 両手足を形成し、ボディに組み込んだのだ。コジロウの傷の残る赤いゴーグルが上がり、鬼無を捉えた。 「……つばめの情緒に著しい変動と、損害を確認」 コジロウが空中から一歩踏み出すと、船体に開いた大穴が衝撃波によって抉れ、船底から海水が噴出した。 「その原因を排除する」 空中を蹴ったコジロウが身を躍らせ、寺坂達が留まっている甲板の先端部分へと向かってきた。すかさず道子は 寺坂と一乗寺を抱えてキャタピラを急速回転させ、折れ曲がった甲板の床をカタパルト代わりにして、大型客船の 後ろ半分へと飛び移った。落下軌道を変えられなかったのか、コジロウはそのまま甲板の先端部分に着地する。 と、同時に、甲板の先端部分がごっそりと消え失せた。大波が発生し、海水が降り注ぐが、コジロウに触れる寸前で 海水は一滴残らず消滅した。これでは、暴走したナユタが自律行動を始めたも同然だった。 「ああっ、うっかり連れて来ちゃったぁっ!」 急ブレーキを掛けて止まった道子は、寺坂の触手に囚われたままの鬼無を見、ぎょっとした。 「ヤバさがクライマックスだろ、これ」 少々青ざめた寺坂が今し方まで船首が存在していた空間に浮遊するコジロウを指すと、一乗寺は楽観した。 「まー、でも、なんとかなるってぇ。ロボットと人工知能と謎の古代文明は暴走するのが定番でしょー?」 お前なぁっ、と寺坂は一乗寺の襟首を掴んで揺さぶったが、一乗寺の笑顔は消えなかった。ふと気付くと、寺坂らの 周囲には逃げ延びてきた戦闘員達が固まっていた。彼らは寸でのところでナユタの攻撃を回避したが、その後の 行動をどう取るべきかが解らなくなってしまったのだろう。何人かは寺坂らを攻撃しようと銃口を上げたが、現場の 指揮官と思しき戦闘員が叱責して銃口を下げさせていた。こうなってしまっては、小競り合いしている場合ではない からだ。戦闘員達がゴーグル越しに注いでくる縋るような眼差しに、寺坂は半笑いになった。 「え、俺? いやいや何も出来ねぇから、触手があるだけの坊主だから、期待するとガッカリ度が半端ねぇから!」 「俺は殺していいよーって言われれば誰でも殺すけど、さすがにアレは無理かなー。えへ」 一乗寺が変なポーズを取りながらウィンクすると、道子は平謝りした。 「えーと、私は電脳体ですけど、だからって何でも出来るわけじゃないですからね? コンピューターと電子の何某か が万能なのは、ハリウッド映画の中だけですからね?」 三人の言葉に、戦闘員達はざわついた。プロらしからぬ怯えぶりだが無理からぬ話だ。ナユタを吸収したコジロウ の攻撃によって発生した衝撃波は、沈没寸前の大型客船に致命的なダメージを与えていたからだ。爆発音の後に 黒煙が噴き上がり、ナユタとは異なる赤い光源が生まれた。轟々と燃え盛る炎を浴びて、コジロウの横顔は異様な 凄みを帯びていた。両の拳を固く握り締め、船の後ろ半分に避難した者達を一瞥し、鬼無を見定めた。 「目標、確認」 コジロウの両足が宙を蹴ると、空間が、否、空気中に含まれている物質が爆ぜて推進力に変換された。炎に似た 揺らめきが一瞬生まれ、消えた瞬間には、ソニックブームのような衝撃波を伴った警官ロボットが突っ込んできた。 逃げる暇もなければ回避する方法を考える暇もなく、人型重機を間借りしている道子の背後に隠れていた者達以外 は紙切れのように容易く吹き飛ばされて夜の海に沈んでいった。 甲板に足を着けた部分を消滅させたコジロウが、寺坂の触手によって簀巻きにされている鬼無に照準を合わせて 拳を振り上げる。コジロウが接近したことで寺坂の触手の尖端も消滅し、巨大な化け物に囓り取られたかのように 円形に失われた。青白く発光する拳が鬼無に迫り、積層装甲が蒸発し、内部構造が露出する。そのまま人工臓器 とブレインケースにもダメージが及ぶかと思われた、その時。 突然、コジロウは動きを止めて拳を引いた。寺坂は鬼無と共に崩れ落ち、詰めていた息を少し緩めた。コジロウは マスクフェイスを上げ、度重なる衝撃波によって外壁が割れた客室のブロックを仰ぎ見た。寺坂が恐る恐る目線を 上げると、ガラスと壁の破片が散乱するベランダに、上から下まで血塗れの武蔵野が苦々しげな面差しで立って いた。その汚れ切った腕には、気を失っているつばめが抱えられている。すかさず戦闘態勢を取ったコジロウは、 武蔵野の目線にまで浮かび上がると、拳を上げた。 今のコジロウは、つばめに近付く者全てを敵として認識している。そうでもなければ、つばめを守っている武蔵野 に対して拳を向けるはずがない。寺坂の触手までもを蒸発させるわけがない。だが、コジロウとナユタを止めることが 出来るのは、つばめだけだ。武蔵野は恐れもせずに身構えるが、自動小銃は一瞬で消し飛んだ。 そして、拳が振り下ろされた。 12 10/5 |