手の中の戦争




第十三話 スクール・ウォーズ 前



体育館のステージに、私は立たされていた。
左右を自衛官姿の戦闘員に囲まれていて、少し離れた位置には沢口君に戻った太陽がおり、しおらしくしていた。
例の負傷した戦闘員は、他の戦闘員の肩を借りて立っている。大した傷ではないのだが、物凄く痛そうにしている。
私を見上げてくる全校生徒と教師達の目は、好奇心と興味が混じっている。それは、すぐに怯えになるだろう。
奈々を探し、目を向けた。奈々は私をじっと見つめていて、不安そうで、今にも泣き出してしまいそうな顔だった。

「先程、とんでもないことが起こりました!」

二尉は、さも悲痛そうな叫びを放った。私は唇を締めて、身を固くした。

「拳銃を不法所持していたこの女子生徒が、我々の仲間を狙撃したのです!」

途端に、体育館が揺れるほどの大騒ぎが起きた。そこかしこから悲鳴が上がり、一年生の女子など泣いている。
教師達は騒ぎを押さえようとしているが、まるで収まってくれない。先生方も、大分動揺しているからだった。
担任の江島先生など、呆然としていた。私を見ているようだが、目の焦点が合っておらず、表情も虚ろだった。

「やっぱりあんたなんじゃないのよ!」

ここぞとばかりに張り切った明日香が、金切り声を上げる。

「そんなやばいの持ってたってことは、あんたが沢口君を殺しかけたんじゃないの! あたしの言う通りよ!」

最後の部分をいやに強調した明日香の叫びが、ざわめきを切り裂いた。

「ね、そうでしょ、沢口君! 沢口君が見てたんでしょ、その女が自衛隊の人を撃つところ!」

沢口君の言葉を聞き逃さないためか、体育館は静まった。囁き合う声があるので、静寂と言うほどではなかった。
いかにも悲しげに眉を下げた沢口君は、ちらりと私に目を向けた。その眼差しは、怯えていて、弱々しかった。
太陽のふてぶてしい態度はどこへやら、だ。演技が上手いことだ。どうせなら、演劇部でもやれば良かったのに。
沢口君は、重々しく口を開いた。今にも泣き出しそうなほどに声を沈めて、完璧に被害者であるように装っていた。

「…僕だって、信じたくはありません」

でも、と沢口君は唇を震わせた。

「本当、なんです。僕は貧血を起こした鈴木さんを連れていこうとしたんですけど、その途中で突き飛ばされて、鈴木さんはどこかに行ってしまったんです。僕が鈴木さんを探していたら、銃声がして、それで、そこに行ったら…」

顔を逸らして、沢口君は言葉の最後を濁した。こうすることで、聞き手に想像の余地を持たせておくのだろう。
案の定、勝手に想像をした皆が騒ぎを更に大きくしている。殺したの、マジ殺人者じゃん、などと声が上がる。
誰も、私が殺した、などとは言っていない。だが、それを連想させる言葉を並べられれば、そう思ってしまう。
集団心理もあるから、その効果は二乗三乗となる。私の口から説明したところで、もっと騒がれるだけだろう。
ジャージに付けられた血痕も、よく見れば返り血ではないと解るのだが、血であるというだけで動揺される。
全く、よく考えてある作戦だ。とことん、私を追い詰める気でいるのだ。私は、少しだけ、絶望してしまった。
全校生徒から、人殺しだ、犯罪者だ、死んでしまえ、などと一斉に責められるとさすがに堪えるものがある。
罵声の間から、微かに別の言葉が聞こえた。それが二度、三度、そして、四度目には激しい叫びとなった。



「嘘だあっ!」



誰よりも大きな声が、体育館全体を揺さぶった。その声の主である奈々は、肩を上下させている。

「嘘だよ! 礼ちゃんはそんなことしない!」

奈々は人を掻き分けてステージの前にやってくると、戦闘員達に制されながらも私に近付こうとした。

「そうだよね、嘘だよね、礼ちゃん! 礼ちゃんは撃ってなんかいないよね!」

「…うん」

私が頷くと、奈々は表情を明るくさせた。

「だって、そうだよ、おかしいもん! だって礼ちゃん、普通は銃なんて持ってないもん!」

怯えながらも、奈々は私に近寄ろうとする。

「礼ちゃんの銃は、いつもカバンの中に入ってるんだもん! カバンから出したところなんて、見たことないもん! 私、何度も確かめたもん! 礼ちゃんが学校にいる時は、銃はずっとカバンの中にあって、絶対に外になんか出さないんだ! だから、礼ちゃんが銃を出すんだったら、絶対にカバンを持っているはずだよ! そうじゃなかったら、一度教室に戻っているはずだよ! でも、沢口君はそんなこと言わなかった! 思い違いをしているんだよ!」

奈々は身を乗り出して、沢口君に叫ぶ。その声は、叫びすぎて少し嗄れていた。

「きっと、他の人が撃ったのを見間違えたんだよ! ね、そうだよね!」

「何を根拠に!」

沢口君は太陽に戻り、奈々に喚いた。奈々はびくっとして身を引きそうになったが、堪えた。

「だっ、だってなんかおかしいよ! なんで、礼ちゃん、制服じゃないの!? そこからして、まず変だよ! それに、礼ちゃん、貧血なんて起こさないよ! 今月の生理は先週に終わってるし、私、礼ちゃんとずっと一緒にいるけど、礼ちゃんが貧血になったところなんて一度も見たことがないもん! 絶対におかしいよ!」

「じゃあ今日が初めてなんだ、それでいいだろうが!」

押し切ろうとする沢口君に、奈々は必死になって言い返す。

「良くないよ! 何が良いの! ねぇ沢口君、本当のことを言って! 礼ちゃんは何もしていないって!」

「してなかったら、こんなことになるわけがない! してたから、こうなっているんだ!」

沢口君の絶叫に、奈々は更に言い返そうとしたので、私は声を張った。このままでは、奈々にも危険が及ぶ。

「もういい、黙って!」

「礼ちゃん…」

奈々は目を潤ませ、私を見上げてきた。私は奈々に向けて、多少ぎこちないが笑ってみせた。

「ありがとう、なっちん。もういいから。本当に、もういいから」

「…でも」

奈々は、悲痛な眼差しを向けてきた。私がなんとか笑顔を作ると、奈々は仕方なさそうに身を下げ、項垂れた。
その足元には、ぱたぱたと水滴が落ちている。怖いのと、悔しいのと、様々な感情から出てきた涙だろう。
奈々の気持ちが嬉しくて、私まで涙が出てきそうになった。きっと凄く怖いだろうに、必死になってくれた。
なんて、ありがたいのだろう。事が終わったら、パフェと言わずソフトクリームと言わず、なんでも彼女に奢ろう。
奈々の叫びは無駄ではなかったらしく、皆は口々に、そういえばそうかもしれない、と妙な点を言い合っている。
これまではずっとあちらのペースだったが、ようやくこちらに戻ってきた。だが、なんとか出来たわけではない。
やれる限り、死人は出したくない。私が抵抗すればあちらも抵抗するだろうから、乱射しないとも限らないのだ。
身動きが取れない状況は、変わっていない。決定打となる要素、すなわち戦力が、根本的に欠けてしまっている。
せめて私が動ければ。悔しさを噛み締めていると、体育館のグラウンドに繋がる出入り口から、銃声が聞こえた。
訓練の時に良く聞いた、あの自動小銃のものだ。グラウンド側と反対方向の、校門側の出入り口から聞こえた。
何事かと、敵の戦闘員がそちらに銃口を向けた。途端に、聞き覚えのあるあの声が、した。



「伏せろ、礼子君!」



その声に従って私が身を伏せたと同時に、銃声が響いた。自動小銃の弾丸が、背後にいた敵の戦闘員に埋まる。
それぞれに腹を狙われたが、防弾装備をしていたのか血は噴き出ない。だが、着弾の衝撃で倒れてしまった。
沢口君、いや、太陽だけは撃たれなかった。銃口が向けられた瞬間に身を引いて、私の後ろに隠れたからだ。
彼は倒れた仲間を見ていたが、ステージから飛び降りた。弾かれるように駆け出して、渡り廊下に向かった。
待てこの野郎、と声がしたが、銃声はしなかった。私が顔を上げると、出入り口に、逆光の影が立っていた。
その影は自動小銃を構えると、生徒達の周囲を囲んでいる戦闘員も次々に狙撃し、呆気なく打ち倒していった。
双方合わせて、二十回以上の銃声が轟いた。硝煙が漂う中で、戦闘員達は全て倒されていて、呻いていた。
グラウンド側と校門側に、同じような、だが姿勢の違うシルエットが二つ。グラウンド側の影が、踏み出てきた。

「すまん、礼子君」

重たい足音と、低く響きのある声。そして、でかい体付き。

「少し、遅れた」

「防衛庁から戦闘許可の承認をもらうまで、ちょっと時間喰っちゃってさー。マジごめんな」

校門側から入ってきた影は、いつもの軽い調子で謝罪した。私は起き上がり、二人に向く。

「遅い。死ぬかと思ったんだから」

「これだからお役所仕事は嫌なのだ。書類ばかり通していては、助けられるものも助けられんではないか!」

大股に歩いてきた北斗は、ステージの上によじ上った。私の背後に回り、両手両足の手錠をねじ切った。
それを放り投げてから、立てるか、と手を伸ばしてきた。私はその手を取って立ち上がると、体を伸ばす。

「手錠って嫌い」

「礼ちゃんが無事でマジ安心したぜ。超ギリで間に合ったって感じ?」

南斗は、私の背後に転げていた戦闘員達を見下ろした。

「どいつもこいつも、マジな傭兵ばっかりだ。見事なもんだぜ」

「南斗、武装解除の後に拘束しておけ。抵抗でもされたら厄介だからな」

北斗が言うと、南斗は仕方なさそうに、体の前に付けていた背嚢を下ろして中から縄を出す。

「弟のくせに、お兄ちゃんに命令すんじゃねーよ」

落ち着いてよく見ると、二人は変な恰好をしていた。北斗も、南斗と同じように背嚢を体の前に担いでいるのだ。
その代わり、戦闘服の背中は破れていた。左右から方向指示翼が伸びていて、ジェットポッドも突き出ている。
ということは、飛んできたのか。私が状況を理解しようと頑張っていると、北斗が、ああ、と自分の背後を見た。

「不審船の戦闘自体は、二時間前に終了していたのだ。これといって、面倒な戦闘ではなかったからな」

「んで、駐屯地に帰還する最中に礼ちゃんの携帯がぶっ壊されたって情報が入ってきてさ。ついでに言うと、自衛隊の車両じゃないのに自衛隊の車両みたいに偽装した不審車両が、礼ちゃんの学校とその周辺に向かっているって報告があってさ、本日二度目の出動要請が掛かったわけよ?」

南斗は手際良く、戦闘員達の手足を拘束していく。舌を噛まないようにさせるため、猿ぐつわも噛ませている。

「だから、文字通りすっ飛んできたっつーわけ。後続もそろそろ来ると思うぜ、連絡しておいたから」

「でも、さ」

私は二人を見ていたが、体育館の中の皆を見下ろした。誰も彼も状況についていけてないのか、呆然としている。

「いいの? 表に出てきて。国家機密のくせして」

「肝心な時に戦わずして、何が戦闘兵器だっ!」

北斗が胸を張ると、南斗はにっと笑った。

「こういう時にこそ、オレらは活躍しなきゃなんねーわけよ? なんせ、オレら兄弟は日本最強ロボだからな!」

普段通りの二人なのに、状況が状況だけに頼もしかった。私は、堪えていた恐怖と不安が、迫り上がってきた。
やばい、このままだと大泣きしてしまう。私は目の前の北斗を引き寄せると、その戦闘服の胸元に顔を埋めた。
堪えようと思っても、涙はぼろぼろ出てくる。なんて情けないんだ、どうしてこう、私って弱いままなのだろう。
声を殺していると、北斗の手が私の髪に触れた。太陽に掴まれて乱れた部分を、丁寧に、優しく撫で付けた。

「礼子君。何があったのだ」

「…色々と」

まともに言えたのは、それぐらいだった。北斗は私の顔を上げさせると、頬の腫れを見咎めた。

「殴られたのか?」

「顔は一回だけ。腹には二回だけど」

私が涙で声を上擦らせると、北斗はぎちっと奥歯を噛み締めた。

「おのれ…。よくも礼子君を! ただでは済まさんぞ!」

私は、怒っている北斗の表情を見ながらも、頬に触れている手の冷たさと大きさに、気が抜けるほど安心した。
北斗だ、北斗がここにいる。助けに来てくれないかと思ったけど、助けに来てくれた。ここに、いるんだ。
そう思うと、また泣けてきそうになった。嬉しいのと、悔しいのと、情けないのと、愛しいのが混ざり合った。
ああもう、好きだ、大好きだ。私が再び北斗に縋ろうとすると、南斗の手が私の肩を引き、ステージ下を指した。

「後でやってくんね、そういうの? オレまでハズくなっちまうんだけど、マジで」

「あ」

私は奈々の目線に気付き、慌てて北斗から身を離した。北斗もずり下がると、気恥ずかしげに顔を押さえた。

「すまん、その、なんだ。礼子君が無事だと解って、嬉しくてな」

「あーもう、マジやってらんねー! お兄ちゃんは敵の片付けに行くから、その間にでもラブってろ!」

どちくしょおー、と訳の解らない断末魔を叫びながら、南斗はステージを飛び降り、拘束用の縄を振り回した。
南斗はちょっと荒っぽい手付きで、敵の戦闘員の武装を外させながら、ぐるぐると太い縄を縛り付けていた。
縛り終えると、敵の戦闘員を全員引き摺って体育館の片隅に一塊にし、その前にどっかりと座り込んだ。
自動小銃を抱えた南斗は、けっ、と変な声を出してそっぽを向いた。なんだか、悪いことしてしまったかも。
私は南斗に申し訳なく思いつつも、だけど北斗にしがみ付くのは恥ずかしくなってきたので、立ち尽くしていた。
すると、奈々が恐る恐る近付いてきた。ステージの前まで歩み寄ると、私と北斗を見比べて、声を掛けてきた。

「あの、礼ちゃん。そこの人って…」

「ん、ああ。ロボット」

私が答えると、奈々はかなり驚いたのか、声を裏返した。

「えっ、ええええええっ!? で、でも、人間みたいだよ、マジ人間っぽいけどああでも顔とかそうかも!」

「お初にお目に掛かります。自分は、陸上自衛隊東部方面隊第一師団普通科特殊機動部隊所属、人型自律実戦兵器五式七号機、通称北斗と申す自衛官です。そしてあれが同部隊に所属する、人型自律実戦兵器五式六号機、通称南斗と申す自衛官です。実質的に、自分の兄であります。そして自分と南斗は、礼子君、いや、鈴木礼子一士と同部隊に所属している同僚であります」

北斗は自分を示してから、次に拗ねている南斗を示した。私は右手を伸ばしてかかとを揃え、最敬礼した。

「陸上自衛隊東部方面隊第一師団普通科特殊機動部隊所属、鈴木礼子一等陸士であります!」

「…え」

漢字ばかりを並べられたせいか、奈々は目一杯目を丸くした。私は、敬礼していた手を下げる。

「まぁ、そういうわけだから。今まで隠してたことって、これなんだよね。ごめんね、なっちん」

「じえいたいって…何?」

呆気に取られながら、奈々は呟いた。私は、奈々を見下ろす。

「詳しく言うと長くなっちゃうから省くけど、色々とあって自衛官をやる羽目になったの。拳銃を持っていたり、土日にいなくなったり、ちょくちょく学校休んじゃったりしたのも、その関係なんだよ。後でゆっくり説明してあげるから、教えられる範囲だけだけど」

また、体育館が騒がしくなった。今度は、先程のものとは違う意味だけど、やっぱり物凄い騒ぎになってしまった。
言わない方が良かったかな、ともちらりと思ったが、言わないままでいると、今後の身動きが取りにくくなる。
北斗も、ここまで騒がれるとは思っていなかったのか、辟易しているようだった。身を屈め、私に小さく言った。

「礼子君。これでは、敵が近付いてくる気配が掴めんな…」

「だぁねぇ」

私は、生徒達に詰め寄られて、挙動不審になっている南斗を見やった。一般人に、慣れていないからだろう。
必死に、危ないから近寄るんじゃねぇ、ていうかお前ら来るな、任務の邪魔だあっ、などと喚き散らしている。
奈々は、呆然と突っ立っていた。訳が解らないのと、理解を超えたのと、気が抜けたのが混ざったようだ。
嵐のような大騒ぎから目を外し、私は北斗を見上げた。北斗も私を見下ろしていて、視線を合わせる恰好になる。
泣きたい気持ちは残っていたけど、それよりも胸の苦しさの方が強くなり始めていて、照れくさくなってきた。
北斗と南斗が助けに来てくれたことは当然嬉しいんだけど、北斗に対しては普通の嬉しさとは違うものがある。
その感情はいやに熱くて、感じないようにしようとするけど無理で、私の意思に反して頬の熱が上がっていく。
それと同時に、北斗にもっと近付きたいような、触れていて欲しいような、ずっと傍にいたい気持ちになる。
要するに、好き、だ。あの夜勤の日に感じたものが一番強いのかと思ったけど、今の方が一層強くなっていた。
惚れ直した、とか、そういうことだろうか。私は頭に浮かんだその言葉を払拭しようとしたが、出来なかった。
間違いなく、北斗が私を助けに来てくれたから、私は北斗に惚れ直したんだ。ああ、なんて短絡的なんだろう。
私ってそういうシチュエーションに弱かったのか、お姫様願望か、などと考えていると、唐突に北斗が言った。

「共に戦おうぞ、礼子君。そして、礼子君や礼子君の友人達を危険に晒したテロリスト共を粉砕するのだ!」

北斗は表情を固めて、私に手を差し伸べた。私はその大きな手を掴むと、力一杯握った。

「うん」

北斗も、私の手を握り返してきてくれた。私は目元に残っていた涙を拭うと、唇を締め、腹の底に力を入れた。
もう、大丈夫だ。北斗がいる、南斗がいる。二人が一緒にいるならば、私は戦える。たとえ、誰が相手でも。
奈々も戦ってくれたんだ、私が戦わなきゃ誰が戦うんだ。この時のために、訓練を重ねてきたんじゃないか。
体育館の窓を仰ぎ、その向こうに見える教室棟を見上げた。この辺りもまた、あの三日間の再現みたいだ。
北斗と初めて出会った、いや、出会わされた三日間の特殊演習の時にも、この中学校は戦場と化したのだ。
あの時は歩兵ロボットと南斗が相手の演習だったが、今度は違う。李太陽と、シュヴァルツ工業が相手の。
本物の、戦場になる。




こうして。私の、長い一日が始まった。
私達にとっても、李太陽にとっても、引けない戦いだ。でも、私は、一歩たりとて引き下がる気はない。
最前線に立つ兵士は、そこに敵がいる限り、前に突き進むしかないのだから。





 


06 8/9