手の中の戦争




ラスト・フロンティア



 晴れ渡った夜空には、人工衛星とは異なる光が瞬いていた。
 マシンソルジャーは五機とも大袈裟な燃料タンクも持たずに大気圏外脱出が可能な高出力エンジンを 備えているが、その中でも特に高出力なのがブルーソニックインパルサーである。彼は普段は両足に装備された 二基のエンジンだけで活動しているが、背部に装備している三基のエンジンも使用して加速すると、短時間での 惑星間飛行すらも可能にしてしまうのだ。そして、彼に次いで高出力なのが、レッドフレイムリボルバーである。 リボルバーの場合は、凄まじい火力を持ったキャノン砲の反動に制動を掛けるためにはかなりの出力で逆噴射を 行わなければならないので、おのずと出力が上がったのだそうだ。
 今夜、地球の衛星軌道上に旅立ったのはその二機と、名実共にリボルバーの子供達である、南斗、北斗、 グラント・Gの三機だった。三機とも、コンピューターウィルスの悪化と増殖を防ぐために全てのコンピューターが 沈黙しているので、何も解らない状態ではあろうが心配なのは変わらなかった。リボルバーとインパルサーが 三機を抱えて島から飛び立ってから三十分が過ぎたが、上空には異変はない。人間大のロボットが三機だけとはいえ、 スペースデブリであることには変わりないので、下手な位置に投げ込んでしまっては他国の人工衛星に損害を 与えかねない。だから、地上でも上空でも綿密な計算の元で大気圏に突入させなければならないのである。
 ぼんやりと夜空を眺めながら、私は珊瑚礁の砂浜を歩いていた。歩哨の警備員達が立っているので、 彼らに挨拶をしつつ、三機の影を探していた。私の視力は今一つだし、彼らは肉眼で確認出来るほど大きくないし、 落下開始地点も定まっていないのだから、見つかるわけもないのだが、部屋でじっとしていられなかった。 対テロ戦闘の事後処理を終えても落ち着かず、お風呂に入っても好きな物を食べても本を読んでも身が入らず、 浜辺に出てしまった。夜空を見るだけだったら、様々なアンテナがそびえ立つ研究施設の屋上でも充分だし、 自室のオーシャンビューなベランダでもいいはずだ。けれど、何もせずにじっとしているのは気が咎め、 かといって遊んで気晴らしをする気分になれるわけもなく、しかし、訓練をするには精神状態が怪しいので、 結局のところ散歩をするしかなかった。
 しばらく歩いた私は、誰もいないプライベートビーチに入っていた。ビーチといっても、飛行場や実験場から 離れている砂浜をちょっと区切っただけの場所であって、特に整備がされているわけでもない。景色は他の 浜辺と大して変わらないし、本当にただ泳いで遊ぶだけの場所だ。それでも、娯楽が限られているこの島では 結構な人気で、シフトが空いた作業員や研究員達が遊んでいる様をよく見かけた。だから、私も皆が羨ましく なって、北斗を誘って泳ごうと思っていたのだが、その北斗は。

「今や、本当のお星様か」

 私は日中と違ってひんやりする砂浜に腰を下ろし、夜空を仰いだ。

「どうせすぐに再起動するんだ、やきもきするだけ無駄だ」

 突然言い返されたので、私は心底驚いて銃を抜き、音源に向けた。

「いきなり銃を向けるな」

 声の主である太陽は、心外極まる顔でビーチの奥から現れた。

「な、何しに来たの?」

 私がグロック26を下げかけていると、太陽は私の銃口を押し下げた。

「何って、お前と同じだ」

「ああ、散歩?」

「まあ…な」

 太陽は微妙なニュアンスで答えてから、私の近くに腰を下ろした。私はちょっと迷ったが、グロック26を 腰のホルスターに戻してから、ジーンズの裾の下に隠してあるナイフを確認した。うん、何かあっても大丈夫だ。

「心配しなくても、お前なんか誰も襲わねぇよ」

 太陽に毒突かれ、私はむっとしたが、それもそうだと思い直したのでホルスターの蓋を閉めた。

「体力の無駄だもんね」

「俺もお前も、体力ありきの仕事だからな」

 太陽は胡座を掻くと、ハーフパンツのポケットにねじ込んでいた缶を抜いて投げてきた。

「ほらよ」

「ああ、うん」

 私は反射的にそれを受け取ると、太陽は同じものをもう片方のポケットから出して開け、飲んだ。暗がりの 中では見えづらいラベルをじっと睨んで確かめると、日本製の缶ビールに違いなかった。私も太陽も二十歳を 超えているのでなんら問題はないのだが、私は酒に弱い。飲もうか飲むまいか悩んでいたが、歩き通しで喉が 乾いていたので、太陽の好意に素直に甘えることにした。プルトップを開けると泡が吹き出しかけたので、泡が 零れる前に口を付けて啜った。ちょっと温いが苦くて酒精の鋭い液体が喉を滑り、胃に広がった。

「お前が殺した連中の銃創、見てみたんだが」

 太陽は缶を下げてから、ちびちびと飲んでいる私に向いた。

「ほとんど一発で致命傷喰らわせてるとはな。俺と戦った時はまぐれ当たりだったくせに、腕を上げやがって」

「ああ、うん。大体出来るようになったから」

「で、あのパワードアーマー、見た感じじゃ軽そうに動いてたし、お前の装備だから大して重量がないかと 思ったんだが、三四十キロぐらいあるんだな」

「それでも大分薄くなった方だよ。動作補助のモーターがいくつか付いてはいるけど、最後はやっぱり 自分の筋肉で動かすもんだから、下手な訓練よりも余程筋肉が付いちゃって。おかげで、背筋がすっかり 厚くなっちゃってさぁ。あ、なんだったら触ってみる?」

「遠慮しとく」

 太陽は即答してから、中身が少し残った缶を揺すった。

「あ、そう」

 私はほぼ室温のビールを少しずつ飲んでいたが、次第に酔いが回ってきた。

「まるでどうでもいい話だが」

 太陽はそう前置きしてから、穏やかに話し始めた。

「俺は、鈴音さんに引き抜かれたおかげで救われた。宇宙船のパイロットにならないかって言われなかったら、 俺は今頃お前に射殺されていただろうさ。そうじゃなかったら、無茶なことして、馬鹿やって捕まっていたか、だな。 まあ、宇宙船のパイロットっつっても、その宇宙船がまだまだ未完成だし、成功するかどうかも解っちゃいないが、 やるだけやってみるつもりだ。俺は生まれてからずっと誰の役にも立たずに生きてきた。だから、これだけは 最後までやり通して結果を残してやる。もしかしたら、ベガ号は発進と同時に爆砕するかもしれねぇし、大気圏外に 脱出出来るかどうかも解らねぇし、もしかしたら、発進する以前に動かないかもしれない。けど、何もしないよりは 余程いいんだ。消耗品の歯車に過ぎないとしても、動き回っているだけマシなんだ」

「…うん」

 私も、そんな感じだ。だから、戦っているし戦えている。

「そりゃ、人を殺すのは良くないことだし、躊躇わないわけがない。でも、そうすることで何かが良くなるなら、 するべきなんだよ。マシンソルジャーが宇宙開発用汎用機として人類から認められたら、科学はもっと進歩するし、 人間はどんどん宇宙に出ていけるようになるし、上手くいけば他の星とも交流が持てるかもしれない」

 それは私がしてきたことの上澄みであり、うんざりするほどの綺麗事だった。そうなるかもしれないし、 そうならないかもしれない。誰かのためになる、と思ってしたことが誰のためにもならないことは世の中には いくらでもあるし、私がしてきた戦いだってそうだった。命懸けで守ったものがが呆気なく崩れてしまったり、 失われたり、その反対で守らなかったせいで悪化した物事もあった。他の誰でも出来ることだろうけど、 自分が動くことで良くなるのなら。

「でも…」

 生温い缶を強く握り、私は熱が昇った頭を押さえた。

「そのために、誰も彼もが死んでもいいの?」

 北斗が、南斗が、グラント・Gが、擬似的ではあるが死を迎える。彼らの同族であるマシンソルジャー達が 地球に馴染むために必要なことではあるのだが。

「お前が戦わなきゃ、もっともっと人間が死ぬ。俺が飛ばなきゃ、どこかの誰かが実験台になって死ぬ」

 太陽は缶ビールを呷り、最後の一滴まで飲み干してから深く息を吐いた。

「ただ、それだけのことだろ」

「そりゃそうだけど、だけど、やっぱり」

 私は胸中の抑えが酔いによって緩んでしまい、目頭が熱くなった。

「辛い…」

 兵器は死なないが、それは人間で言うところの死を迎えないだけだ。私は上っ面だけは笑って彼らを 見送ることは出来た。だけど、だけど、だけど。

「もう一つ、どうでもいい話なんだけどな」

 太陽は空き缶を両手で押さえ、ぐしゃりと潰した。

「鈴音さんが俺に言ってきたんだ。もしも、あいつらが再起動しなかったら、お前をパイロットの道に誘って やってくれって。でもって、その、なんだ」

「一緒に生きてやれー、とか?」

 私は涙を拭ってから冗談めかすと、太陽は潰した空き缶をもう一息潰して平らにした。

「そんな感じだ。でも、そんなことは有り得ないよな」

「うん」

 私が満面の笑みで頷いてやると、太陽はげらげらと笑い出した。何が可笑しいのか解らなかったので、 少し癪に触ったが、あまり気が滅入っていては今後の任務にも関わるので釣られて笑ってやることにした。 笑われるぐらいなら、一緒に笑ってやった方が余程気が楽だ。太陽はひとしきり笑い、上体を反らした。

「お前には敵わねぇや」

「それはどうも」

 私は笑い混じりに返しつつ、研究施設から漏れる光を受けて淡く浮かび上がった太陽の横顔を窺った。 その顔は、私が知る沢口陽介とも組織の鉄砲玉の少年でもなく、至って健全な成長を遂げた青年の顔だった。 明るい表情を見ていると、何度か会話しても未だに抜けきらなかった心の棘がようやく抜けて親しみを覚えた。 この先、太陽にはきっと良い出会いがあるはずだ。過去がどうあれ、今の太陽は信念を持って生きている。 私なんかよりも遙かに素晴らしい女性と出会い、それはそれは充実した人生を暮らすことだろう。だから、 鈴音さんには悪いがその気遣いは無駄なのだ。第一、私は身も心もあの馬鹿に捧げてしまっているのだから。
 北斗達が変わらないことを信じろ、とイレイザーは言ってくれた。だから、私も変わらずにいることで あいつらを信じさせてやるのだ。北斗達と出会ってからの七年ほどで、私もそれなりに変わったとは思うが、 根底はまるで変わらない。特に変わらないのが、北斗に対する気持ちだ。なんであんなのが好きなんだろう とは思う瞬間はあるが、好きだから好きなのだ。だから、太陽と共に生きる道を示されても、その先には 何の展望も見えない。北斗達と共に戦い続ける道はどこをどう見たって辛いが、少なくとも心を許した相手と 生死を共に出来る幸せはある。
 そして、私と太陽の頭上には、三つの小さな流れ星が落ちて消えた。




 結局、海では遊べず終いだった。
 一ヶ月程度の南国暮らしは、ある日突然終わった。神田隊員の操縦によって島を訪れた政府の人間に、 特殊機動部隊の再編成を命令されたからである。政府側の建前としては、内閣情報調査室との連携を測るために 一度解体して命令系統を整理する必要があったから、だそうだ。だが、その実は水面下で政治家や高級官僚の 激しい攻防戦が繰り広げられていたそうで、その結果、特殊機動部隊を解散に追い込んだ政治家が別の不祥事で 退陣したおかげで決着が付いて早期解決に至った、のだそうである。色々と扱いづらい自衛隊からは除籍されて 公安調査庁の関連になるそうである。装備は今までと変わらないらしいが、勤務先が練馬の駐屯地から法務省 関連のビルに移ったため、作業服にノーメイクで出勤出来ないのが難点だった。スーツが嫌いらしい朱鷺田隊長も ごちゃごちゃと文句を言っていたが、まともな格好で出勤しなければ警備員に止められてしまう。
 三機が流れ星になった後も、いつも通りに色々あった。おかげで私は忙しくなってしまい、ろくな休みが なくなってしまった。高宮重工とマシンソルジャー達が政府の注文をこなしたのと、例の法案が無事可決したことも その一因だった。事態が好転するのは非常に良いことだし、そのために私達も頑張っていたのだから嬉しいのは 違いないのだが、もう少しだけのんびりさせてほしかったと思うのは我が侭だろうか。

「礼子君! 手伝いに参った次第であるぞ!」

 自室のドアが開け放たれた途端、相変わらずの警備員ルックの北斗が威勢良く叫んだ。

「うるさい」

 私は少ない荷物を片付ける手を止め、以前と全く同じ姿を取り戻した北斗を見上げた。大方の予想通り、 北斗らは大気圏摩擦で焼却処分されてから一日と立たずに再起動した。過去の機体と連動してウィルスに 感染しては困るからと眠らされていた人工知能を再起動させ、予備機を使って復活した北斗ら三兄妹は、 目が覚めてすぐに私に突っ込んできた。もちろん避けた。そして、監視カメラ辺りの映像を拾って太陽と 話し込んだことを知ったらしく、太陽は馬鹿双子に追い回されてしまったが、下手に庇うと後が面倒なので 手を出さずに静観した。その間、グラント・Gは私に存分に甘えてきたので、その後、末っ子は兄貴二人から 派手に妬まれたのも付け加えておく。

「明日からは我ら特殊機動部隊の再始動であるが、最重要事項は無論礼子君のスーツ姿である!」

 北斗はずかずかと私に迫り、機動隊っぽいヘルメットのバイザーをばちんと上げた。

「リクルートスーツ! ストッキング! そしてハイヒール! どれもこれも男心が沸騰するものばかりであるぞ!」

「ああ、そう」

 化粧には期待しないのか。私はそれが少し残念だったが、無視して荷造りを続けた。

「それで、なのだが」

 北斗は手を伸ばしてドアを閉めてから、私の傍に胡座を掻いた。

「何が」

 私が顔も上げずに返すと、北斗はしょんぼりと肩を落とした。

「礼子君の水着姿を拝めずに母国の土を踏むかと思うと、残念至極なのだ」

「…見せようか」

 私は段ボール箱に本を詰める手を止め、目を逸らしつつ呟いた。

「今、なんと」

 北斗がやや身を乗り出してきたので、私は身を引いた。

「だって、せっかく買ったのに着ないのは勿体ないし、今、着なかったら次はない気がするし」

「では、早速着替えてくれたまえ! 礼子君!」

 北斗が掴み掛かってきそうになったので、私は北斗を押し止めて立ち上がった。

「もう…」

 私は気のないふりをしてはいたが、内心では脳が煮溶けるんじゃないかと思うほど恥ずかしかった。 だって、北斗が来るのは解り切っていたから、準備しておいただなんて。でもって、どうやって見せようか とか延々と考え抜いていたかなんて。ああ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。

「大したことないんだから」

 私はそっぽを向きながら、パーカーのファスナーを下ろして前を開くと、ジーンズのホックを外した。 その下に着ていたのはワンピースの水色の水着で、胸元から下がAラインになっていて、パイピングの リボンが胸の下に付いていた。最初はこんなに女の子女の子した水着を買うつもりなんてなかったんだが、 いざ買おうと思うとちょっとぐらいは色気を出した方がいいかな、だなんて思っちゃって。だから、ああ、もう、 私の馬鹿馬鹿馬鹿。

「に、似合わないでしょ」

 私が火照った頬を歪めると、北斗はじっと私を眺めていたが、私の腰を掴んで引き寄せた。

「ちょっ…!」

 北斗の顔が胸の下に近寄り、私は固まった。ああもうどうしよう。

「礼子君」

 薄い胸を真下から見上げてきた北斗は、満足げに笑った。

「最高に麗しい」

「馬鹿」

 私は背を丸めて北斗の頭を抱き寄せ、表情を隠すために俯いた。そう言ってもらえて、嬉しくて嬉しくて どうにかなりそうなんだけど、それを言うのは癪だったので敢えて言わなかった。だから、今もだ。私は北斗の 頭を抱く腕に力を込め、ヘルメットに覆われた頭にこつんと額を当てた。

「悪い病気に掛かって死んだ気分はどうだった?」

「最悪だとも。身動き出来ぬ、目も見えぬ、耳も聞こえぬ、何も考えられぬ、と来たものだ」

 北斗は私の存在を確かめるように、半端にパーカーを脱いだ背に大きく硬い手を添えた。

「全ての回路が正常な動作を失ってからも、自分は礼子君を求め続けた。通電が終了して回路が沈黙して からも、その意識があるのは不可解であるし、その思考を行っていたのは大気圏突入時の摩擦熱で焼却された 以前の機体であるはずであり、事実と認識するべきではない事項なのだが…」

「じゃ、胸の内に収めておきなよ。それでいいじゃん」

「うむ。それが適切だ」

 北斗は頷き、私の腰から手を外すと立ち上がった。私はパーカーとジーンズを脱ぐか脱ぐまいか迷ったが、 格好悪いのでジーンズだけを脱いだ。北斗は水着にパーカー姿の私を見、戸惑いがちに目線を彷徨わせた。

「で、どうする?」

 私は意識しすぎて胸が痛くなったが、限りなく平静を保った。だって、この島を出てしまえば、また。

「どう、とは」

 北斗も心なしか合成音声が上擦っていて、半歩下がった。私は南洋の明るい日差しが差し込むカーテンを 引き、短い付き合いだった自室を薄暗くさせた。

「…女に言わせる気?」

 その後については、たとえ頭に銃口を突き付けられようが他人に漏らす気はない。そのことを喋らなければ 人類が滅ぶ、というレベルで脅されてもだ。嬉しいことに北斗も同じように思ってくれたらしく、彼の記憶には 何重にもプロテクトが掛けられて南斗にすら見られないようにした。ただ、敢えて言うことがあるとするならば。
 これで、私は北斗に全てを知られ、未開の地を征服されたというわけだ。



 切り開かれた道は、広がり続けた。
 特殊機動部隊は内閣情報調査室と公安調査庁の間に挟まれたおかげで身動きしやすい部隊となり、 高宮重工はNASAとJAXAとの共同で宇宙開発事業を開始して月面基地の建設に着手し、マシンソルジャー 五兄妹は宇宙開発用汎用機として認識されたおかげである程度自由に動けるようになり、それぞれの コマンダーの元と月面基地の建設現場を自力で行き来しているようだった。高宮重工製の宇宙船ベガ号は 無事完成し、その制御コンピューターである織姫も大分成長し、李太陽にすっかり懐いているようだった。 太陽に操られたベガ号が宇宙に発進し、ISSだけでなく月面基地に到着する日も近いことだろう。
 ついに人類は月世界の開拓に成功した。そして、私と北斗は、まあ、うん、そういうことになった。規模も 何もかも違うが、新境地を開拓したことには変わりない。そこから先があるかどうかは、この際考えないでおこう。

 だって、あまりにも幸せなのだから。







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