その頃。ヤブキは、しょげていた。 膝の上に載せている箱は保温シートで包んであるので、納豆の発酵はじわじわと進み、出来上がりつつある。 だが、その完成を喜ぶ者はヤブキだけだ。マサヨシもハルもイグニスも嫌い、そしてミイムからは憎まれている。 納豆がそんなに悪いのか。旧時代に生み出された伝統的な食品はとても素晴らしいのに、なぜ好いてもらえない。 そういえば兵舎のルームメイトにも捨てられたなぁ、作った傍から焼却されたなぁ、と思い出して余計に悲しくなる。 イグニスがハルのために作ったジャングルジムの上に座り、ぼんやりとスクリーンパネルに映る空を見ていた。 涙こそ出なかったが、内心ではちょっと泣きたくなっていた。嫌うにしても、食べてから判断してもいいではないか。 「ダイアナは好きだったんすけどね、納豆…。特に挽き割りの納豆巻きが…」 今は亡き妹の名を呟きながら、ヤブキは納豆が発酵しつつある箱を軽く叩いた。 「はあ」 ため息を吐いても始まらない、と思うが、出るものは仕方ない。これからどうしようかな、とヤブキは顔を上げた。 すると、こちらに向かってくる二つの影に気付いた。一つはイグニスで、上空を飛んで一直線にやってきている。 そして、もう一つはミイムだった。草原を駆ける肉食獣のように俊敏な足取りで、公園へ真っ直ぐ突っ込んでくる。 ミイムは腰を落としており、視線は躊躇いなくヤブキを貫いていた。あの愛らしい表情の面影は、どこにもない。 表情も強張っており、怒りが漲っている。ヤブキは恐ろしさで身震いし、逃げようとしたが、ミイムの方が早かった。 「覚悟しやがれコノヤロウですぅー!」 ジャングルジムに接近したミイムは地面を踏み切り、五メートル近く飛び上がった。 「マジっすかー!」 ヤブキはミイムの跳躍力に心底驚き、納豆の箱を担いで仰け反った。しなやかに身を曲げ、ミイムは着地する。 ジャングルジム全体が揺れ、ヤブキの足元も揺らいだが、ミイムは反動などなかったかのように身を起こした。 その手に握られているのは、マサヨシの熱線銃だった。ヤブキは肝を潰し、慌ててジャングルジムから飛び降りた。 「そりゃないっすよ、マジないっすよぉ!」 「ボクを怒らせるとどうなるか、その身に叩き込んでやるぜアホンダラですぅ!」 ヤブキを追って、ミイムも飛び降りる。逃げ出そうとしたヤブキの行く手を阻むため、彼の目の前に着地した。 途端に喉元に熱線銃の銃口がねじ込まれそうになったので、ヤブキは両脚のイオンスラスターを作動させた。 急上昇の直後に反転し、ヤブキは高速で遠ざかった。だが、バランスが上手く取れないので、ふらついている。 「待ちやがれコンチクショウですぅ!」 ミイムが更に追撃しようとすると、真上から巨体が降ってきた。着地の衝撃で地面が揺れ、砂埃が舞い上がる。 反射的に手にしていた熱線銃を構えたが、イグニスは指先だけで弾き飛ばし、ミイムの手から外させてしまった。 弾かれた熱線銃を取り戻そうとするも、イグニスの足がそれを阻んだ。舌打ちして、ミイムはイグニスを見据える。 「邪魔しないで下さい、イギーさぁん!」 「お前はヤブキを殺す気か」 イグニスは呆れながら、ミイムの襟首を掴んで高く持ち上げた。 「離して下さい、ボクは正しいことをしているんですぅ!」 「イグ兄貴ぃー…」 イグニスの背後から、情けない声が聞こえてきた。振り返ると、着地したヤブキは箱を抱えて震えていた。 「オイラ、マジで死ぬかと思ったっすー…。助けてくれて、めっちゃ嬉しいっすー…」 「お前らが殺し合ったらハルが泣くから止めただけだ。こいつをどうするかは、マサヨシに決めてもらわねぇとな」 イグニスは、じたばたと暴れるミイムを自分の目線まで持ち上げた。 「ケンカに銃を使うな。やるんだったら素手でやりやがれ」 「イギーさんも意地悪ですぅ、ボクは間違っていないんですぅ!」 細い眉をきつく吊り上げ、ミイムはイグニスと睨み合う。だが、イグニスは怯まない。 「だからっつって、実力行使はねぇだろ。敵同士ならまだしも、俺達は一応家族なんだからよ」 「家族だ家族だと言いますけど、ボクはまだヤブキのことを家族と認めたわけじゃないんですからね!」 「それでも、共存している以上は最低限の規律を守る必要がある。違うか?」 「でもですねぇ!」 「確かにヤブキは空気も読めねぇ上にいい加減で馬鹿な野郎だが、殺すのは以ての外だ」 「ボクが殺したいのはヤブキじゃなくて納豆菌ですぅ! だから殺菌消毒のために熱線銃が必要なんですぅ!」 「…そうなのか?」 「そうなんですぅ! これ以上納豆菌が繁殖したら、イギーさんの宝物のジャンクも腐っちゃうんですぅ! 納豆菌に感染したらあっという間にぬっちゃぬちゃになって、糸を引くんですぅ! そして一週間もしないうちにコロニー全体を浸食して、ありとあらゆるものが腐り果て、ドロドロでネバネバになるんですぅ! ボクはそれを阻止するために戦わなければならないんですぅ!」 ミイムは息を荒げ、叫び散らした。イグニスの視線がゆっくりと下がり、ヤブキの納豆の箱に向いた。 「だったら、熱線銃の使用は許可出来るな。俺も愛するアレクサンドラを雑菌に穢されたくないんでな」 「えぇっ、ええええええええぇーっ!」 あまりのことに泣きそうになりながら、ヤブキは後退った。イグニスの手の下で、ミイムがにたりと笑っている。 「許可が下りましたよぉー、さあ覚悟するですぅー」 「ヤブキ、お前が悪い!」 ミイムを地面に下ろしたイグニスは、先程とは態度を一変させ、ヤブキを指した。 「オイラの味方じゃなかったんすかーイグ兄貴ぃー!」 ヤブキは裏切られた気持ちで一杯になりながら、脚部のスラスターを再び作動させて二人から逃亡を図った。 だが、今度ばかりは無理だった。ミイムの強靱な脚力とイグニスの機動力には、元より叶うはずがなかった。 二人から十数メートルも離れないうちに、ヤブキは進行方向をイグニスに阻まれ、背後はミイムに固められた。 「オイラは悪くない、オイラは悪くないー!」 ヤブキは納豆の箱を抱え込み、後退るも、二人はじりじりと囲みを狭めてくる。 「みゅふふふふふ。さあその穢らわしい物体を引き渡しなさい、でないと、どうなるか解りませんよぉ?」 邪悪な笑みを浮かべているミイムは、再び手にした熱線銃の引き金に人差し指を掛けている。 「なあに、照準さえ外れなければお前に傷は付かない。照準さえ外れなければ、な」 イグニスは右腕の外装を開き、内蔵式のビームガンの銃身を伸ばし、ヤブキへと向けた。 「嫌だぁ、オイラは白いご飯で納豆を食べるんだぁー! ついでにぬか漬けとお味噌汁も一緒に食べるんだぁー!」 ヤブキは地面に這い蹲り、腹の下に納豆の箱を抱え込んでしまった。 「どうする」 イグニスの視線がミイムに向くと、ミイムは唇の端を持ち上げた。 「さあて、どうしましょうかねぇー」 その光景を遠目に見ていたマサヨシは、頭が痛くなっていた。イグニスの立場が、いつのまにか逆転している。 ヤブキを助けに行かせたはずなのに、守るどころか攻める側に回っている。マサヨシの目論見は失敗したようだ。 大方、ジャンクでも引き合いに出されて丸め込まれたのだろう。頼りになるようでいて、頼りにならない相棒だ。 ここまで来ると、ヤブキが哀れになってくる。マサヨシも納豆は受け入れがたいが、これはさすがにやりすぎだ。 「二人とも、そこまでだ」 マサヨシが声を張ると、ミイムとイグニスは振り向いた。 「止めるんじゃねぇよマサヨシ! これから俺達は有害な細菌兵器を焼却処分するんだからな!」 「お前はヤブキを助けに行ったはずじゃなかったのか?」 「アレクサンドラの方が大事に決まってんだろうが! ついでにキャサリンの仇もまだ討っちゃいねぇからな!」 イグニスは猛々しく、情けないことを言った。亀のような体勢のヤブキは這いずって移動し、マサヨシに近付いた。 「たっ、助けて下さいっすよーマサ兄貴ー! オイラ、このままじゃ殺されるっすよー納豆と一緒にー!」 「殺しはしないですぅ、三分の二殺しですぅ」 「それほとんど殺してんじゃないっすかー!」 ミイムの物騒な物言いに、ヤブキは悲劇的な声を上げる。マサヨシは、とりあえずヤブキの傍に歩み寄った。 すると、ヤブキは亀のような恰好のまま、マサヨシに近寄ってきた。何が何でも、納豆を死守したいようだった。 「マサ兄貴ぃー…」 「ひとまず立て、ヤブキ。話はそれからだ」 マサヨシが手を差し伸べるも、ヤブキは首を激しく横に振って動こうとしない。 「ここで裏切られたら最後っす、だからマサ兄貴と言えど信用出来ないっす! 本当は信じたいっすけど!」 思いの外、イグニスに裏切られた心の傷は深かったらしい。マサヨシは忌々しく思いながら、相棒を睨んだ。 するとイグニスは、ばつが悪そうに右腕のビームガンを下げた。これ以上はまずい、と判断してくれたようだった。 もっと早く判断してくれ、と内心で愚痴りながらマサヨシはミイムを見据えるも、ミイムはまだ熱線銃を構えていた。 「トリガー、ロック」 マサヨシはミイムの持つ熱線銃に、命令を下した。すると、熱線銃のトリガーは固定され、動かなくなった。 「エネルギーマガジン、セパレート」 マサヨシの命令に従い、独りでに熱線銃のマガジンが外れて落ちた。 「マガジンスロット、ロック」 最後に、マガジンを挿入する部分に蓋がされた。こうなってしまっては、銃としての役割を果たすことは出来ない。 ミイムは非常に悔しげだったが、仕方なく足元に熱線銃を置いた。マサヨシは、熱線銃とマガジンを拾い上げる。 「こいつもサチコと同じでな、俺の命令には逆らえないんだ」 マサヨシは取り戻した熱線銃をベルトに差してから、三人を見渡した。 「みゅ…」 武器がなくなった途端に、ミイムはしおらしくなった。わざとらしすぎるので、これ以上文句を言う気も起きない。 イグニスは逃げようかどうしようか迷っているようだったが、マサヨシに睨まれたため、辛うじて踏み止まっていた。 ヤブキはまだ警戒しているし、ミイムはぶりっこしているし、イグニスは逃げ腰になっている。なんとも妙な状況だ。 だが、それをまとめるのも父親の仕事だ。マサヨシは思考を巡らせていたが、ふと、視界の隅に何かが入った。 そちらに目を動かすと、ピンクの三輪車を懸命に漕いでいるハルとそれを追うサチコがこちらに向かってきていた。 いつまでも戻ってこないので、痺れを切らしたのだろう。マサヨシは申し訳なく思いつつ、ハルとサチコに向き直る。 「すまん。思ったよりも状況が込み入ったんだ」 マサヨシが謝ると、公園に入ってきたハルは三輪車から降りて、マサヨシに駆け寄った。 「パパぁ、お腹空いたー」 「もう昼か?」 マサヨシがサチコに尋ねると、サチコは頷くように上下する。 〈ええ。朝食を終えてから四時間三十二分十七秒も経過しているから、充分、お昼ご飯の時間ね〉 「ずるいー、皆でお外で遊ぶなんてぇー。私も一緒に遊びたかったのにぃー」 自分だけ除け者にされたと思ったらしく、ハルは膨れている。マサヨシは屈み、ハルを撫でた。 「それは悪かった。昼飯の後にでも、一緒に遊ぼうじゃないか」 「本当? 約束だよ、パパ」 目を輝かせるハルに、マサヨシは頷いた。ふと、ある考えが頭を掠めたので、マサヨシはヤブキに向いた。 「ヤブキ」 「はい、なんすか?」 砂まみれになった納豆の箱を両腕でがっちりと抱えながら、ヤブキは起き上がった。 「お前が昼飯を作れ。納豆とぬか漬けが作れるんだ、料理も作れるんだろう?」 マサヨシの提案に、ミイムが不満を露わにした。 「それはないですぅ、パパさん! お料理はボクの仕事であってヤブキなんかの仕事じゃないですぅ!」 「たまには楽をするのもいいだろう」 マサヨシが語気を柔らかくすると、ミイムは渋々引き下がった。 「そりゃあ、まあ…」 「お任せ下さいっす! オイラ、一人暮らしが長かったっすから、料理は結構得意なんすよ!」 急に張り切ったヤブキは、納豆の箱を担ぎ、脚部のスラスターを使って飛び跳ねるように駆け出した。 「そうと決まれば、まずは白いご飯を炊かなきゃならないっすね! オイラ、めっちゃ張り切っちゃうっすよ!」 「頑張ってねー、お兄ちゃーん」 ハルがヤブキの背に声を掛けると、了解っすー、との力強い返事が返ってきた。マサヨシは、ミイムを見やった。 ミイムは自分の役割を奪われたのが余程面白くないのか、ふて腐れている。この辺りは、まだまだ子供っぽい。 イグニスはといえば、事の次第を把握したサチコから矢継ぎ早に文句をぶつけられており、徐々に後退っていた。 今度ばかりは自分も悪かった、と思っているらしい。後ろめたさがあると、イグニスといえども言い返せないようだ。 ハルはヤブキの作る昼食が楽しみなのか、にこにこしている。マサヨシも空腹だったので、純粋に楽しみだった。 たまには、未知の料理を食べるのも悪くない。 それから、一時間程度過ぎた頃、ヤブキの料理は出来上がった。 食器こそ同じだが、内容は大違いだった。スープカップに注がれているものは味噌汁で、葉物が浮いている。 艶やかに光る炊きたての白飯はパンを載せる皿に盛られ、漬け物樽から出された漬け物も食卓に並んでいる。 ぬか床と似た色合いになっているダイコンで、ヤブキに寄れば古漬けらしい。そして、あの納豆も置かれていた。 その他にもふっくらとした卵焼きや根菜の甘辛い煮物などが並び、ミイムの食事とは違った賑やかさがあった。 ヤブキは箸を使って食べていたが、他の三人は箸を使えないので、いつものようにスプーンとフォークだった。 ミイムは物凄く嫌そうにヤブキの料理を突いていたが、古漬けを少しだけ囓ったところ、徐々に表情が変わった。 「みゅ」 「どうっすか? イケるっすよね? オイラも今回は上手く出来たって思うんすよ!」 ヤブキは卵焼きを囓りながら、ミイムに言った。ミイムは古漬けをじっくりと噛み締めていたが、飲み下した。 「これは悪くないかもしれませんけど、やっぱり納豆は許せないです」 「箸で食えばいいんすよ、箸で。スプーンなんかで喰うから感じが出ないんすよ」 ヤブキは金属製の太い指で、器用に箸を動かしてみせた。 「だが、それはどうやって使うんだ? というか、なぜお前はそんなに器用なんだ?」 マサヨシが訝ると、ヤブキはきょとんとした。 「え、マサ兄貴って箸が使えないんすか? ていうか、マサ兄貴はオイラと同じ日系人なんすから、箸が使えるものだとばかり思っていたんすけどね」 「確かに、古漬けと卵焼きと煮物と味噌汁とご飯は悪くないですけど、それだけじゃボクは認めませんからね」 自分の分を食べ終えたミイムは緑茶を啜りながら、眉間にシワを寄せている。ヤブキは、へらっと笑う。 「それ、ほとんど認めてないっすか?」 「認めてないったら認めてないんですぅ! ついでに言えばお茶もおいしいけど、それとこれは別問題ですぅ!」 頑なに意地を張るミイムに、マサヨシは呆れた。 「お前らといい、イグニスとサチコといい、どうしてこうも仲良く出来ないんだ?」 「ねー。納豆、おいしいのにねー」 ハルは口の周りをべたべたにしながら、スプーンを使って納豆ご飯を食べている。マサヨシは、少し笑う。 「まぁな。食べるまでは恐ろしいが、食べてしまえば案外平気なもんだな」 「じゃあ、オイラ、納豆を作っていいんすね!?」 ヤブキは上半身を乗り出し、テーブル越しにマサヨシに詰め寄った。マサヨシは、やや身を引く。 「但し、限度は弁えろ。それだけは忘れるな」 「うおっしゃあー! ありがとうございますっ、オイラ感激っす!」 いやっほう、と年甲斐もなく浮かれるヤブキを、ミイムはぐいっと押さえ込む。 「パパさんから納豆の許可をもらったぐらいでいい気になるんじゃないですぅ! ボクがママなんですからね!」 「二日に一度は白いご飯にするっす!」 「三日に一度で充分ですぅ!」 「だったら三食に二度で!」 「勝手に頻度を上げるなですぅ! 四日に一度ですぅ!」 「いっそのこと朝ご飯を当番制にするっす! オイラが週六でミイムが週一!」 「違います、ボクが週六でヤブキが週一ですぅ!」 ぎゃいぎゃいと言い争う二人に、マサヨシはぽつりと呟いた。 「俺としては、喰えればなんでもいいんだが」 「うん。私、パンもご飯も好きー」 ハルは納豆ご飯を食べ終え、味噌汁の残りを啜った。ハルの発言の瞬間だけ、二人の言い争いは収まった。 だが、数秒もしないうちにまた言い争いに戻ってしまった。難儀だな、とマサヨシは思いつつ、熱い緑茶を飲んだ。 窓の外からリビングを見ていたイグニスも、肩を竦めている。サチコも、呆気に取られながら二人を眺めていた。 二人の言い争いは、昼食を終えても収まらなかった。どちらも、一度テンションが上がると下がらないらしい。 顔を合わせるたびに食事の件について言い合うので、うるさくてたまらず、溜まりかねてマサヨシは口を挟んだ。 すぐに言い合おうとする二人を宥めて、サチコも交えて討論した結果、ヤブキの発言通り朝食は当番制になった。 そのローテーションは、ミイムが四回でヤブキが三回となり、一日ずつ交互に行うことでひとまず決着が付いた。 ヤブキが納豆を作る場所も、キッチンに落ち着いた。他の部屋で作られるくらいなら、という妥協の末の判断だ。 だが、二人の仲は明らかに悪くなった。ミイムのヤブキに対する嫌悪感は、日に日に強くなっているようだった。 しかし、ヤブキは相変わらずの変な言動を繰り返しているので、それがミイムの嫌悪感を逆撫でしてしまっている。 誰も、最初から仲良くなれるとは思っていない。所詮は他人であり、種族も文化も違うから擦れ違うのが当然だ。 問題は、その程度だ。ヤブキはミイムと普通に接しているが、ミイムはヤブキに対する態度が辛辣になっていく。 この諍いが、長引かなければいいのだが。 08 3/25 |