DEAD STOCK




16.Fly Trap



 ジョックであるイカヅチは死んだ。その名の通りのクイーンビーも死んだ。
 ならば、時代はサイドキックのものと言っても過言ではない。いや、そうならないわけがない。そもそも、イカヅチが ヴィジランテとしての地位を築けたのは、マゴットの力なくして有り得ないからだ。マゴットが苦心してアッパーの技術 と言語を解析し、メダマの使い方とヴィジョンへ映像を送る方法も見つけ出し、映像を加工するための様々な機械も 使いこなしていたからこそ、イカヅチはイカヅチで在り続けられた。だが、そのイカヅチは死んだ。
 他でもないデッドストックに殺された。事実上、イカヅチは無敵で不死身であるはずだった。発電能力を基礎として いながらも、肉体的な死の間際に能力を大いに発展させて電気の固まりに精神を宿せるようになったイカヅチは、 物理的な攻撃が通じるはずもなく、イカヅチに対抗出来るほどの能力を持ったダウナーもいなかった。恐れるべき は概念を操作して己の攻撃を通用させられるスマックダウンとプライスレスだが、スマックダウンは呆気なく死んだ ので問題はない。だが、プライスレスは生きている。あの、口先だけであらゆる物事を覆してしまう、サイドキックの 少年はのうのうと生き延びている。少年が生きている限り、デッドストックもまた脅威である事実に代わりはない。
 だから、効率良く殺さなければならない。馴染み深い地下世界の更に地下へと戻ってきたマゴットは、暗闇を拭う 光を放っているヴィジョン受像機の前でぎちぎちと顎を噛み締めていた。立体映像の中、鳥に似た形状の宇宙船は 汚染し尽くされた海で異常進化を遂げた巨大魚に食らい付かれ、クチバシと顔に相当する部分が噛み千切られ、 中身が覗いていた。その中には、黒い肌の男と偽物の羽が生えた少女がいる。
 あの状況をどうやって生き延びたのかは解らないが、生きているのなら利用し尽くすまでだ。マゴットは、イカヅチ の死によって機能が停止したサンダーボルト・シティから自力で飛行して地下世界に戻ってきたのである。電力供給 がままならなくなって反重力装置が機能停止してから間もなく、都市の土台が崩れ始めるかと思われたが、突如、 辺り一面が結晶化し始めた。何事かとマゴットが空中に留まると、ビル群は次々に透き通った結晶の柱となって いき、人々も透き通った彫像と化していった。こんなことが出来るのは、ただ一人しかいない。マゴットが戦慄している と、イカヅチの牙城であるビルの壁が結晶化した後に砕かれ、大穴が開いた。
 そこから現れたのは、ロボットに脳を宿してノーバディという名を騙っていた、クリスタライズだった。彼は結晶体を 積み上げて新たな肉体を成していて、ノーバディだった頃の名残は頭部にしか残っていなかった。クリスタライズは 空中で臆しているマゴットを一瞥し、イカヅチのビルを一瞥すると、結晶体の粒子を煌めかせながら跳躍して天上世界 へと消えていった。件の鉄の鳥が降ってきたのは、それからしばらくしてからのことだった。

「恩知らずめ」

 クリスタライズの脳を拾ってノーバディに作り替えてやったのは、マゴットだというのに。助けもせず、天上世界へと 誘うこともせずに去ってしまったのだから。クリスタライズは本物のヒーローであり、絵空事ではないヒーローになれる 才覚を持ち合わせていると信じていたから、イカヅチにそれらしいことを吹き込んでクリスタライズをヴィジランテ にもさせたというのに。ひどい裏切りだ。
 サイドキックでいることは、劣等感と敗北感を積み重ねていくことだ。だが、マゴット自身にはハエ人間である以外 の能力らしい能力はなく、せいぜい、蛆虫を大量に育てられる程度の技能しかない。だから、見栄えの良い攻撃を 行うことが出来る能力者達は、羨望の対象であると同時に嫉妬の相手でもあった。イカヅチに心酔していた頃から そうだった。イカヅチもただの下らないヴィランであり、ダウナーであると知ってからも、その感情は消えなかった。 だが、イカヅチが死んでしまっては感情の行き場がなくなってしまった。持ち上げて、おだてて、口先だけの忠誠心 を誓って、顎で使われているのは、正直言って楽だった。そうしていれば、少なくともマゴットの身の置き場は確保 することが出来たからだ。しかし、イカヅチがいなければサイドキックですらない。ただの屑ヴィランだ。
 だが、マゴットは他のダウナーとは違ってアッパーの技術を使いこなし、情報を操作して人心を誘導出来るという、 他の能力者が持ち得ない能力を持っている。ヴィジョンさえあれば、頭が空っぽなダウナー達を促すのは造作もない。 ヴィジョンの内容を疑おうともせずに、見たものが全て真実だと思えるのだから、ある意味では幸せだ。
 下克上なんて狙ってはいない。イカヅチに成り代われるほどの技量もない。だから、マゴットは自分が出来ることを やるまでだ。これまでも、デッドストックは無造作にヴィラン達の均衡を崩してきた。短絡的な目的のために、微妙な バランスを保っていた力関係を台無しにした。それがあったから、マゴットも地位を保てていた。ろくでもない世界の 片隅ではあるが、そのろくでもなさが割と気に入っていた。
 天上世界の真実にも興味はないし、地下世界の行方にも関心はない。現状維持、それが一番だ。狭い世界の中 でどたばたとやっていた方が、収まりが良い。故に、デッドストックにどうしようもなく苛立つ。たかが一匹の人造妖精 のために、何もかもを引っ掻き回して壊していった、屑の中の屑ヴィランに憎悪さえ抱く。
 マゴットは複眼を傾け、下水道の浅い水溜まりに転がしている死体の中でうぞうぞと蠢いている蛆虫を見やると、 その中でも特にでっぷりと太った蛆虫を摘み上げた。腐敗汁と蛆虫の粘液が絡み合って糸を引き、細かな蛆虫も 何匹か釣れたが、小さなものはその場に投げ捨てた。

「お前達がいてくれるから、僕は高みに昇れるんだよ」

 マゴットは上右足の中程で慎重に抓んだ特大の蛆虫に、触角を向けた。死臭と虫特有の臭気が漂う。マゴットには 大した能力はなくとも、ハエには様々な種類がいる。単に腐肉に群がるもの、排泄物に集るもの、そして生きた獣の肉に 卵を埋め込むものと。この特大の蛆虫は、生き物の肉に卵を産み付ける種類のハエを品種改良すべく、交配を何世代 も行い続けた末に完成した、新種の蛆虫である。さながら寄生虫の如く、この蛆虫を体内に入れたものは、蛆虫に脳を 蝕まれて自我を失って生きた死体も同然となる。そこに、マゴットが同種の虫同士の思考の繋がりを用いた遠隔操作を 行ってやると、寄生された生き物は思いのままに動くというわけだ。
 もちろん、怪魚にも喰わせている。そして、大振りなハエにこの蛆虫を抱かせ、ヴィジョン受像機を持っている者達の 元へと向かわせている。ちゃんと寄生してくれるかどうかは賭けだが手を打たないよりマシだ。能なしのダウナーで あろうとも、中にはまともな考えを持っている奴もいるかもしれない。だから、デッドストックが恨まれるように、誰かに 扇動させなければならない。そのための、特製の蛆虫なのだ。
 バードストライクが招いた鉄の鳥は、一旦壁の上へと消え去ったが、再び戻ってきた。どうせ帰ってくるだろうという 妙な確信を得ていたマゴットは、その鉄の鳥目掛けて、突如として砕け散った塔の内側で育てていた無数のハエを けしかけてやった。その中身がバードストライクであろうと、バードストライクがなぜか助けたデッドストックらであろう と、どちらでもいいから死んでほしかったのだ。小細工の甲斐あって鉄の鳥は墜落しそうになったが、器用に飛んで 海に向かい、今も尚生き延びている。その後のメダマを使った調査で、鉄の鳥に乗っていたのはデッドストックらで あると判明したこともあり、マゴットはいつになく攻撃衝動に駆られていた。
 意識した途端、デッドストックが憎らしくて仕方ない。腹立たしくて、体液が煮詰まってしまいそうになる。イカヅチを 殺したから、というのもあるが、全神経がざわついて逆立ってささくれ立って荒立ってどうしようもない。あいつらは 誰も成し遂げなかったことを、次々に果たしていく。人造妖精の奪取から始まり、絶対的なヴィジランテへの反抗、 塔の登頂、そして天上世界へ行くことさえも。だから、いずれ奴らは、イカヅチが見つけ出してマゴットに与えてくれた 情報の宝庫にまでも辿り着きかねない。そうなったら、何もかも台無しにされてしまう。その蛮行を防ぐためには、 デッドストックらを殺すのが確実だ。イカヅチに成り代われはしなくとも、マゴットに出来ることはある。
 そう、いくらでも。




 怪魚の顎が、ねっとりと糸を引きながら開く。
 汚水と潮とその他諸々が混じった海水は、いかにデッドストックの肌であろうとも刺激が強すぎた。素肌の左腕からは メタンガスとは異なる気体が立ち上っていて、毒を振りまいている。鉄の鳥のクチバシを食い破ったが、顎を載せた途端 にデッドストックの左腕を牙の間に突っ込まれた怪魚は、あっという間に腐っていった。歪んだ骨格から肉が剥げてウロコ が落ち、死体や廃棄物が詰まった内臓が現れたが自重で千切れ、海の底へと没した。
 時折痙攣する怪魚を蹴り飛ばしてクチバシの上から退かしたが、鉄の鳥が受けた被害は甚大だった。クチバシの 部分は操縦室だったので、当然ながら重要な機械類が並んでいる。その大半がダメになってしまったのでは、量子 エンジンなど何の意味もない。ただの壊れかけた船だ。デッドストックは口汚く罵ってから、壁を蹴った。

「クソッ垂れめ」

「みゅう……」

 操縦室の隅で小さくなっていたプレタポルテが、目に涙を浮かべながら這い出してきた。

「お前に怒鳴ったわけじゃない。思い上がるな」

 デッドストックは倒れた操縦席に腰掛け、額を押さえた。これからどうする、どうする、どうする。

「うー……」

 プレタポルテは不安なのか、デッドストックに縋ろうとしてきた。デッドストックは胸が悪くなるガスを発している左腕 をなぞり、布地を縮めていたスーツを被せて左腕を覆ってから、プレタポルテを押さえた。すると、途端にしがみついて きて、声を殺して泣き出した。先程まであんなにも怒っていたというのに、現金なものである。
 少し伸びてきた淡い緑色の髪を撫で付けてやっていると、人造妖精の羽が目に付いた。記憶が確かならば、あの イカヅチはプレタポルテの羽に通電させていた。となれば、プレタポルテを通じて機械を操れるのだろうか、と考えた が、そこまで物事は都合良くはないだろう。第一、どうやってプレタポルテの羽に機械を繋ぐというのか。

「ぷるきゅわ?」

 泣き止んだプレタポルテは首を傾げ、デッドストックを見上げてきた。

「いや……なんでもない」

 何を期待している、こんな小娘に。少しは口が達者になって情緒も増えてきたかもしれないが、それだけであって、 妙な能力に目覚めたわけでもないのだから。万が一そうなっていたとしても、世間知らずで頭が空っぽの人造妖精 の手を借りて生き延びるのは癪に障る。有り体に言えば、プライドが許さない。それに、ついこの間まで万能だった プライスレスと同等かそれ以上の働きを期待してしまうだろうが、期待した分だけ肩透かしを喰らうだろう。だから、 結局は自分の頭で考え、自分の力で事態をどうにかするしかないのだ。
 腐り落ちて沈んでいく怪魚の周囲に、早くも魚が群がり始めた。屍肉喰い共である。びちびちと尾を振って水面を 叩きながら、崩れた肉に喰らい付き、骨にもまとわりつき、一片残さず食い尽くすつもりだ。だが、死体から発生した メタンガスを吸い込んで酸欠に陥っていく魚が次々に浮かんでは腹を見せ、波に攫われていった。ねっとりとした光沢 を持つ海面を眺め、デッドストックはふとある考えが過ぎった。 

「おい」

 デッドストックは操縦室の壁を叩き、声を掛けると、幸いなことにコンピューターは生きていた。端末が損傷したと しきりに喚いていたが、それを黙らせてから、鉄の鳥に高温を出せる機械は付いていないかと訊ねてみた。少しの 間を置いてから、左翼に搭載されているプラズマ砲が該当した、と答えてくれた。

「鉄の鳥にまで熱が来ないように出来るか」

 デッドストックの無茶な要求にもコンピューターは素直に応じてくれ、機体全体を空間湾曲シールドで覆って遮断 することが出来る、と言った。つくづく機械とは便利なものである。

「というわけだ」

 デッドストックはプレタポルテを手招くと、プレタポルテは不審そうではあったが近付いてきた。

「面白いものが見られるぞ」

 鉄の鳥のクチバシに空間湾曲シールドなる薄膜が覆い被さって、破損部分が塞がれて海水の侵入が止まった。 その部分だけが切り取られたかのように浮き上がり、ちゃぷちゃぷと浅い波が目に見えない障壁を舐める。デッド ストックは横倒しになった座席に座り、プレタポルテを膝の上に載せ、プラズマ砲らしき光線で抉られた海面が発火 する瞬間を目にした。過熱されて沸騰した海面がごぼごぼと泡立ったかと思うと、一際大きな気泡が膨れ上がって 爆ぜ、赤い炎が走った。途端にその炎は廃油に汚染されきった海を駆け抜け、あっという間に鉄の鳥を取り巻く海 は炎に満たされた。薄膜の向こうには黒煙が噴き上がり、陽炎が揺らめき、煮えた魚が次々に浮いてくる。
 どうせ、敵の居所は解っている。黒幕はマゴットだろうし、長年の隠れ家である地下の地下に潜り込むはずだ。 殺すほど恨んでもいないし、一度は助けられた身の上ではあるが、生かしておいたら面倒な相手になりそうなので、 手っ取り早く手を下さなければ。
 空間湾曲シールドを展開していると機動力が大幅に落ちる、とナビゲートコンピューターは警告してくれたが、 どうせ急ぎの用事でもないので丁度良かった。海面から数メートルの高度に浮き上がった鉄の鳥は、めらめらと 踊り狂う炎と黒煙にまとわりつかれてはいたが、煤一つ付かなかった。時折、少し離れた場所の海面も狙撃して 過熱させ、新たな炎を生み出してやった。そうしておけば、怪魚に襲われる危険はないと踏んだからだ。
 プレタポルテは文字通り炎の海となった海面をじっと見つめていたが、ほうっとため息を吐いた。怯えているの ではなく、炎の鮮やかさに見入ったようだった。デッドストックは背を曲げて頬杖を付き、人造妖精を軽く叩く。

「面白いか」

「うぃ……」

「そうか」

 大人しくしてくれているのであれば、それでいい。このままヴィランの島に向かえば、少なくとも地に足を着けること は出来そうだ。半端なヴィランが襲い掛かってくるかもしれないが、その時は返り討ちにすればいいだけのことだ。 デッドストックはプレタポルテが以前よりも少し重たくなったと感じたが、胸に納めておいた。それだけ、成長したと いう証しだ。作り物であろうとも、生きているのだから当然のことだ。
 メダマが何個か空間湾曲シールドに激突しては砕け散っていったようだったが、それ以外は何事もなく、順調な 航海を続けられた。島の影が見えてきた頃合いには、右腕の治療が終わったプライスレスがひどくよろけながら 操縦室まで戻ってきた。自身の能力の弊害で右手を失った右腕は幅広の白いテープでぐるぐる巻きにされただけ でなく、肩からベルトのようなもので吊り下げられている。ガスマスクの下の目は虚ろで、余程痛い目に遭ったと みえる。あー、うー、おー、と唸り声を上げながら、少年は操縦室に戻ってきた。

「……んで、どうなった?」

「もう少しで」

 と、デッドストックが真正面に見えるヴィランの島を指し示した時、操縦室を照らしていた照明と計器類が点滅 した。エンジンの不調かと勘繰ったが、それならばまず警告が鳴って高度が落ちるはずだ。だったら、どんな異常 が現れたというのか。プレタポルテを下ろしてからデッドストックが腰を浮かせると、機体を覆っていた薄膜が剥げて 有毒な外気が押し寄せ、灰と塩と炭が多量に混ざった猛烈な熱風が侵入してきた。
 思わず息を止めたデッドストックは、左手でプレタポルテを掴んだ。プレタポルテの小さな手が指先を握り返して きたことを確かめた、正にその時、鉄の鳥の機首が曲がった。煮え滾る海に頭から突っ込んだのだ。プライスレス が鉄の鳥の壁に激突して傷口を痛めたのか、再度絶叫する。無数の魚の死骸と石油と汚物という汚物が混じる 海水が迫り上がり、息を吐く間もなく、汚れた海水に飲み込まれる。
 ラバーマスクの下で唇をきつく結ぶが、それでも鼻から海水が侵入してくる。プライスレスはガスマスクがあるので しばらくは平気だろう、プレタポルテも例のゴーグルが拡大して顔全体を覆ったので、そう簡単には息は詰まらない だろうが、どのみち、酸素がなくなれば死ぬ。となれば、鉄の鳥ともここでお別れだ。
 一秒足らずでその決断を下したデッドストックは右腕を曲げてプレタポルテを抱えると、左腕の手袋を剥いでそれを プレタポルテに握らせてから、大量の海水を腐敗させた。過熱されていたこともあって、ほんの数秒で莫大な量の メタンガスが生じて巨大な気泡が出来た。その中にプライスレスを放り込んでから、デッドストック自身も入ると、 重力で海底に引き寄せられる前に浮力に任せる。クチバシの破損部分から膨れたメタンガスの気泡が海面に 至るまでの十数秒が、ひどく長く思えた。魚の死骸と瓦礫と人間の死体が累積している海底に、真っ白な気泡を 纏いながら、鉄の鳥は沈んでいく。外装が物悲しげに軋み、計器類は淡い光を放ち、ナビゲートコンピューターの 声は程なくして聞こえなくなった。僅かに喪失感に駆られたが、海面に出た瞬間、そんなものは忘れた。
 波間に顔を出した途端に、ラバーマスクの隙間から思いきり息を吸う。噎せたが堪える。プレタポルテを海面まで 持ち上げてやり、プライスレスが死にそうになりながらも浮き上がったのを確かめた後、デッドストックは黒い波間を 漂ってきた、巨大すぎる怪魚の死骸に向かって泳いでいった。目下、足場に出来そうなのはこれしかないからだ。 プレタポルテが力一杯握り締めていた手袋を取り返して左手に填め、肉が腐敗したために弾けそうなウロコに手を 掛けると、びちびちと無数の寄生虫が躍ったが、それを気にせずに這い上がる。と、その時。
 鉄の鳥が、息を吹き返した。





 


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