手の中の戦争




第七話 ビター・チョコレート



その夜。私は、特殊機動部隊専用営舎の自分の部屋にいた。
ベッドに寝転がって、上段のベッドの底板を見つめながら、MDプレーヤーに繋げたヘッドフォンを付けていた。
いつもは心に染み込んでくる歌の歌詞が頭を上滑りしていて、内容どころかメロディーも聞こえてこなかった。
北斗から言われたことが、ショックだった。そう感じないようにしても、やっぱり、痛いものは痛かった。
そりゃそうだ。私が持っているほんのちっぽけな自尊心を、完膚無きまでに叩きのめしてくれたのだから。
気を抜けば泣いてしまいそうなので、何も考えないようにしていた。明日の朝になれば、また訓練が始まる。
そこでちゃんと鍛えて、強くなればいいだけのことなんだ。だから、悩んで苦しむのは後回しにしよう。
私は枕元に置いてあるハードカバーの本に手を伸ばしたが、ぱたりと落とした。今は、本を読む気力はない。
本ではなく枕を引き寄せ、そこに顔を埋めた。その中で深くため息を吐いてから、体を丸めて目を閉じた。
すると、階段を昇ってくる足音がした。だがそれは一つではなく、声も足音と同じく二人分があった。
それは南斗の声で、何やら北斗を急かしている。さっさと行けこの馬鹿、行っちまえっての、と言っている。
その合間に、困惑気味の北斗の声もしている。何事かと思っていると、ばん、と扉が勢い良く開かれた。
途端に、北斗が投げ込まれた。振り向くと、扉の前にいる南斗は北斗を蹴った足をそのままに、声を上げた。

「愚弟投下ー!」

「…何?」

私はヘッドフォンを外して、南斗に向いた。南斗は苛立っているようで、口調も荒かった。

「礼ちゃん、こいつのこと好きにしちまいなよ。撃つなり切るなり爆撃するなり」

「なんで?」

私が聞き返すと、南斗は床に倒れたままの北斗を見下ろした。

「ったりめーだろーが。大体、あそこまで言う必要なんてねぇっての。礼ちゃんの実力が足りないのは事実だしそればっかりはどうしようもないけど、だからってありゃあねぇだろうが。馬鹿かお前? ていうかマジ馬鹿すぎじゃね? 所長もカンダタも言ってただろーが、礼ちゃんはオレらとはマジ違うんだよ」

「しかしだな、南斗!」

起き上がって言い返した北斗を、南斗はすかさず踏み付けた。背中に、ジャングルブーツの底をめり込ませる。

「いいかー愚弟、女の子は全宇宙の財産なんだからな! 大事にしないと世界は滅びるんだからな!」

なぜそこまで話が大きくなる。私は南斗に突っ込みたい気持ちになったけど、そこまで気力が湧かなかった。
南斗は北斗の後頭部を足蹴にすると、ふん、と息を吐いた。腕を組んで、足の下の弟を見下ろし、言った。

「いいか、礼ちゃんにちゃんと謝るまで帰ってくるんじゃねぇぞ! お兄ちゃんとの約束だ!」

「お前、お兄ちゃんはないだろう」

俯せになっている北斗が嫌そうにすると、南斗は北斗を再度足蹴にしてから、部屋を出た。

「オレの方が起動時間が十五秒早いんだよ! だからオレがお兄ちゃんなの! 上の兄弟の命令は絶対なの! いいか解ったか解ったなら返事をしろ、ていうかしやがれ、しねぇとまた蹴っ飛ばすぞ!」

「りょ、了解した」

「違ぁう!」

「アイサー」

南斗に訂正させられた北斗は、仕方なさそうに敬礼した。うん、と頷いた南斗は、乱暴に階段を下りていった。
その足音が遠ざかった頃、北斗は立ち上がって扉を閉めた。南斗の足跡の残るヘルメットを、手でさする。

「愚兄め。しっかり体重を掛けおって。首の関節がイカれたらどうしてくれるのだ」

私はMDを止めてから、北斗を見上げた。北斗は私をちらりと見下ろしてきたが、すぐに顔を逸らしてしまった。
なんだか、気まずい空気が流れていた。私は何も言うことが思い付かないし、北斗も思い付かないのだろう。
だって、北斗の言ったことは事実なんだ。私が勝手に傷付いているだけなんだ。だから、謝られる必要はない。
そうは思っても、勝手に涙は出てきてしまう。膝の上には水の痕がいくつも出来て、抑えた声が喉から漏れる。

「今度は、どうして泣いておるのだ」

北斗に問われても、私は答えなかった。

「先日も泣いておっただろう。あの時も答えてくれなかったが、礼子君はいかなる理由で泣いておるのだ?」

「なんでもない」

「礼子君はそればかりではないか。具体的な理由を言ってもらわなくては、対処のしようがないではないか」

「なんでもないんだよ、本当に」

私は上擦りそうになる声を、なんとか押さえた。北斗は困ってしまったのか、ヘルメットをがりがりと掻いた。

「自分が相手では、話せぬということなのか?」

「そういうんじゃないよ」

私は北斗から目を逸らし、目元を拭った。だが、拭った傍から次の涙が出てきてしまい、あまり意味はなかった。

「礼子君」

「だから、もういいって。別に、謝られなくたっていいんだし」

私は口調を明るくさせようとしたけど、不自然に引きつっただけだった。

「全部、本当のことなんだもん」

いけないのは、弱い私だ。震える唇を痛いくらいに噛んでいると、目の前が陰り、北斗が私の前にやってきた。

「自分は、礼子君が好きだ」

好きなら、なんであそこまで言うんだよ。そう言い返したくなったけど、喉まで出掛かって、飲み込んでしまった。

「だが、時折、解らなくなってしまうのだ」

「何が」

「自分は、礼子君のことが解らないから、次にどう行動すれば良いのか判断が付けられなくて、結果として的外れな行動ばかり取ってしまう。それを修正しようとも思うのだが、それもまた多少なりともずれてしまうようなのだ。だからいっそ、上官として接しておった方がやりやすくなるのではと判断したのだが…」

「だから、あんなきっついこと言ってきたわけ?」

私が尋ねると、北斗は頷く代わりに項垂れた。

「一応、そういうことになる。だが、それが礼子君にとって辛いものだとは思いも寄らなかったのだ」

なんて馬鹿なんだ。私は北斗を責めたい気持ちになったが、北斗があまりにも萎れているので言えなくなった。
この間の湯上がりドッキリもそうだが、色々な部分を根本から間違えているから、行動もおかしくなってしまう。
それは、今に始まったことではない。私と出会った頃から、北斗は進歩せずにそれを繰り返してばかりいる。
だけど、ここまで来ると呆れてしまいそうになる。だが、裏を返せば、それだけ北斗は私のことが好きなのだ。
せっかく同じ駐屯地にいるのだから、少しでもいいから仲良くなろうと、こいつなりに努力をしているのだ。
ああ、私と同じだ。私がいくら訓練しても上手く行かないように、北斗も私と上手くいかないばかりなんだ。
変なところで、共通点を見つけてしまった。それが解ると、もう北斗を責める気持ちにはなれなくなった。
私は涙の滲んだ目元を擦ってから、何度も深呼吸を繰り返して心を宥めた。言うだけでも、言ってみよう。

「教えてあげようか」

私がぽつりと呟くと、北斗は顔を上げた。

「何をだね、礼子君」

「あんたが知りたがってること。私が泣いた、ていうか、気が滅入っちゃっている理由だよ」

私は目線を落とし、足元を見つめた。床には、北斗の大きな影が伸びている。

「笑ったりしたら叩き出すからね。私さ、こんなに長く家を離れるのって初めてなんだよね。入院した時はお父さんとお母さんが来てくれたし、たまにだけど弟も来たし、半月もしないうちに帰れたからそんなに寂しくなかったの。でも、今度の訓練は一ヶ月と二週間でしょ? その間は全然家に帰れないってわけじゃないけど、ここからだと家は遠いからすぐには帰れないし、帰りたいって思っても訓練をするって決めたのは私だからそんなことは言えないしでさぁ。で、結構、しんどかったの」

私は、自分の心中を吐き出しながら、また泣きたくなっていた。

「でもって、訓練は前よりもずっときつくなった。走る距離だって長いし、ガンだっていつものじゃないし、使ったこともないナイフなんて使わなきゃならないし、だけど、全然上手くいかないの。元々そんなに体力がある方じゃないから、すぐにへばっちゃうし、標的には弾が一つも当たらないし、ナイフを使うのに慣れてないから動きが変になっちゃうしでさぁ。どれだけ自分が役に立たないか、思い知らされた。それで、あんたがあれ言ったから、トドメ喰らった感じ」

私の言葉が止んでも、北斗はしばらく黙っていた。困ったような情けないような顔をして、突っ立っている。
言うだけ言って、私は少しだけ気が晴れていた。だけど今度は、自分の言葉で胸の辺りが痛くなってしまった。

「…厳罰を下せ」

北斗が、苦しげに呻いた。

「礼子君。なんでもよい、自分を虐げてくれんか」

「は?」

なんだ、そのドMみたいな発言は。私がきょとんとすると、北斗は目元を押さえるようにゴーグルを押さえた。

「大事な部下の心中を察してやれないばかりか追い詰めておったとは、上官にあるまじき行為ではないか。構うことはない、礼子君。自分に銃殺でも絞首でも拷問でも生体解剖でもなんでもよい、罰を下してくれたまえ」

「い、いや、今、大戦中じゃないから! 二十一世紀だから!」

北斗の言葉に、私は慌ててしまった。言うことがいちいち物騒だ。

「なんだったら、全武装を解除した状態で中東にでも投下してくれたまえ。旧共産圏でも良いぞ」

「だ、ダメ、それだけはダメ、マジで国際問題になる、ていうかまた変な戦争が起きちゃう!」

私が混乱していると、やさぐれている北斗はぼやいた。

「自分は、それほどのことをされたい気分なのだ。それぐらいのことをされなくては、自分で自分が許せんのだ」

「相変わらず、極端だよねぇ…」

私は慌ててしまったのと、北斗の思考のぶっ飛び加減に飲まれ、泣きたい気持ちが引っ込んでしまった。
大きな肩を落として背を丸めて沈んでいる北斗は、やけに小さく見えてしまい、ちょっと可哀想になった。
余程、私の話が衝撃的だったのだろう。というか、北斗の中での私って、どういう存在なんだか掴めない。
良くも悪くも、過大評価をしているのは違いない。どれだけのものなのか、興味がないわけではないけど。
だけど今は、落ち込んでしまった北斗をどうにかする方が先だ。このまま立っていられたら、絶対に寝づらい。

「要は、私があんたを許せばいいんでしょ?」

私が言うと、北斗は少し嬉しそうにした。

「許してくれるというのか、礼子君?」

「まぁ、あんたに悪気があったわけじゃないし、私が弱いのは事実だし」

私は、北斗を見上げた。ほぼ真上にいるので、自然と視線を合わせる恰好になってしまい、少し照れくさい。
不意に、水族館で奈々に言われたことを思い出してしまった。なんでこんな時に、あの時のことが出てくるんだ。
大体、気になるというだけで、そもそも男として認識するような相手ではないし、恋愛対象になどならない。
いい加減、あのことは忘れてしまおう。私はそう思い直してから、北斗を許す方法を考え、それを口に出した。

「チョコレート、奢って」

「それで、良いのか?」

慎重に尋ねてきた北斗に、私は頷いた。即物的でガキくさいけど、これで私の気が済むのは確かなのだ。

「あ、でも、ミルクじゃなくてビターね。今は暑いから、そんなに甘くない方がいいの」

「どれだけ入り用なのだ!」

北斗が身を乗り出してきたので、私は反射的に身を引いた。

「板のやつ、十枚。それだけあれば、しばらく持つから」

「では即刻、任務に向かうとしよう!」

敬礼して駆け出そうとした北斗に、私は声を掛けた。少し、気になることがあったからだ。

「あんた、お金は持っているの?」

「無論だっ! 自分は兵器ではあるが一人の自衛官なのだ、毎月きっちり給料は支給されておるのだ!」

ほれ、と北斗は戦闘服のポケットからクレジットカードを取り出してみせた。私は、かなり不可解な気分になった。

「でも、もらったところで使い道なんてあるの? ていうか、ロボットにお金渡しても…」

「いや、これが意外にあるのだ。自分も南斗も趣味があるのであるからして、それらのものを買う時に使うのだ」

「ネット通販でもしてるの?」

「うむ、そうだ。あれは良いぞ、注文してからあまり日が経たずに物が手に入るのだ」

北斗はだらしなくにやけながら、もう一度敬礼した。

「それでは、礼子君の所望するものを手に入れてくるとしよう!」

ははははははははは、といやに楽しそうな笑い声を振りまきながら、北斗は廊下を駆けて階段を下りていった。
だけど、あんたは普通の営舎には行けないのではないのか。売店で買うにしても、姿を見られては意味がない。
と、思っていると事務室の方向から、カンダタァッ、というやかましい叫び声がしてきた。電話しているのか。
私は枕元から携帯電話を取るとフリップを開いて、現在時刻を確かめた。もう午後十時半、大分夜も遅い。
こんな時間に呼び出される神田隊員は、たまったものではない。いつもこんな感じじゃ、タフにもなるはずだ。
私が神田隊員に同情していると、重たい足音が近付いてきた。見ると、南斗がにやけながら覗き込んでいる。

「礼ちゃん、いい感じになったみたいじゃん?」

「まぁ、ね」

私は、落ち込んでいた気持ちが浮上していることに気付いた。北斗のテンションに、引き摺られたのかもしれない。
南斗は部屋に入ってくると、神田隊員に電話している北斗の喚きが聞こえる一階を見やってから、笑った。

「礼ちゃんもさ、あんまり思い詰めるんじゃねーぞ? オレらもさぁ、最初の頃なんて超ボロボロだったんだから」

「そうなの?」

それは意外だ。私が目を丸くすると、南斗は情けなさそうにする。

「そうなんだよ。造られたばっかりの頃はコアブロックが不完全だったもんだから、色んなデータが欠落してて、戦闘なんてろくに出来る状態じゃなかったんだよ。それを、必死に訓練して訓練してようやくここまでなれたっつーわけ。オレらはデータの蓄積と上書きで成長出来るようになってんだけど、裏を返しちまえば、データが蓄積されてなきゃまるっきりの木偶の坊ってことなんだよ。北斗はオレよりもマジプライド高いから、あんまり言わねーけど。でも、オレは言うの。せっかくの努力を誰にも教えないでおくのはマジもったいねーじゃん?」

「なんだ、そうなの」

そうだと知ると、私の悩みは和らいだような気がした。結局、誰だって努力をせずに実力は得られないのだ。

「それと」

南斗は手を縦にして上げ、謝罪の恰好をした。

「昼間、マジごめんな。まだ言えないけど、そのうちきっちり説明してやるから。オレらが生まれた経緯とか、カンダタの絡んだ事件との関連とか、全部教えてやるよ。礼ちゃんはオレらの仲間だし、それにオレらのことをもっと知っていてほしいんだ」

手を下ろした南斗は、少しだけ寂しげに笑った。

「このままずっと特殊機動部隊も人型自律実戦兵器も国家機密にされてたら、オレらのことを知っていてくれる人間なんてごくごく限られた人数になるっしょ? それでも機密は機密だから、ちゃんと知っていてくれる人間なんてマジ少ないじゃん? だから、礼ちゃんには覚えていてもらいてーんだ。機密文書が焼かれて、オレらが解体されて溶解されちまっても、礼ちゃんが覚えててくれるんなら、オレらは死んだことにはならねーから」

「…うん」

南斗の言葉の重さに、私は頷かないわけにいかなかった。二人には肉体の死はなくても、存在の死はあるのだ。
北斗と南斗が私に執心する理由が、見えたような気がした。誰だって、自分のことは誰かに覚えていてほしい。

「じゃな、礼ちゃん。愚弟が戻ってきたら、存分に相手をしてやれよ?」

部屋を出かけた南斗は、途中で振り返った。

「お兄ちゃんてーのはな、弟に道を空けてやるもんなんだよ」

そのまま、南斗は扉を閉めた。私は南斗の言葉の意味を考えていたが、思い当たった瞬間にぎょっとした。
ということは、なんだ。南斗も、なんだかんだ言って、北斗と同じように私のことが好きなのだろうか。
だけど南斗はこの前、北斗とは違う好きなんだ、と言っていた。けれど、もしかして、あれは建前だったのか。
有り得ない、とも言い切れないし、そうである可能性は充分にある。そうだとすると、南斗って大人だなぁ。
むやみやたらに好意をぶつけてくる北斗とは違って、身を引く覚悟を決めているし。兄だから、なのかな。
南斗と入れ違いに、北斗が駆け込んできた。めちゃめちゃ嬉しそうな笑顔を浮かべて、私に近寄ってきた。

「喜べ礼子君! もうしばししたら、カンダタが任務をこなしてきてくれるそうだ!」

「それじゃ、神田さんにもきっちりお礼しておかないとね。あんたの我が侭、聞いてくれたんだし」

私が返すと、北斗は腕を伸ばし、おもむろに私を抱き締めた。

「自分に出来ることがあるならば、なんだろうとやってやるとも!」

一瞬、私は状況を理解出来なかった。顔の傍に迷彩柄の戦闘服があり、背中と肩には太い腕が回されている。

「う、あっ」

驚いた私は北斗をはね除けると、北斗もがばっと身を引いた。

「あ、ああすまん礼子君、つい思わず!」

「何やってんの…本当に…」

私はじりじりと北斗との距離を開けながら、強い動揺を感じていた。なんで、北斗を相手に緊張してしまうんだ。
北斗もそうらしく、やりづらそうにしている。本当に無意識にやってしまったのか、戸惑っているようだった。
私は動揺があまりにも強いためか、苛立ちなどは起きてこなかった。もしかして、私は人恋しかったのかな。
そうだ、きっとそうだ、ホームシックのせいで寂しくなっていたから、北斗なんかが相手でも良かったんだ。
そうに違いない。というか、そうなんだ。私は、何度も自分に言い聞かせながら、胸元をきつく握り締めた。
手の下で、痛いほど心臓が高鳴っていた。




翌日。その日は土曜日で、自衛隊も休みだった。
私は、事務室の冷蔵庫に入れて冷やしておいた、十枚のビターチョコレートを食べることに専念していた。
甘いものを食べることはそれだけでストレス解消にもなるし、チョコレートの一気食いは楽しいからだ。
だけど、気は休まらなかった。北斗の腕の中の感覚と、南斗の見せた気持ちが、私の中に残留していた。
どちらもすぐには払拭出来ない。だけど、こんなものを残したままでいると、訓練に支障を来してしまう。
だから私は、どちらも忘れることにした。今は、ロボットの恋心になど戸惑うよりも先にやることがある。

そう思うことで、昨夜の動揺から目を逸らしていた。





 


06 7/14