豪烈甲者カンタロス
Strong Insect Cantharus





登場人物紹介


兜森繭 「私の全部をあなたにあげる。卵も、体も、心も」
主人公。十六歳。高校一年生。根暗ではないが、印象が薄く、自己主張が苦手な少女。
前の女王によって卵を産み付けられ、次なる女王を生み出すための苗床にされてしまった。
両親は離婚調停中で別居し、友人もいないため、カンタロスだけが心の支えになっている。

カンタロス 「俺は強い。だから、女王は俺のものだ」
身長2.5メートル。人型カブトムシの改造体で、対人型昆虫用戦術外骨格。試作十五号。
次なる女王に自分自身の遺伝子を継がせ、繁栄させるためだけに繭を守り、戦っている。
飛行速度は鈍いが腕力は凄まじく、装甲車でさえも破壊出来る。性格は傲慢で傍若無人。

鍬形桐子 「私は女王なのよ、私に命じられる人間なんていないわ」
十七歳。高校二年生。対人型昆虫用戦術外骨格、セールヴォランの使用者。一等陸尉。
パートナーであるセールヴォランに対して並々ならぬ執着を持ち、異性として愛している。
プライドが高く独善的で世界の中心は自分だと信じて止まないが、その反面、打たれ弱い。

セールヴォラン 「桐子が楽しいのなら、僕も楽しい」
身長2.4メートル。人型クワガタムシの改造体で、一体目の対人型昆虫用戦術外骨格。
研究初期に造られたために電子頭脳の性能が低く、自我が薄弱で知能もあまり高くない。
生まれた時から傍にいる桐子に従順で、人間に従うことには欠片も疑問を持っていない。

蜂須賀ねね 「マジダサいんだけど。つか、ダサすぎてウケる」
十四歳。中学二年生。二体目の対人型昆虫用戦術外骨格、ベスパの使用者。二等陸尉。
国立生物研究所に捕らえられて女王の卵を移植され、否応なしに戦闘に投入されている。
自暴自棄で情緒不安定。ベスパの扱いは極めて乱暴で、単なる道具としか考えていない。

ベスパ 「御見事です、クイーン。女王に相応しい強さをお持ちです」
身長2.3メートル。人型スズメバチの改造体で、二体目の対人型昆虫用戦術外骨格。
使用者の蜂須賀ねねとの協調性は皆無で、関係も希薄だが、命令されれば愚直に従う。
プログラムを用いた思考制御とホルモン剤の投与により、本来の凶暴性は失われている。


水橋薫子 「何百年経とうと、あんたの趣味だけは理解出来ないわ」
二十六歳。国立生物研究所に所属する研究員であり、戦術外骨格を指揮する現場主任。
桐子やねねを兵器利用する一方で、独自の兵器開発も行っている。冷静かつ冷血な性格。

黒田輝之 「通りすがりの正義の味方さ」
二十五歳。政府より特命を帯びた諜報員で、国立生物研究所で潜入調査を行っている。
戦術外骨格とは違った形で人型昆虫への対抗手段を有している。別名、ブラックシャイン。

水橋櫻子 「きっと、許してくれるよね? 輝之君も、百香ちゃんも」
故人。薫子の双子の妹で国立生物研究所に所属する研究員だが、実験中の事故で死亡。
櫻子に恋愛感情を抱く薫子に過干渉されており、薫子を疎んでいるが憎み切れずにいる。

黒田百香 「こうしないと、この子がお兄ちゃんを食べるって言うから!」
故人。黒田輝之の八歳年下の妹。体が弱く病気がちで、幼い頃から入退院を繰り返す。
両親が事故死したこともあり、黒田に甘え切っている。戦術外骨格試作一号の使用者。

小蝶紫織 「きっと大丈夫ですよ! 正義の味方なんですから!」
二十四歳。人型昆虫対策班研究部に所属している研究員で、黒田に好意を抱いている。
価値観が少々ずれていて夢見がちだが、言動に裏表はない。小柄で童顔、料理が下手。




用語解説


人型昆虫
何らかの切っ掛けで、昆虫が突然変異を起こし、人間大の体格に成長した個体の総称。
肉食である彼らは人間を捕食し、繁殖し、種族によっては人間に卵を産み付けることも。
巨大化した昆虫は凶暴であり、外骨格も分厚いため、生身の人間では太刀打ち出来ない。
だが、その存在は世間には公表されておらず、政府機関が秘密裏に対応を行っている。

対人型昆虫用戦術外骨格
人の手で生み出した人型昆虫に電子頭脳を搭載して制御下に置き、改造を施した個体。
人型昆虫の体内に使用者を収めて神経を接続し、感覚を共有させた状態で戦闘を行う。
だが、人型昆虫を完全な制御下に置くためには、女王の卵を子宮内に持つ必要がある。
そして、内部の狭さ故に、この兵器を使用出来るのは小柄な若い女性に限定されている。

女王
人型昆虫の繁殖源となる個体。通常の人型昆虫より遙かに巨大で、そして強大である。

真の女王
女王を生み出す女王。東京タワー直下に存在しているらしいが、真偽の程は定かではない。

女王の卵
人型昆虫の女王が死ぬ前に人間の女性に植え付ける、次なる女王を生み出すための卵。
女王の卵管によって子宮内に挿入された卵は神経を伸ばし、苗床の女性から養分を吸う。
卵が孵化すると、苗床の女性の子宮を食い破って次なる女王となる人型昆虫が出現する。
苗床とされた女性は、孵化の瞬間まで外見に変化が起きないので見分ける手段は少ない。
卵を無理に摘出すると接続された神経を通じて激痛が走り、苗床の女性はショック死する。

国立生物研究所
数十年前に突如発生した人型昆虫を捕獲、研究し、対処手段を研究するための政府機関。
人型昆虫の出現回数が特に多い関東地方を中心にし、全国に十三カ所の研究所がある。
対人型昆虫用戦術外骨格の研究開発が日々進められており、既に実戦投入されている。

人型昆虫対策班
国立生物研究所とは役割が異なる政府機関であり、研究より諜報と戦闘に特化している。
人型昆虫の被害を食い止めるために尽力し、情報操作を行い、隠蔽することが主要任務。
なので、国民はおろか、国立生物研究所側にも存在を知られておらず、隠し通されている。









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