機動駐在コジロウ




箱入りマスター



 社会科見学の行き先はダム湖である。
 だが、つばめはその道中を全く楽しめなかった。箱の中から出られないせいで、一乗寺が運転している軽トラック の助手席にも座ることが出来ずに荷台に転がされていたからだ。きついカーブが多い山道を登っていくので、荷台 から飛び出さないようにと固定ベルトで縛り付けられていたので尚更だった。緩衝材も入っていないので、カーブに 差し掛かるたびに体が遠心力に従って左右に動き、勢い余って頭をぶつけたのも一回や二回ではなかった。
 暗い、狭い、痛い、の三重苦の中、つばめは無心になろうと頑張っていた。結局、自宅を出発するまでの間に箱の 外に出る方法は見つけ出せず、内側から強引に押し上げて隙間を空け、美野里に着替えやヘアゴムなどの私物を ねじ込んでもらったものの、十数センチほどを開けるのが限界だった。それ以上の幅で押し開こうとすると、箱の蓋 が力強く下がってきてしまうからだ。狭い中で苦労して寝間着から私服に着替えたつばめは、これもやはり隙間から ねじ込んでもらった水筒に口を付け、冷たい麦茶を少しずつ飲んでいた。以前、美野里が通勤用に使っていた平型の 水筒に昨夜煮出しておいた麦茶を入れてもらったのだ。

「トイレ行きたい」

 体が外に捻り出せるほどの隙間が空けば、出掛ける前に用を足しに行けたのに。この中で漏らすのだけは絶対に 嫌だ。脱いだ服に染みこませるなんて論外だし、生理的に耐えられないし、何より十四歳の女子中学生としてどうか と思う。これは最早拷問だ、いや、それ以外の何物でもない。

「あんたも遺産だって言うけど、コジロウとは違うんでしょ?」

 つばめは箱の蓋を手で撫でながら、少しでも下半身から気を紛らわすために箱に話し掛けた。 

「あんたは何のために作られたの? そもそも誰が作ったの?」

 沈黙。手のひらには、冷たく硬い感触しか返ってこない。

「コジロウなら、もうちょっと融通利かせてくれるのになぁ」

 沈黙。頭の位置が車輪に近いからか、サスペンションの軋みが直に聞こえてくる。

「コジロウはね、あんたとは違うんだから」

 少なくとも、つばめの発した言葉を沈黙で流したりはしない。他の誰よりもきちんと受け止め、真面目に受け答え、 機械的すぎてはいるが理路整然とした言葉を返してくれる。最近では、つばめの心の動きも少しずつだが捉えて くれるようになり、手も繋いでくれるようになった。切なさに駆られたつばめはコジロウと繋いでいた右手を広げ、箱に 押し付けるが、箱はつばめの手を掴んでくれなかった。それもそのはず、箱には手がないからだ。
 一層寂しくなったつばめは、ちょっと洟を啜った。たかが板一枚、されど板一枚だ。外界から隔てられているという だけで、こんなにも人恋しくなるとは思ってもみなかった。美野里も一乗寺も声はすれども姿は見えずで、そこにいる のは解っているのに触れられないし、顔も見られないし、近付けもしない。確かに箱の守りは完璧で堅牢ではあるが、 ただそれだけだ。外の世界が恋しくなる一方だ。もっとも、特に恋しいのはトイレだが。
 それから、どれほどの時間が過ぎただろうか。つばめはせめてもの気休めにと、寝間着を丸めて枕代わりにして 横たわっていた。車の揺れと圧迫感から来る息苦しさと下半身の重苦しさから逃れるために目を閉じていると、その まま寝入ってしまった。何度か目が覚めた気もするが、箱の中が暗いので寝ても起きても変わらなかった。
 ふと気付くと、軽トラックが停まっていた。周囲で物音がするので、きっと一乗寺が固定ベルトを外してくれている のだろう。荷台に人が上がったことで後輪が沈み、足音の後に箱の蓋が叩かれた。

「やっほう、つばめちゃん、生きてるー? 漏らしてないー? ゲロってないー?」

「嫌な質問をしてきますねぇ。そんなこと、するわけないじゃないですか」

 つばめは一乗寺らしい質問にげんなりしつつも、他人の声に安堵した。

「ほらほら着いたよ、ダム! 奥只見! でかいよ!」

 一乗寺が箱の上に足を載せ、はしゃいだ。その足音がしたのが顔の真上なので、つばめは頭を少し下げた。

「あーそうですかー」

「なんだよう、そのやる気のない返事ぃー。遊覧船だってあるんだぞ、電力会社の資料館だってあるんだぞ、ちょっと 離れた場所に行けば登山道もあればキャンプ場だってあるんだからなー!」

「行けるのは前者だけですよね、社会科見学だし」

「とにかく行こ行こっ! うっひょー超楽しい!」

「ダム湖ってそこまでテンション上がる場所ですか? どこもそんなに変わるもんじゃないでしょうに。お姉ちゃんの進学 祝いの家族旅行で箱根の芦ノ湖に連れて行ってもらったことはあるけど、それほどじゃなかったような」

「え、何それ、ズルいんだけど。つばめちゃんの分際で家族旅行だなんて。俺、行ったこともないんだけど」

 途端に一乗寺が不機嫌になったので、つばめはあしらった。

「はいはい。んじゃ、そのうち一緒に行きましょうね、修学旅行かなんかで」

「わーいわーい! じゃ約束な、絶対な、つばめちゃんの奢りってことで決定な!」

「勢いに任せてろくでもない約束をしないで下さい!」

 つばめは内側から箱の蓋を叩いたが、一乗寺は意に介さずに喜んでいた。これでは、どちらが教師で生徒なのか 解ったものではない。一乗寺は軽トラックの荷台に搭載してきたリヤカーを地上に下ろし、その荷台に箱を移動して いるのか、箱が不自然に揺れて次第に斜めになってきた。だが、一乗寺は箱の前後を間違えたらしく、つばめの足の 方が上がっていった。これでは、頭に血が上ってしまう。

「先生、逆、逆、逆ぅー!」

 リアルに死活問題なので、つばめは懸命に箱の蓋を叩いて叫ぶと、一乗寺は手を止めた。

「あ、そうだっけ? でも、こっち側に家紋が入ってんだよなー。あー面倒臭い、でも、やらなきゃもっと面倒臭い」

 ぐちぐちと零しながら、一乗寺は箱を一旦荷台に下ろして前後を逆にした。そして再度下ろし直し、箱をリヤカーの 荷台に載せて紐で縛り付けた。傾斜角がきつくなったので、つばめは久々に直立に近い姿勢になることが出来た。 急に頭の位置が変わったので軽く貧血を起こしそうになったが、しばらくすると落ち着いた。リヤカーを引っ張る足音 に車輪が地面の砂利を踏む音が重なり、その度に箱が軽くシェイクされた。軽トラックの荷台に比べればまだマシな 振動ではあったが、緩い振動が絶え間なく続くのは耐え難かった。
 今更ながら吐き気が込み上がってきたつばめは、歯を食い縛って口元を押さえて必死に堪えるが、喉の奥に嫌な 味が広がってきた。朝から何も食べていないので出てくるものがあるとすれば麦茶ぐらいなものだが、それでも嫌な ものは嫌だ。尿意も逼迫していて、さすがに限界だ。これでは、上から下からの大惨事になりかねない。そんな目に 遭うぐらいなら死んでしまいたい、だけど箱の外に出られないまま死ぬのは勘弁だ、と、つばめは涙目になりながら 必死に考えた。箱の蓋に手を添え、つばめは絞り出すように言った。

「お願いだから言うことを聞いて、外に出してよ」

 沈黙。外からは、腹立たしいほど浮かれている一乗寺の鼻歌が聞こえてくる。

「私はあなたのマスターでしょ、なんで言うことを聞いてくれないの?」

 つばめは箱の蓋を殴り付けるが、やはり黙したままだった。

「コジロウが私を守れって言い付けたの? お爺ちゃんが言い付けたの? どっちにせよ、現マスターである私の 命令よりは優先順位は下のはずでしょ? それなのに、どうして私の命令だけは聞かないの?」

 無反応。焦りが苛立ちを生み、苛立ちが怒りになり、つばめは箱の蓋の下部を強かに蹴り付けた。

「いいから外に出せ! でないとバラバラにして粗大ゴミに出してやるんだから!」

 ごきり、と靴下を履いたつま先に手応えがあった。箱の蓋の固さに負けて突き指したのか、とも思ったが、痛みは 一切感じなかったので、つばめは不思議に思いながら再度蹴ってみた。再度手応え、いや、足応えがあり、つま先は 角張ったものを押し込んでいた。そういえば、箱の大きさを確かめるためにつま先で探ったのは底部だけだった。 だから、蓋の下部については文字通りノータッチだった。新たな発見で冷静さを取り戻したつばめは、箱の蓋に手を 付いたまま身を屈めると、つま先で押した部分を触った。
 隅立て四つ目結紋。佐々木家の家紋の裏側に当たるのだろう、その形に添った出っ張りが並んでいる。つばめが つま先で押したのは、そのうちの二つだけだったので残りの二つも押してみた。どちらもすんなりと蓋の中に収まり、 四方八方から歯車が噛み合う音が聞こえてきた。

「そっか、これ、手動だったんだ。で、これがスイッチだったんだ。道理で言うこと聞かないわけだ」

 これはもしや。期待を抱いたつばめが蓋を押してみると、実に呆気なく浮いていった。あれほど頑丈で重たかった のに、羽根のように軽く持ち上がっていく。四方から金色の日光が差し込み、淀んで湿った空気を清涼な山の大気が 掻き乱していった。水と緑の香りだ。嬉しすぎて感涙しそうになりながら、つばめは蓋を突き飛ばした。

「外だぁああああああああ!」

 両手を挙げて駆け出したつばめは、嬉しさのあまりに奇声を発した。が、リヤカーを引いていた一乗寺は背後から 吹っ飛んできた蓋を避けられず、まともに背中に喰らって俯せに倒れ込んだ。しかし、外の世界の清々しさの虜に なったつばめの視界には、蓋の下で潰れている一乗寺のことなど一切目に入らなかった。

「トイレ行ってこよう!」

 天使のような極上の笑顔を浮かべたつばめは、服と一緒にねじ込んでもらったスニーカーを突っ掛け、駐車場の 奥にある売店に駆け込んでいった。そこの女子トイレに入ったつばめが至福の瞬間を味わっている最中、箱の蓋の 下敷きになっていた一乗寺は、力任せに蓋を剥がして起き上がった。つばめの体重を思い切り掛けられたせいで、 首の動きが少しおかしくなってしまったが、大したことではない。服と顔に付いた砂利を払って起き上がり、蓋の裏側 と箱の内部を見回した。これといって妙な部分は見当たらない、ただの金属板だ。隅立て四つ目結紋の家紋が箱の 蓋を開くスイッチになっていることぐらいで、それ以外の仕掛けは見つからない。

「箱、ねぇ」

 今後の役に立つかもしれない、と一乗寺は携帯電話を取り出し、箱の内側と蓋の裏側の写真を数枚撮影した。

「せんせー、ハンカチ貸してー! 忘れちゃったぁー!」

 輝くような笑顔を保ったまま、つばめが駆け戻ってきた。一乗寺はポケットを探り、ハンカチを差し出す。

「はいよ。その代わり、後でジュースでも奢ってよ。箱をここまで引っ張ってくるの、疲れちゃったんだよねぇ」

「はいはい、解ってますって。でも、爆発し放題の髪をまとめてこなきゃならないし、顔も綺麗に洗っておきたいから、 移動するのはもうちょっとだけ待ってくれませんか。女子として死活問題です」

「んで、ゲロってきたの?」

「だから、なんでそういうことを聞くんですか。外に出たらスッキリしちゃって、上からは何も出ませんでしたよ」

 次第にテンションが落ち着いてきたつばめは、箱の中に散らばっている私物の中から薄型コームとヘアゴム二本 とハンドタオルを取り出し、また売店へと駆けていった。寝癖と生まれつきの癖毛のせいで、肩よりも少し長い髪の 毛先が四方八方に飛び跳ねていた。その毛先が歩調に合わせて揺れる様は、産毛が抜けきっていない雛鳥のよう だった。一乗寺は箱を載せたリヤカーに寄り掛かり、タバコを出して一服した。
 広大な駐車場は閑散としていて、昭和後期から時間が止まっているであろうレストハウスと食堂が鎮座していた。 客の数もまばらで、従業員の方が多いような気がする。売店の店頭に陳列されている土産物は心なしか日焼けして いるので、いつからそこにあるのか定かではなく、手に取るのを躊躇してしまう。紅葉の季節には観光バスがずらりと 並ぶであろう大型車両の駐車スペースは空っぽで、来客を待ち侘びている。ダム湖を囲む山林と湖水が、周囲の音 のみならず時間の流れも吸収しているかのような錯覚を覚えるほど、静まり返っていた。
 退屈だから誰か撃とうかな、政府の権限で揉み消せるし、と一乗寺は売店にいる人間に目星を付けてから拳銃を 引き抜こうとすると、つばめが売店から駆け戻ってきた。癖毛によって若干広がり気味なツインテールを誇らしげ に揺らしながら、一乗寺に大きく手を振っていた。つばめの気の抜けた笑顔を見た途端、一乗寺は風船が萎むように 殺意が萎え、拳銃のグリップを離して手を振り返した。今日のところは、誰も殺さないでおこうと思った。
 誰かと一緒に観光するなんて、生まれて初めてだからだ。




 りんねのもう一つのいい考えは、合理的だった。
 奥只見シルバーラインの中程にあるトンネルの前にジープを止めて、武蔵野は吉岡グループ系列の建設会社に よる作業を見物していた。岩龍は人型重機に相応しく、彼らの作業を手伝っていた。強固な岩盤を生かした形状の トンネルの内壁に掘削ドリルで穴を空け、その中に岩盤発破用の爆薬を仕込んでいく。下り側の作業が終われば、 今度は登り側の内壁にも爆薬を仕込む手筈になっている。一乗寺の車がこのトンネルに入った頃合いを見計らい、 人工的に落盤事故を発生させて閉じ込めてしまうつもりなのだ。そうなれば、いかに一乗寺と言えどもトンネルの外 へ脱出するのは難しいだろう。そして、交通事故の直後に落盤事故が発生したとなれば、岩龍のような人型重機が 動き回っていてもなんら不思議はなくなり、物事の辻褄も合う。そういう仕組みだ。
 トンネルの前後には、交通事故発生、一時通行止め、との立て札が立てられていた。建設会社の車両が出入り口 に横付けされており、物理的にも道を塞いでいる。奥只見シルバーラインは新潟側に出られる唯一の道だ。福島側 の道を経由すれば新潟県内に出られないこともないが、それではかなり遠回りになる。万が一、一乗寺の軽トラック が福島側に出るようであれば、その時はまた別の手を打つとりんねは言っていた。吉岡グループの系列会社など、 日本中のどこにでもあるからだ。

「小父貴ぃ、これで終いじゃけぇのう!」

 キャタピラを鳴らしながらトンネルの外に出てきた岩龍は、土埃を払うように両手を叩き合わせた。

「爆破のスイッチはこれですので、後はよろしくお願いします」

 建設会社の社員は何度となく頭を下げながら武蔵野に近付き、小型の無線機を渡してきた。我々は次の仕事が ありますので、と言うや否や、建設会社の社員達は即座に撤収して下山していった。武蔵野は無線機をポケットに 突っ込んでから、肩を竦めた。仕事ぶりこそ鮮やかではあったが、彼らは終始怯えていた。武蔵野と目を合わせる ことすらなく、ロボットである岩龍にさえも気を遣っていたほどだった。

「引き際が早すぎる気がしないでもないが、所詮は素人だからか」

 武蔵野はオレンジ色の光がぼんやりと広がるトンネルに足を踏み入れると、爆薬を仕込んだ穴を見上げた。突貫 工事だったので、穴もいびつで埋めた場所も一目瞭然だ。一乗寺はプロだ、自分に向けられる殺意を何よりも鋭敏 に感じ取る。爆薬がすぐ見つからなくとも、武蔵野のジープのタイヤ痕や岩龍のキャタピラ痕で見当を付けるだろう。 だが、下手に動き回れば、事を起こす前に手の内を感付かれてしまう。ならば、待つしかない。

「岩龍、脇道に入って身を隠しておけ。一乗寺の車が来るまでは待機だ」

 武蔵野が命じると、岩龍は角張った太い指を組んだ。少女漫画のヒロインのような仕草だった。

「そんなら、ワシャあ、ニンジャファイターを見ててもええかのう!?」

「は?」

「なんじゃい、小父貴は知らんのけぇ。ニンジャファイターっちゅうんはのう、超未来からやってきた四人のスーパー サイボーグが、暗黒惑星からやってきた宇宙山賊ビーハントと切った張ったの大立ち回りをするんじゃい! そんで のう、そのニンジャファイターのリーダーが雨のムラクモっちゅうんじゃが、それがまた凄えんじゃ!」

「ああ、そうかい。お前は見張っていろ、俺は周囲の偵察に出てくる。無線は繋げておく、何かあったら連絡しろ」

 武蔵野が素っ気なく返事をすると、岩龍はいきり立った。

「ニンジャファイターの凄さを知らんのけぇ!? あぁ!?」

「知りたくもないよ、そんなもの」

「ええから、ワシの腹ん中のモニターで見てみい! 一度でええから!」

 岩龍に食い下がられたが、武蔵野は頑なに無視して愛車に戻った。ジープもトンネル脇の砂利道に入れて草むらに バックして突っ込み、車体を隠してから、あんまり騒ぐとりんねに叱ってもらうぞ、と言って岩龍を黙らせた。岩龍は 吉岡一味のヒラエルキーを理解しているので、渋々黙った。しかし、ニンジャファイター・ムラクモの話を余程誰かに 語りたかったらしく、発声用スピーカーからぶちぶちと細切れのノイズを漏らしていた。
 道なき道を分け入っていった武蔵野は、胸中に燻っている疼きを堪え、顔を強張らせて足を進めていった。これで もう二十年若かったら、岩龍の話に乗っかっていたのだろうが、四十を過ぎた身の上ではそうもいかない。大人の 体面というものもあるし、岩龍には節度を覚えさせなければならないのだから、これが正しいのだと判断した。
 しかし、物足りない。長い間日本を離れて暮らしていた反動か、コテコテなジャポニズムが詰め込まれている特撮 番組であるニンジャファイターシリーズが好きで好きでどうしようもないのだ。特に今期シリーズのムラクモは、日本 にありがちな土着の神話と妖怪譚をごっちゃにしていて、設定はデタラメなのだが、それがまた面白い。正義も悪も 異様にキャラ立ちしていることも相まって、一話たりとも見逃せない展開が続いている。明日、日曜日の朝八時から の放送も楽しみで仕方ないし、出来ることなら関連商品も買いたい。だが、武蔵野は大人であり、兵士であり、今は 吉岡りんねの銃なのだ。個人的な楽しみに浸れるのは、全てが片付いた後だ。
 だから、武蔵野は獣道を歩き回ることで気を紛らわした。





 


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