手の中の戦争




第七話 ビター・チョコレート



私は、戦闘能力が皆無だ。


格闘なんて、体重が少ないから打撃にちっとも重みがない上に、手も足も長くないのでリーチが少ない。
自衛隊の格闘術は急所を攻撃するためのものばかりなのだが、確実に当てるためには、どちらも必要だ。
射撃も、格闘と同じぐらいに不得手だ。離れた場所から撃って、狙った位置に当たることなんて少ない。
そもそも、私はあまり目が良くない。長年の活字中毒の末に近視になってしまい、メガネも持っている。
普段は掛けることはないのだが、遠くのものをちゃんと見るためには必要なので、常に持ち歩いている。
だから、実戦では役に立てないと言っていい。この状態のままで役に立てることがあったなら、奇跡だろう。
先日の件で、私は自分自身の弱さを嫌というほど知った。そして、心身共に強くなるべきだと痛感した。
だから、私は、中学生活最後の夏を捨てることにした。




一学期の終業式を終えた私は、三年A組の教室に戻ってきていた。
机に座って通知票を広げると、これがまた、ひどい。うちの学校は五段階評価なのだが、平均は三、或いは二だ。
特にひどいのが苦手な英語と数学で、英語はぎりぎり二だったが、数学に至っては紛れもなく、一、なのである。
私は通知票に顔を埋め、呻いた。考えてみれば、一学期中、まともに勉強出来たことなんて皆無に等しかった。
土日は訓練で潰れるし、特殊演習で二三日家に戻れないこともあった。そんな状態では、成績が良いわけがない。
これじゃ、先生が家庭訪問に来て当たり前だ。私は通知票から顔を外すと、評価の欄を見下ろし、棒読みした。

「三年生になってから休みがちで気掛かりです。授業中、集中力が欠けているように思えます。ご家庭での指導が必要だと感じます…」

私は通知票を投げ、項垂れた。言いたい。物凄く言いたい。本当のことを先生に言って書き換えてもらいたい。
自衛隊の訓練に忙しくて、勉強する暇も体力もなくなっちゃって、だからこんな惨状になってしまったんだ。
でも、言えない。言ってしまったら、問い詰められる。小一時間どころか、二三日は問い詰められるだろう。
私はかなりへこんでいたらしく、後ろから奈々がおずおずと近付いてきた。私の肩に手を乗せ、不安げに呟く。

「礼ちゃん、大丈夫?」

「うん、なんとか」

私は通知票を閉じると、通学カバンに押し込めた。これ以上見ていたら、燃やしたくなってしまう。

「ここまでひどいなんて思ってなかったよ…」

私達の周囲では、帰り支度をするクラスメイト達が騒いでいる。夏休みの予定を、はしゃぎながら話している。
中には塾の夏期講習の合宿に行かなければならない者もいて、勉強漬けになることを、友達にぼやいている。
夏期講習なんて、まだいい方じゃないか。私は、それよりも色気のない夏休みを過ごすことになるのだから。
普通の生活を捨てて、戦い続ける日々を選んだのも私自身だし、その色気のない夏休みを進言したのも私だ。
だから、今更迷ってはいけない。一ヶ月間みっちり訓練して、鍛えてもらえば、少しは強くなれるだろうから。
そう。今年の夏休みは、全て、訓練に消えるのだ。




家に戻った私は、クーラーを効かせたリビングでぼんやりしていた。
テレビの上に置いてあるブロックを回転させるタイプの卓上カレンダーの日付は、七月二十日、となっている。
つまり、明日から夏休みだ。リビングのテーブルには、弟の健吾のものである通知票が放り投げてあった。
私は自分の通知票をその隣に置いてから、弟の通知票を開いた。可もなく不可もない、至って普通の成績だ。
教師からの評価の欄も無難で、騒ぎすぎますが元気で良いです、ということが丁寧な字で書き記してあった。
テレビの前では、その弟がゲームに興じている。私は、弟の丸まった背中を見ていたが、ため息を零した。

「いいねぇ民間人は」

「なんだよそれ。姉ちゃん、好きでジエータイの仕事やってんだろ? 今更何言ってんだか」

健吾は振り返ることもせず、私に言い返してきた。以前から生意気だったが、最近は特にそれが顕著だ。
ああもう、可愛くない。私は弟の立場がちょっとだけ羨ましいのと、その言い草に、少し苛立ってしまった。
だけど、言い返すのも大人気ないと思い、私は弟の通知票を閉じてテーブルに戻すと、ソファーに身を沈めた。

「ああ、そういえば」

私はふと思い出して、手を打った。夏期集中戦闘訓練の後に、また特殊演習の日程が組まれていたのだ。

「九月にチーム・グラントと再戦するんだっけ」

「え、またやんの? ボロ負けしたくせに?」

健吾は、モンスターとの戦闘が始まったテレビ画面から目を外し、私に振り向いた。私は頷く。

「やるの。六月末にやった時は、上のお偉いさんが判断ミスしちゃったから負けたようなものなんだよね」

「うっそだぁー。姉ちゃんが北斗と南斗の足手纏いだっただけだろ」

すかさず嫌みったらしく言った健吾に、私はむっとした。

「それは否定しないけど、戦力差ってものがありすぎたんだよ。大体、重機関銃と無反動砲を担いだ下半身戦車の強化装甲ロボットに、格闘重視型の近接戦闘ロボットが勝てるわけないでしょうが」

「スピードがあれば勝てそうなもんだけどなぁ」

訝しげな健吾に、私は首を横に振る。

「ゲームとは違うんだよ、根本的に。兵器ってのは、用途にあった使い方をしないとまるで役に立たないんだから」

「じゃ、姉ちゃん達も戦車でもなんでも使えばいいじゃん。そうしたら勝てるじゃん」

「馬鹿じゃないの? 私達の部隊の目的は殲滅じゃなくて、対テロリスト戦を行うための部隊なの。私達は普通科で、戦車は機甲科だってことぐらい、あんたも知っているでしょうが。そもそもの方向性が違うんだから」

「じゃあ空爆」

「日本、滅ぼす気なの?」

私は、健吾のとんでもない言葉を受け流した。全く、危機感というものがまるでない。ありすぎても困るけど。
健吾は、またゲームに戻っていた。ゲームをしていない時はパソコンか漫画なので、いつか目が悪くなると思う。
少しは勉強したらどうなんだ、とは思うけど、小学生男子なんて勉強に対する意欲がある方が少ないのだ。
だから、これが自然だ。それに、うちの両親はそれほど強要するタイプではないので、なるようになるだけだ。
夏休みの最後に宿題に追われても知らないぞ、と思いながら、私は半分読んだ文庫本を持って立ち上がった。

「姉ちゃん」

「ん?」

リビングから廊下に繋がる扉に手を掛けた私は、足を止めた。健吾はこちらに背中を向けたまま、呟いた。

「死んだり、しねぇよな?」

「死なないために訓練するんだよ。この前みたいなことは、ごめんだからね」

私がリビングから出ようとすると、健吾は振り向き、少し不安げに眉を下げた。

「ちゃんと帰ってねぇと、承知しねぇからな」

「何を偉そうに。心配してくれてんの?」

私はちょっと笑って、言い返してやった。健吾は今度は照れくさくなったらしく、テレビに向き直った。

「違ぇよ、言ってみただけだよ!」

「あーそう。そうなんだぁ」

私はにやけながら、リビングを出て階段を昇り、自分の部屋に向かった。なんだかんだで、弟は可愛い奴だ。
ただ、その可愛気が表に出ることがほとんどないので、やっぱり普段はあんまり可愛くない生意気なガキだ。
それでも、大事な弟だ。少しでも気に掛けてもらえたのかと思うと、私は妙に嬉しくなって顔が緩んでいた。
階段を昇ってすぐ右手にある自分の部屋に入り、読みかけの文庫本を机の上に置いてから、ベッドに腰掛けた。
ベッドの手前にあるテーブルには、数日前に朱鷺田隊長から渡された訓練の日程を書いた紙が放り投げてある。
私はそれを手に取ったが、途端にげんなりした。日程だけ見ても、かなりハードなものばかりが並んでいる。
走り込みの距離にしても、今までやっていたものよりも増えているし、戦闘に必要な筋力増強が多かった。
夏休みが終わった頃に、私は一体どうなることやら。激変はしないだろうけど、体格は良くなることだろう。
想像してますますげんなりしたが、考えないことにした。今から気が滅入っていては、士気に影響してしまう。
二枚目の日程表には、私の基礎体力が程々に付いた頃から始める、専門訓練の日程と内容が書かれていた。
射撃もそうだが、近接戦闘も出来るようにならなくてはいけない。そのために、ナイフ術も教えられるらしい。
私が戦う相手は教官であったり、北斗であったり南斗であったり、そして、たまに神田隊員であるようだった。
訓練とはいえ、皆に斬り付けるのは少々心苦しいが、最初は斬り付けることなんて絶対に出来ないだろう。
三人とも、私とは違って最初からきっちり訓練を受けているのだから、私みたいな初心者が勝てる相手ではない。
だけど、やらなくてはならない。強くなる、と決めたのは私なのだから、最初から気弱になっては意味がない。
私は日程表をテーブルに投げ、充電器に差し込んである携帯電話を取った。今度は、奈々に説明しなくては。
フリップを開いてアドレス帳を出し、奈々の名前を選択して通話ボタンを押す。コール音が続いた後、繋がった。

『どしたの、礼ちゃん?』

「うん。ちょっとね。なっちん、明日って暇?」

私が尋ねると、奈々は即答した。

『暇も暇ー! 塾の夏期講習は来週からだし、お祭りも八月に入らないとないし、張り合いがないよぉ』

あからさまにつまらなさそうな奈々に、私は返した。

「なら良かった。明日さ、ちょっと付き合ってくれる?」

『珍しいね、礼ちゃんから誘ってくれるなんて。それで、どこに行くつもり?』

「そうだなぁ…」

私は、奈々とどこに行くか少し考えた。近場で買い物でもいいのだが、それでは私が奈々に振り回されてしまう。
三十秒ぐらい唸っていたが、勉強机の隅に置いてある、クリアブルーのイルカのフォトフレームに目が止まった。
アクリル製で、しなやかに身を伸ばすイルカが左右に配置され、その中には神田隊員と撮った写真が入っている。
あの水族館デートに任務の際に、せっかくだから、ということで、到着してすぐに建物の前で撮った写真だった。
そして、イルカのフォトフレームも水族館で買ったものだ。ちゃんと私のお金で買った、私のおみやげである。

「水族館」

『水族館? あー、いいかもねー、涼しくて! あそこなら学割きくしね!』

私の呟きに、奈々がはしゃいだ。私はイルカのフォトフレームを見つめながら、頷いた。

「うん、そうだね。じゃ、これで決定ね」

『何時に待ち合わせる?』

「水族館が開くのは十時だから、九時前に駅前に集合ってことで」

『おっけー、九時ね』

「遅れたら置いていくから」

『えーなにそれー、礼ちゃんひどぉい』

私の軽口に、奈々はむくれたような口調になったが声は笑っていた。私も、電話だけでも楽しくなってきた。

「じゃ、明日ね。ちゃんと九時に来るんだよ?」

『解ってるってぇ。じゃねー』

明るい奈々の声が遠ざかり、電話が切られた。私は携帯電話を閉じると、枕元に放り投げてから寝転んだ。
今、遊んでおかなければしばらく遊べなくなってしまう。それに、前のように奈々を不安がらせてはいけない。
例によって自衛隊の作った嘘だけど、夏休みの間いなくなってしまう理由を、ちゃんと説明しておこう。
ふと、私は、今まで自分が吐いてきた嘘の数を数えた。気付いたら、結構な数の嘘を吐いてしまっている。
それも、そのほとんどが奈々やクラスメイトを欺く嘘だ。こういうことを、裏切り、と言うのかもしれない。
いや、違う。私は皆のために、危険が及ばないように嘘を吐いているんだ。これは、仕方ないことなんだ。
すぐにそう思い直して起き上がった私は、読みかけの文庫本を手に取ると、活字の世界に意識を集中させた。
そうやって、考えを逸らさせていた。




翌日。私と奈々は、以前に神田隊員と任務で行った水族館にやってきた。
夏休みに入ったばかりなので人出が多く、なかなか前には進めなかったが、それでもとりあえず楽しめた。
奈々も、久々の水族館が新鮮なのか、しきりに歓声を上げていた。今度はちゃんと、イルカのショーも見られた。
高くジャンプして吊されたボールに鼻先を付けたり、調教師の持った輪をくぐったり、様々な芸をしていた。
抜けるような快晴の空を背負って飛び跳ねる、イルカ達の姿は、美しくもあり、それでいて力強くも思えた。
イルカのショーが終わると、私は少しばかり呆けていた。念願だったイルカのショーを見られて、満足していた。
手にしていた缶ジュースがすっかり生温くなっていたが、それすらも気にならないほど、余韻に浸っていた。
私の隣に座っている奈々は、目深にスポーツキャップを被っていた。それに合わせて、服装もボーイッシュだ。
派手めな色とデザインのキャミソールを重ね着し、デニムのショートパンツにスニーカーを合わせている。

「礼ちゃん、そんなにイルカ好きなの?」

「好きっていうか、この前来た時は見られなかったから」

私は余韻から現実に引き戻されたので、奈々に目を向けた。ふぅん、と奈々は意外そうにした。

「神田さん、案外気ぃ回さない人なんだねぇ。普通、水族館デートって言ったらイルカのショーは定番でしょ」

「まぁ、色々とあってさ」

私は炭酸の抜けたコーラを飲み、その甘ったるさに辟易したが飲み下した。奈々は、私を横目に見た。

「だけど、礼ちゃんも大変だねー。事故ったり、一人だけ田舎に行かされたり」

「あ、うん。まぁ、でも、大したことじゃないし」

私は、先程奈々に説明した、夏休みにいなくなる理由を思い出した。私は、親戚の家に行くことになったのだ。
その親戚の家の設定というのが、都心から遠い地方の県で、何時間も掛けなければ行けないような場所である。
私がそこに行かなければならない理由は、生活の場所を変えて交通事故で受けたショックを癒すため、らしい。
ここでまた交通事故の設定が出てくるのか、とも思ったのだが、話の流れとしてはあまり不自然ではない。

「ねぇ、礼ちゃん」

私が返事をするより先に、奈々は言った。

「この前、沢口君から聞いたんだけど、礼ちゃんって好きな人でも出来たの?」

「え?」

私が口を半開きにすると、奈々はずいっと身を乗り出してきた。

「沢口君、心配してたんだよ! 礼ちゃんが、会いたいのに会えない人がいる、みたいなことを言ったかと思ったらぼろぼろ泣き出しちゃったから気掛かりだ、もしかしたら傷付けるようなことを言っちゃったのかもしれない、って! ねぇねぇ、その相手ってまさか神田さんとか!?」

好奇心で目を輝かせている奈々から、私は顔を逸らした。沢口君、あの時のことを奈々に話してしまったのか。
沢口君に悪気はない、と思う。心配してくれたのだろうし、その相手が私と仲が良い奈々であるのは当然だ。
奈々は更ににじりよってきて、私の目の前に顔を出した。あんまり近付かれると、席から落ちてしまいそうだ。

「で、どうなの、そこんとこ!」

「どうって…。別に、神田さんとはそういう関係じゃないし。ただの友達だし」

私が素っ気なく答えると、奈々はにんまりする。

「じゃ、他の人とか?」

「他、ねぇ」

私は奈々に寄られているために半身を下げつつ、思い出してみた。他の男共というと、北斗と南斗ぐらいだろう。
朱鷺田隊長は元よりそういう目で見られる相手ではないし、それ以前に、私にとっては父親も同然の年齢だ。
だから、守備範囲に入るのは三人ぐらいなものだ。だが、その中で恋愛対象になりうる相手は神田隊員だけだ。
間違っても、北斗と南斗は違う。あの二人に恋をしろと命令されたら、懲罰を承知で敵前逃亡するつもりだ。
第一、無理なのだ。ロボットを色恋の相手として見るなんて。そもそも、恋愛感情は、種の保存の本能だ。
だから絶対に、繁殖出来ないロボットと恋に落ちることなんてない。そんなことが、あるわけがないのだ。

「まだ好きじゃなくても、気になる人ぐらいいるんじゃないのー? 礼ちゃんも女の子なわけだしぃ」

奈々の浮かれた声が耳元に聞こえ、私は意識を戻した。気になる、と言われれば、まだ範囲は広くなる。
確かに、北斗と南斗、特に北斗は気になる。というか、あいつが気に掛けてくるので気にならざるを得ない。
何はなくとも、礼子君、と近くに来てはどうでもいいことをしたり言ったり、あからさまに嫉妬してみたり。
視界に入らなくても充分やかましくて、鬱陶しくて、出来れば近くにいたくないけど、大事な友達なのだ。
そして、仲間だ。考えてみれば、北斗もあれはあれでいいところはあるし、決して悪い奴ではないのだ。
むしろ、子供っぽい部分さえなければいい奴だ。激しく好きというわけではないけど、別に嫌いではない。

「それでどうなんだね」

奈々は不気味なぐらいににやけながら、私に詰め寄った。

「礼子君?」

「え、あ、え?」

その呼び方に、私は戸惑ってしまった。奈々がふざけて言ったのだと解っているが、一瞬、混乱した。
北斗のことを、思い出していたからだろうか。目の前の奈々は、私の妙な反応にきょとんとしている。
一体、私はなぜ戸惑ってしまったんだ。北斗の呼び方と同じだからといって、意識してしまう必要はない。
私は戸惑いを誤魔化すために、温いコーラを煽った。弱い炭酸にむせそうになったけど、強引に飲み下した。

「どしたの礼ちゃん?」

「なんでもない。ちょっと、缶捨ててくるね」

私は空になったコーラの缶を奈々に見せてから、観覧席の階段を急いで駆け上って、自販機コーナーに向かった。
ずらりと並んだ自動販売機の傍にあるゴミ箱に空き缶を突っ込んでから、自動販売機の側から離れ、項垂れた。
一体、何をやっているんだ。礼子君、と呼ばれたぐらいで、何をそこまで戸惑う。なぜ、こうなってしまうのだ。
一度思い出すと、北斗の姿が次々に蘇ってくる。その大半が恰好悪いけど、格好良いものもあったりする。
訓練に向かう際の後ろ姿の大きさや、射撃をする横顔や、守ってくれる腕の太さや、合わせた背中の温かさ。
なんで、思い出すんだろう。遊びに来たはずなのに、あんな馬鹿のことを思い出さなくてもいいじゃないか。
私は深くため息を吐いてから、気を取り直した。肩から提げているポシェットを直すと、中から金属音がした。
それは、北斗と南斗のドッグタッグが揺れた音だった。私はそれにもぎくりとしてしまい、息まで詰まった。
奈々が私を追いかけてきた頃、ようやく私の戸惑いは落ち着いたが、その残留物は心の中に残っていた。
しばらくの間、北斗の姿が頭を離れなかった。





 


06 7/12