豪烈甲者カンタロス




第一話 穢れた英雄



 これは夢なのだと願う余裕すらなかった。
 限界まで見開いた繭の目に、巨大なバッタが映った。その数は十や二十では足りず、羽音と共に増えていく。
音という音が、虫の羽音に塗り潰される。女王の体液に濡れそぼった全身を冷やす風もまた、虫の匂いがする。
湾曲した天井を蹴り、アスファルトを蹴り、機能を失ったライトを蹴り、焼け焦げた死体を蹴り、繭へと迫ってくる。
悲鳴を上げようとしても喉が詰まり、掠れた吐息しか出なかった。時間感覚が泥濘し、一瞬がやたらと長かった。
顔を背けようとしても、首が固定されたかのように動かず、唇が奇妙に引きつり、改めて迫る死に心臓が痛んだ。

「こぉのやぁろおおおおおおおっ!」

 憤怒の漲る罵声を上げた人型カブトムシは繭の前に滑り込むと、大量の人型バッタに頭部を突き出した。

「こいつはぁああああっ!」

 大きく、首を振る。

「俺のぉっ!」

 雄々しく屹立するツノが豪快に振り回され、人型バッタの第一陣を呆気なく薙ぎ払った。

「獲物だぁあああああっ!」

 繭の目の前に、千切れた人型バッタの首が転げ落ちてきた。次に、折れた足、両断された腹部、羽が散った。
内臓混じりの体液も、生温い雨として落ちてくる。それを避けられる余力もない繭は、呆然とその背を見上げた。
漆黒の半楕円状の外骨格を担いでいる、大きな背中だった。その背はすぐさま遠のき、力任せにツノを上げた。

「たかがバッタの分際でぇっ!」

 人型バッタの胴体を貫いたままツノを振り下ろした人型カブトムシは、串刺しの個体ごと別個体を叩き潰した。
上体を伏せた僅かな隙に人型バッタの一体が飛び越えようと足を曲げるが、人型カブトムシは見逃さなかった。
素早く顔を上げて踏み込み、三本の爪を大きく開く。足を曲げた人型バッタの頭部を掴んで握り、捻って外す。
人間のそれよりも一回りほど大きい頭部を握り潰しながら、人型カブトムシは背後に飛び掛かる個体を殴った。
生臭い風が吹き抜け、トンネルの壁に殴られた個体は激突し、その勢いだけで外骨格が破損して体液が散った。

「この俺に勝てると思うなぁああああっ!」

 ぐじゅり、と爪の中に残る体液まみれの複眼を握り潰し、人型カブトムシは死体の散るトンネルを睨め回した。
彼の周囲には、生臭い池が出来ていた。水よりも重たく、血よりも粘っこく、ばらばらに外れた足が落ちている。
次々に同胞が殺されてさすがに畏怖したのか、人型バッタは触角を動かし、人型カブトムシとの距離を取った。
だが、人型カブトムシの勢いは止まらなかった。人型バッタに負けぬ脚力で飛び出し、敵の群れに突っ込んだ。
体当たりで人型バッタの列を掻き乱すと、派手に暴れ始めた。最早、それは戦いと言うべきものではなかった。
手当たり次第に人型バッタを掴み、潰し、捻り、殺す。最大の武器のツノに触れれば最後、真っ二つに折られた。
 繭は目を閉じることも出来ず、見ているしかなかった。呼吸をすることも、瞬きをすることすらも忘れてしまった。
腹部には生理痛に似ているが不気味な存在感を持った痛みが広がり、陰部には裂傷と思しき熱い痛みがある。
口の中には、胃液の混じった体液が残っている。それでも、この光景が現実なのだと認識するのは無理だった。
 何もかもが、現実離れしすぎている。人間よりも大きな昆虫が存在していることも、それが言葉を操ることも。
躊躇いもなく人間を喰らうばかりか、昆虫と戦うことも、女王と呼ばれる巨大な昆虫が背後で死んでいることも。
そして、その女王の腹の中に捕らわれていたことも。その女王から自分が何をされたのか、考えたくもなかった。
 気付くと、戦いは終わっていた。人型カブトムシは、トンネルの出口と天井に広がる体液の海に直立していた。

「そうか、解った」

 微塵も疲弊していない、張りのある声がトンネルに響く。車を焦がす炎を帯びた複眼が、凶暴に輝いた。

「お前が、女王か」

「何、言ってるの?」

 精も根も尽き果てた繭が力なく呟くと、人型カブトムシは全身から体液の雫を落としながら歩み寄ってきた。

「感じるんだよ。女王の匂いを」

「違う、私は、ただの人間よ」

 繭はぎこちなく首を横に振るが、人型カブトムシの歩みは止まらなかった。

「人間じゃねぇ、女王だ」

「違う、私は、本当に人間で」

「女王は女王だ」

 人型カブトムシの足が、繭の前で止まった。

「や…」

 繭はずり下がろうとするが、足元にまで広がった人型バッタの体液が手足を滑らせ、仰向けに倒れてしまった。
人型カブトムシから逃れようと身を捩るも、緊張と恐怖で強張った腕には全く力が入らず、震えも止まらなかった。
三本の爪が生えた足が伸ばされ、繭は最後の抵抗で目を閉じた。だが、頭にも首にも掴まれた感覚はなかった。
数十秒後、意を決して瞼を上げたが、繭は固まった。人型カブトムシは繭の頭上に足を付いて、顔を寄せていた。
ツノの両脇にある触角が小刻みに動き、繭の顔や首筋を探っていた。触れることはなかったが、おぞましかった。

「俺は強い。だから、女王は俺のものだ」

 人型カブトムシの爪が繭の顎を押し上げ、複眼に青ざめた少女の顔が映り込んだ。

「違う…違う…」

 繭はがちがちと歯を鳴らし、恐怖のあまりに声を引きつらせながら否定を繰り返した。

「わたしは、じょおうなんか、じゃない」

「女王以外のなんだってんだ。俺が俺であるように、お前も女王だから女王なんだ」

「さっきも、言った。私は、ただの人間」

「甘ったるいメスの匂いを出しているくせに、何が人間だ」

 人型カブトムシは繭の濡れた制服に鋭い爪を食い込ませ、肌に貼り付いた紺色の布地を切り裂きに掛かった。
今度こそ食べられる。制服が引き裂かれていく音を聞きながら、繭は人型バッタの死体が貼り付く天井を仰いだ。
だが、人型カブトムシの爪は、皮膚にまでは及ばなかった。かすかだが、エンジン音が近付いてきたからだった。
人型カブトムシはがちがちと顎を噛み合わせ、苛立ちを示した。身を起こすと、人型カブトムシは繭を見下ろした。

「お前の巣はどこだ、女王」

「巣、って」

 家のことだろうか。胸元から腹部に掛けて切り裂かれた制服を掻き合わせた繭に、人型カブトムシは言った。

「俺の巣はない。だから、今はお前の巣に行くしかない。またあの連中とやり合うのは、面倒だからな」

 人型カブトムシは、トンネルの出口を塞いでいる焼け焦げた鉄屑の山と、その前に転がる死体を一瞥した。

「でも…」

 あんな家に帰るのは嫌だ。だが、このままここにいるのも耐えられない。繭は迷った末、頷いた。

「だけど、あなたは、ここがどこだか知っているの?」

「知らん。だから飛ぶ。だが、お前を抱えて飛べば、お前の匂いが外に漏れる。不本意だが、俺の中に入れ」

「え…」

 言葉の意味を聞き返す前に、繭は理解せざるを得なかった。人型カブトムシの胸部と腹部の外骨格が開いた。
大胸筋に酷似した胸部が持ち上がり、広がる。それに続いて腹筋に酷似した腹部も中心が割れ、体液が漏れた。
全ての外骨格が開いてしまうと、内臓が露出した。ぶよぶよとした半透明の袋や管が、体液に濡れて光っていた。
内臓を取り巻いていた黄色い管が独りでに伸び、繭へと向かってきた。繭が逃げるよりも早く、首と腰に絡んだ。
思い掛けない力で持ち上げられた繭は体を反転させられてから、人型カブトムシの体内に乱暴に取り込まれた。
ただでさえ濡れた全身に、少し温度の低い粘液がまとわりついた。そして、にゅるりと細い管が蠢いて巻き付いた。
脱力した繭の手足だけでなく、太めの管が鼻と口を強引に塞ぎ、痛みの続く下半身にまでも管が滑り込んできた。

「ぐぇあっ」

 喉に押し込まれた管の異物感に、繭は呻いた。すると、次第に視界が暗くなり、完全な暗闇に没してしまった。
恐らく、人型カブトムシが胸部を閉じたのだろう。後頭部の生え際付近に鋭い痛みが走り、何かが差し込まれた。
薄い皮膚を貫いて首に侵入してきた針のようなものは、ずるずると伸ばされ、首を支えている頸椎に触れてきた。
途端に、電流のような衝撃が脳と言わず全身を駆け抜け、繭はびくんと痙攣して狭い空間に手足を突っ張った。

「うぎゃあああっ!」

『だらしねぇな、それぐらいの痛みで』

 繭の頭上から、あの声が聞こえてきた。だが、今度は耳ではなく、直接脳へと流し込まれていた。

「そんなこと、言ったって…」

 繭は体中に残る痺れに苛まれながら言い返したが、その声は喉からではなく、やはり頭上から聞こえていた。
まるでスピーカーを通したような機械的な音声で、人間の肉声とは言い難く、繭の声とも少し抑揚が違っていた。
人型カブトムシが発していた声と、大差のないものだった。声の高低こそ違っているが、元の音源は同じなのだ。
その意味を考える間もなく、繭の暗闇しか見えなかった視界に光が入り、無数に分割された映像が見えてきた。

「え…」

 繭は唖然とし、無数の六角形に区切られた景色を何度も見回した。その中には、広範囲の景色が映っている。
炎上し続ける装甲車、ぐつぐつと煮え滾る脂肪に没した人間の死体、ぬらぬらと不気味に光る昆虫の体液の海。
思い出すのは、理科の教科書の一ページだった。昆虫の複眼から見える景色、というキャプションが付いていた。
その写真も、無数の六角形に区切られて湾曲していた。ということは、繭は昆虫の目で外を見ているのだろうか。

「嘘、そんな、有り得ない」

 繭は震える手で顔を覆おうとして、ぎょっとした。無数に区切られた視界に入ってきた手は、手ではなかった。
見慣れた五本指の手ではなく、三本しかなかった。それも、肌色の皮膚には包まれていない、黒い爪だった。
汚らしい体液にべっとりとまみれた、人型カブトムシの手だった。繭は恐る恐る顔に触れてみたが、硬かった。

「どうして…こんな…」

『さっさと動け。またあいつらが来る。今の俺は、お前の意志でしか動けないんだ』

 頭の中に、人型カブトムシの声が響いた。

「お願いだからここから出してよ! 私、虫になんかなりたくない!」

 繭はその場に座り込んで絶叫するが、人型カブトムシは喚き立てた。

『俺だって、お前みたいな生っちょろいのは守りたくもなんともねぇ! だが、俺が繁栄するためにはお前を生かしておく必要があるんだ! でもって、俺は虫だが虫じゃねぇ! 対人型昆虫用戦術外骨格なんだよ!』

「戦術、外骨格?」

 脳内にわんわんと響く彼の声に辟易しながら繭が呟くと、人型カブトムシはぞんざいに返した。

『そうだ。だから、俺はお前を中に入れたくなかったんだよ。腹の中に入れちまうと、俺は自動的にお前の制御下に入っちまうからな。強制的に排出することも出来るが、俺の体液程度じゃ女王の匂いは誤魔化しきれない。だから、さっさと巣に帰ってもらわないと俺が困るんだよ。せっかく手に入れた俺の女王を、他の連中に奪われるのはごめんだからな。俺の操縦は簡単だ、どうしたいか考えりゃいい。人間共がそういう仕掛けにしたからな』

「そのために、首の後ろに何か繋げたのね?」

『そうだ。だから、さっさと考えろ。そして動け。お前に生きてもらわなきゃ、俺も生きられないんだよ』

「私、生きても、いいの?」

『何を言ってやがる。女王は生きなきゃならないんだよ、俺が君臨するためにな』

「あなたは、私を必要としてくれるの?」

『いらなかったら、とっくに喰ってる』

「そう、なんだ…」

 繭は慎重な手付きで、人型カブトムシの胸部に触れた。奇妙な感覚だが、この下に自分の本体が入っている。
人型カブトムシの視点から見る世界は、百五十センチ程度の身長しかない繭にしてみれば恐ろしいほど高い。
軽く見積もっても、二メートル以上はあった。人型バッタを薙ぎ払ったツノの長さも含めれば、相当な高さになる。

「解った」

 繭は足元の体液の海に映る人型カブトムシを見下ろしていたが、顔を上げた。

「あなたの言う通りにするよ」

『だったら、さっさと巣まで飛べ。あの連中が来る前に』

「でも、私、飛んだことない」

『飛ぼうと思えば飛べるんだよ、俺はそういうふうになってんだ』

「あ、そうか」

 繭は首を曲げ、背中を見やった。だが、自分の体に備わっていないものを動かす感覚など、解るわけもない。
背中に力を入れるような気持ちで意識すると、みしり、と薄い羽を守っている分厚い羽が持ち上がっていった。
繭が羽を動かしたいと考えると、硬い外羽の下に折り畳まれて収納されていた琥珀色の羽が広がって震えた。

「わっ」

 急に背中から浮き上がり、つんのめった。びいいいいいいい、と絶え間ない震動音が背後から聞こえてくる。
バランスを取ろうとするが、なかなか上手く姿勢が取れない。飛び上がろうとしても、飛び上がり方が解らない。
思い切りジャンプすれば飛べるのでは、と気付いたのは、前のめりの状態でひとしきり右往左往した後だった。
繭の脳内には殺気立つほど苛立った人型カブトムシの意識が流れ込んできて、正直逃げ出してしまいたかった。
だが、彼の中にいるのだから逃げられるわけもない。繭は何度か足を滑らせたが、体液まみれの地面を蹴った。
なんとか浮上しても、姿勢を制御するのは難しかった。よろけながらトンネルの出口を目指し、やっと外へ出た。
装甲車とヘリコプターからの熱気の上昇気流を避け、山頂からの吹き下ろしに煽られながらも、夜空に没した。
 繭に夜景を見る余裕が生まれたのは、見知らぬ峠道から大分遠ざかり、見慣れた街並みを目にした頃だった。
いつのまにか、月も随分高く昇っていた。人型カブトムシと一体になった繭は、ツノと羽で夜風を切り裂いていた。
気分は最悪だったが、意識は鮮明だった。昆虫はかなり夜目が利くらしく、普段なら見えないものも良く見えた。
なので、見つけられないと思っていた自宅もすぐに発見することが出来たので、繭は慎重に住宅街に向かった。
他の家々には窓明かりが付いているが、繭の自宅はどの窓にも光は入っておらず、カーテンが引かれていた。
登校した時のまま、何一つ変わっていなかった。ガレージも空っぽで、物音も気配もない、冷え切った箱だった。
だが、帰らないわけにはいかない。繭は人型カブトムシの足で玄関前に着地すると、羽を収めて、門を開いた。
 自分以外の誰かと家に帰るのは、これが初めてかもしれない。




 二度目の無駄足だった。
 セールヴォランと化した桐子は現場に到着し、出口が封鎖されたトンネルに残る凄絶な戦闘の痕跡を眺めた。
背後では炎上する装甲車両が迅速に消化され、真っ白な消化剤が焼け焦げた車体を柔らかく包み込んでいた。
移動車両から降りた兵士達は、先に現場に派遣されたが殺された同僚と大量の虫の死体の検分を行っていた。
この分だと、仕事はなさそうだ。セールヴォランは顔を上げ、トンネルの天井から滴り落ちる雫の根源を見上げた。
 天井は、人型バッタの死体で埋め尽くされていた。人型バッタの数だけ亀裂が走り、内壁が割れて落ちている。
人型バッタの死に様は多種多様だったが、最も多い殺され方は胴体を横に薙ぎ払われて分断されたものだった。
まるで、丸太か鉄骨を振り回したかのようだ。だが、そんな怪力の人間がいたとしたら、とっくに国が見つけている。
となれば、答えは一つ。人型カブトムシを改造して生み出した対人型昆虫用戦術外骨格、十五号の仕業だろう。

「羽化したばかりなのに、こんなに戦えるなんて。結構素敵な子ね、十五号って」

 セールヴォランはしなやかに歩き、人型バッタの残骸が散る体液の海を通り越して巨大な死体へと近付いた。
人型昆虫よりも遙かに大きな体躯を持ち、太く長い腹部からは膨大な卵を生産し、彼らを繁殖させる女王だった。
だが、その腹は内側から破られ、卵も食い荒らされている。セールヴォランは、乱暴に割られた卵を一つ拾った。

『桐子』

 桐子の脳内に、愛する人型昆虫の声が響いた。

「なあに、セールヴォラン?」

『女王の卵が見当たらない』

 セールヴォランは桐子に意識を送り、女王の腹部に視線を向けさせると、裂け目の下部の卵巣に定めさせた。
これもまた切り裂かれている卵巣からは、今し方拾った卵と同じサイズの真っ白な卵が山ほど零れ落ちていた。

『女王は、普通の卵と同時に一回り大きい女王の卵を一つ作る。だけど、この女王はそれを持っていない』

「十五号に奪われた、ということ?」

『間違いなく』

「だったら、早く殺さなきゃ。十五号も、女王の卵も」

 セールヴォランは拾った卵を握り潰し、爪に絡んだ体液を舐めた。

「楽しいことになりそうね、セールヴォラン」

『桐子が楽しいのなら、僕も楽しい』

 平坦で機械的な答えだったが、桐子は満足していた。言葉は簡素でも、隅々に彼の感情が満ちているからだ。
神経で脳を繋げているから、解ることだ。桐子がセールヴォランを愛すれば愛するほど、彼もまた愛してくれる。
今も尚、絶え間なく感情が流れ込んでくる。陶酔した桐子は、口に詰め込まれたセールヴォランの神経を舐めた。
その生温い感触にセールヴォランが反応し、あぎとを開閉させた。その様が可愛らしくて、桐子は胸が高鳴った。
 対人型昆虫用戦術外骨格。彼らは、人類と人型昆虫の狭間に揺れ動く奇妙な境遇の存在であり、犠牲者だ。
虫でありながら虫でなく、捕食対象である人間に操られ、生物としての尊厳を奪われた、哀れで滑稽な傀儡だ。
だが、だからこそ愛おしい。桐子は上中両足を曲げてセールヴォランを抱き締めてやりながら、優しく微笑んだ。
 彼への愛を貫くためにも、女王の卵を殺さなければ。





 


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